怒り/忿りに関連した俳句の例をまとめました。
怒り/忿りを含む俳句例
霜凪に神怒り坐す極みあり
炎帝の怒りに我の髪乱れ/上野泰
眦に残る忿りや根深汁/石田波郷
乳牛の怒り静かに金玉/攝津幸彦
糸瓜忌や男の怒り言少な/岡本眸
稲光り男怒りて額美し/加藤知世子
閻王の真赤な怒り笏落し/小山南火
秋風や怒り瘤立て岬の松/河野南畦
日盛りに太き鴉の怒り肩/志村冬彦
蝉声と声明三井の怒り節/川崎展宏
草枯に影置く朝の怒り肩/高井北杜
吽形の怒りの永し細雪/皆川恵津子
啓蟄や怒りて折りしペンの先/耕二
尺蠖の真砂に落ちて怒りけり/日原傳
山椒怒り悲しむかたちなす/山本一雄
熱帯夜赤子怒りて泣きとほす/下田昭
沖縄の怒りをわれも汗し説く/上村占
底紅やあすは忘るる怒りとも/関清子
往復する怒りの速達冬の鳥/寺田京子
雪嶺の大を以て怒りを鎮む/福田蓼汀
俳句例:21句目~
火鉢抱く祖父の怒りは無尽蔵/仁平勝
豆年貢朝から友の怒り肩/相原左義長
怒りては己が肉咬み大浅蜊/出口善子
蟻地獄遺し尽して怒り消ゆ/根岸善雄
夏痩せて怒りの清き少年期/赤岡淑江
蟷螂の怒りに触れし妻の杖/水野柿葉
滝口に来て怒りたる落下音/河野南畦
蟷螂の動かぬ怒りとも思ふ/草野春汀
怒り込み上げて冬木に力瘤/柴田奈美
怒りはや肩より抜けて籠枕/吉川智子
旱星祈りの数は怒りし数/荒井千佐代
出来鯒の怒りし貌の幼さよ/中村春逸
子へ妻へ怒りの跳び火花樒/西田弘生
虎落笛夜に甦る怒りあり/伊丹さち子
青饅や怒りの中の気弱音/能村登四郎
素袷や怒りて世間狭くしぬ/江口千樹
しづかなる男の怒り扇置く/西島麦南
波怒り風鳴き人はほゝ笑顔/正岡子規
唖蝉や怒りしづむる腹の波/沢木欣一
少年の怒りの行方石榴は実に/高橋翔
俳句例:41句目~
団扇風妻の怒りの伝はり来/春名耕作
百夜飼い百夜怒りの冬の鷹/寺田京子
稲妻や怒り狸は傷匂はす/加藤知世子
物食べて忘るる怒りの冬の鵙/岡本眸
悲しさの極みの怒り涅槃絵図/大野崇文
悲しみは怒りの如し汗噴く顔/原コウ子
憎まねば怒りの消えず鶏頭花/村上沙央
扇風機怒りはおごそかに育ち/櫂未知子
投げ込まる蟹に怒りて桶の蟹/羽部洞然
かなしくて怒りたくなる春の月/関文子
文読んで烈火の怒り榾を焚く/飯田蛇笏
暮るる海春駒面剥ぎ怒り顔/加藤知世子
朝顔の怒り詰まりし種を蒔く/森田智子
その怒り老蟷螂は大ならず/相生垣瓜人
桃太る夜は怒りを詩にこめて/寺山修司
梅天に抛つ怒りこだませよ/稲垣きくの
棒杭の怒りに止まる金亀虫/増田まさみ
身構へて怒りしままの枯蟷螂/高橋利雄
水中花怒りてみても独りなり/白川京子
まれまれに怒り給いき汝白梅/永田耕衣
俳句例:61句目~
炎天に乾びきつたる怒りあり/仙田洋子
炎天に近寄りがたき子の怒り/小森夕峰
石狩の怒りのにごり鮭の秋/加藤蛙水子
秋の風母の怒りのいづこより/千葉皓史
肩怒り北風に干さるる柔道着/岸田純子
胡桃割る怒りの力借りて割る/藤田柊車
脱ぎ捨てし外套の肩なほ怒り/福永耕二
学生服に不安な怒り鯉がおり/井手都子
葉生姜に夢の続きの怒りあり/鈴木鷹夫
蛾に怒り妻子に怒りつゝ眠る/西島麥南
蟷螂の怒りて草を落ちにけり/前田普羅
蟷螂の怒りて青き鎌上ぐる/芳賀かをる
凍蝶のかくまで静かなる怒り/熊谷愛子
刎ね炭の上に怒りを移しけり/永田青嵐
初鶏や怒りほとほと酔に似る/加藤楸邨
十二神将怒り秋日を強めたり/細見綾子
蟷螂の枯れても怒り貌枯れず/伊藤幸博
反り返る怒り鎮めてはさみ虫/高室有子
蟻地獄潰しや怒り癒ゆるまで/根岸善雄
貨車灼けて満載されている怒り/森武司
俳句例:81句目~
釣られたる虎の怒り全身に/今井千鶴子
基地の街碧すぢ揚羽は怒り肩/藤田直子
夏痩の身に怒り溜め怒り溜め/相馬遷子
大稲架の怒り叫びて炎上す/百合山羽公
鶏頭の怒り続けし月日かも/相生垣瓜人
山百合の怒りて香る家の中/久保田慶子
嵐には散らぬ野梅の怒りかな/正岡子規
怒りたき時は黙して花ざくろ/安斉君子
怒りつつ水照りの汝は無一物/夏石番矢
怒りの前に私は草を見ている/橋本夢道
怒りの詩沼は氷りて厚さ増す/佐藤鬼房
怒りやがて貧乏ゆすり油照/中戸川朝人
怒り初め男の利き手ポケットに/石寒太
怒り妻蚊帳に大波立てて出し/櫻井土音
あきらかに蟻怒り噛むわが足を/右城暮石
ある怒り星さむければ独り堪ゆ/岸風三楼
芋虫のころげまはつて怒りけり/小島良子
うなり落つ蜂や大地を怒り這ふ/高浜虚子
芋虫の怒りて葉よりまろび落つ/鈴木杏一
かぶと虫怒りのあとの外出かな/村越化石