初湯/初風呂に関連した俳句の例をまとめました。
初湯/初風呂を含む俳句例
雲水の初湯当番玉襷/静雲
初湯出て青年母の鏡台に/鷹女
男湯の初湯に白し女の子/為王
初風呂や父の次には男の子/立子
初湯出て窮巷ながら空青し/碧童
茜さす鎌倉殿の湯に初湯/茂里正治
初湯出し鉄工あかし鉄の間に/波郷
赤煮えの蜑が初湯を出て歩く/静塔
初湯出し胸板赤き妻の父/辻田克巳
初風呂に浸りてをりて寿/忽那文泉
初風呂に我もこみ合ふ一人哉/初子
北国の湯の華匂ふ初湯殿/菱野美月
火の山の懐ふかき初湯かな/飴山實
介添もいらぬ初湯の母八十路/民郎
初湯中黛ジユンの歌謡曲/京極杞陽
妻や子や初湯貰ひし薄化粧/月二郎
初風呂や肌いとおしむ年女/岡本眸
其のかげん産湯の後よ初湯殿/元夢
いちどきに孫三人が初湯かな/静良夜
深々と初湯の髪膚毀傷なき/水原春郎
俳句例:21句目~
浜づたひ杓さげてゆく初湯かな/泊月
初風呂の煙ゆたかにあげにけり/蓬矢
初風呂の檜匂へり嬰を抱く/佐藤淑子
命長き人に逢ひたる初湯哉/尾崎紅葉
底浅き湯槽に浸りゐて初湯/内田安茂
新しき鏡に見られ初湯かな/西山輝子
初湯出でて青年母の鏡台に/三橋鷹女
初風呂や寶の如く嬰を抱く/菅野岑子
初風呂や常は見ぬ掌の裏表/会田弘子
庵の井の水やはらかき初湯かな/風生
初風呂や胸沈め得ぬ病もち/石川桂郎
青年が湯壺へどんと初湯波/高澤良一
雫して夫から妻へ初湯の子/長田群青
足入れて二揺一揺初湯かな/安東次男
不知火の沖に虹立つ初湯かな/東妙子
丸一の小仙にあひし初湯かな/龍岡晋
庭の松焚きかぐはしき初湯かな/青邨
脱ぎかへて去年を今年や初湯殿/百中
四十過ぐ底浅き湯を初湯とし/桂信子
初湯殿師父の腕を支へけり/小路紫峡
俳句例:41句目~
町ははや初湯の太き煙上げ/中村汀女
夫初湯何やら唄も聞え来る/松本喜美
減塩も減量も無理初湯かな/草間時彦
初風呂やつきせぬながれ清元の/泉鏡花
初風呂は修善寺温泉数寄屋棟/磯野充伯
初風呂の十六貫はまだ老いず/原赤松子
にぎやかな妻子の初湯覗きけり/小島健
べつ甲の耳掻使ふ初湯あと/下村ひろし
初湯揺れ小痣浮くかに悔一つ/香西照雄
みかん山映る初湯に入りけり/田中冬二
初風呂に富士の岩石沈めゐる/赤尾恵以
湯気籠りなりし初湯の昼明り/物種鴻兩
初湯出し肉湯気をはなちけり/飯田蛇笏
初湯して古里は水やはらかき/大石暁座
初湯出し裸に遠い河口の照り/松根久雄
花柄のタオルを胸に初湯かな/館岡沙緻
初湯して非対称なる身体拭く/鈴木幸江
刺墨の竜の背と合ふ初湯かな/西村旅翠
竹の榾一節はぜし初湯かな/三宮美津子
初湯殿母をまるまる洗ひけり/大石悦子
俳句例:61句目~
物欲らぬ母に初湯の白肌着/山上カヨ子
蓋取れば初湯なるかな沸き足りて/裸馬
夫在りしごとく初湯の加減見て/堀恭子
夕星のひとつが高き初湯かな/大嶽青児
旅ころもすなはちぬいで初湯かな/爽雨
受け取りし初湯の嬰のさくら色/景山薫
一硯を伴ひたりし初湯かな/相生垣瓜人
父と子の心ほぐるる初湯かな/太田研二
初湯出て赤子の拳ほどけけり/藤田郁子
海うつる鏡あふいで初湯かな/皆吉爽雨
一病のかげりある身の初湯かな/登四郎
初湯して考えごとは何だっけ/高澤良一
初湯出で青きを保つ百合の芯/野沢節子
初風呂や吾子の小さき力瘤/井出真理子
煩悩と脂肪落とせず初湯かな/福永直子
坑夫等の声大いなる初湯かな/牛島清治
雪嶺に礼し初湯に入りにけり/柳澤和子
青空へ湯気にげてゆく初湯かな/本井英
初湯殿骨を奇麗にしておかむ/北/四季
生涯や初風呂にいま目をつむり/森澄雄
俳句例:81句目~
初湯して江戸の鴉もオノマトペ/筑紫磐井
初湯して瞑れば遠き山河あり/鷲谷七菜子
初湯の児足裏赤くやはらかし/阿部左多子
初湯より呼ぶ父の声今も聞ゆ/田川飛旅子
初湯出ておのれ身体髪膚照る/佐々木有風
初湯出てまた小説の世にもどる/大島民郎
初湯出てももいろ童女走りくる/白岩三郎
初湯出て初湯を道に撒ける海女/鷹羽狩行
初湯出て山の茜と向きあひぬ/福田甲子雄
初湯出て鏡台まぶしく吾に向く/菖蒲あや
初湯子の冠れるタオル身に余り/福永耕二
初湯浴ぶからすの行水始めなり/高澤良一
初湯浴ぶ天の岩湯のここちかな/長谷川櫂
初湯浴ぶ熱きは痒きことと知る/高澤良一
初湯浴ぶ爪清らかに透けてをり/北林令子
厨まで湯気溢れ来る子の初湯/太田原綾子
妓一妓二かくて初湯の化粧かな/渥美渓月
嬰の尻を十指でつつむ初湯かな/小林波留
宥すべく決めて初湯を溢れしむ/今井澄子
山の湯を初湯にひとつ年とれり/宮津昭彦