祈(祷)りに関連した俳句の例をまとめました。
祈(祷)りを含む俳句例
名月や神泉苑の躍る/蕪村
百漉けば百の祈りや紙漉女/林翔
島原や媼麦踏む祈りの手/水原春郎
囀りの同心円にある祈り/豊田都峰
杣人の祈りの長し夕河鹿/影島智子
月光の祈り家々鎮もれり/安藤伸子
祈りても終る一日冬の星/長島和子
月白に祈りて心乱すまじ/河合正子
空蝉を指にすがらせ餉の祷り/子郷
一年の無事を祈りて初暦/多田生湖
願ひより祈りを深く星祭/立川華子
聖鐘に祈りおくれし鮑採/朝倉和江
神々に祈りしをれば夏の靄/原石鼎
弓始真の祈りは口外せず/北野民夫
緊る淑気男は願ひ女祈り/巌寺堅隆
眠りも祈り雪原は雪重ね/齋藤愼爾
烏瓜の花大空に祈りかな/田中/國
牧草を刈るは祈りに似て日暮/有働亨
秋深し人に祈りの深ければ/稲畑汀子
枯蓮の茎みな天に祈りつゝ/横山白虹
俳句例:21句目~
寒苦鳥祷り忘れし夜が傾ぐ/宇咲冬男
寒詣娘ゆゑの祈り長かりき/高橋文子
梶の葉に歌選び書く祈りかな/町春草
引鶴や海は祈りの色ふかめ/橋本榮治
掛乞を祈りかへすや小山伏/正岡子規
ながからむ妻の祈りや藤の花/齋藤玄
ぬきん出て天に祈りの蓮蕾/佐藤華秋
新酒を醸す祈りの杜氏の唄/石塚友二
日本海荒らぶに祈り年迎ふ/森川暁水
祈りを胸に語り伝へむ阪神忌/井上明
旱星祈りの数は怒りし数/荒井千佐代
終戦日母の祈りの海に向く/植木緑愁
春愁のうなじを垂れて夜の祈り/篠原
コーランの祈り夕辺の夏燕/加藤耕子
翅二枚合はすは祈り秋の蝶/中村明子
祈りとは膝美しく折る晩夏/攝津幸彦
老い母よ祈り惚けし夏蕨/小檜山繁子
火炎樹の広き茂りや祈りの刻/杉本寛
草の花掌熱く祈りにけり/柴田白葉女
誰が何を祈りし神か山凍る/岡田日郎
俳句例:41句目~
鈴虫に少女の祈り篤きかな/甘利啓子
人いつも何かを祈り貝割菜/倉田紘文
雪の立山祈りの色は常に白/福永鳴風
雪深く祈りの象嶺も家も/文挟夫佐恵
食前の祈りのことば芝青し/対馬康子
驟雨来て海龍王に祈りけり/山根邦子
鯨の尾祈りのかたちして沈む/仲寒蝉
麦を刈る昼の祈りは手短に/馬越幸子
八月の水に祈りの硬貨かな/平田妙子
黄昏の祈り今なる暖炉かな/尾崎迷堂
冬霧をゆきて祈りぬ呟きぬ/堀口星眠
凍蝶の祈り一心不乱かな/松下晴江女
初ミサの長き祈りの髪若き/富安風生
夜の雲祈りは不定形となり/高澤晶子
北風の星嶺も祈りの姿もつ/中島斌雄
炎昼の影を縮めし祈りかな/赤井淳子
厄年の祈り一途や初大師/鈴木美代子
金の芒遥かな母の祷りをり/石田波郷
杜氏唄の祈りにも似て寒造/西村妙子
天近し祈りのごとく耕せば/黒鳥一司
俳句例:61句目~
いつの世も祈りは切や百日紅/中村汀女
昇天の祈りの声が夏まだき/相川やす志
星月夜今宵はかなく祈りけり/松村蒼石
こは雪間隠れ祈りし洞窟ぞ/岡本まち子
秋の夜の指を祈りの型に組む/横山房子
たたなはる沖に祈りの蓮ひらく/松本進
祷り長き母を待つ子や小春寺/中村汀女
祷り挿す苗車田の軸となる/中戸川朝人
祈り初厚き聖書に手を重ね/田川飛旅子
祈りの手照らし流燈離れざる/植松昌子
涼しさを祈り過てや羽ぬけ鳥/横井也有
祈りともこころざしとも初日記/福島胖
バス停めて祈りの時刻炎天下/桑田青虎
一つ咲く座禅草にも祈りかな/中村洋子
祈りつつ時間の上に石を置く/内山思考
黒く涼し聖女の祈り汗し見ゆ/小林康治
人に祈り螢に光とこしなへ/成瀬櫻桃子
火の山にひれ伏す祈り雪催/板垣鋭太郎
晩鐘や田植着のまま野の祈り/朝倉和江
何祷りをるや毛皮の外套着て/菖蒲あや
俳句例:81句目~
祈りたき程の朝焼け雪踏めば/亀谷麗水
暁けの湖鴨が祈りの数に見ゆ/田鎖雷峰
碑を溢る愛と祈りの躑躅園/下村ひろし
夕焼鵙祈りの鐘も鳴る頃か/下村ひろし
秋蝉や言の葉もどかしく祈り/藤田直子
稚子抱ける母の祈りや初不動/斎藤竹水
眠りは祈り地へ直角に麦育つ/寺田京子
筒鳥や小さき祈りの石積めば/手島靖一
沈黙といふ祈りあり阪神忌/池田琴線女
絵踏の世今は遠しや祈りけり/稲畑汀子
初虚空蔵祈りが渦となる香炉/大堀春野
牡丹咲くのみの天地祷りをり/石川桂郎
島の子の立泳ぎして祈りをり/野中亮介
凍鶴の祈りにも似て風に向く/藤井吉道
膝折れば祈りのかたち菫摘む/馬場駿吉
舟べりを敲くは祈り海女潜る/芳野仙子
噴水の祈りしぶきや友が寄る/寺田京子
底冷の聖堂祈りながき人/丸山よしたか
賽銭を借りての祈り梅匂ふ/藤井つな子
辻地蔵祈りの数の冬著着て/阿部千恵子