世界に関連した俳句の例をまとめました。
世界を含む俳句例
簟五尺四方の世界哉/正岡子規
夕朝の露で持たる世界哉/一茶
子地蔵の唇に紅さす枯世界/岸田稚
凍蝶の黄昏世界極まりぬ/平井照敏
孟蘭盆具売場一角青世界/鈴木昭一
畳みゆく双六世界虹と失せ/上野泰
物堅き義理の世界や事始/岡田抜山
朧夜の鶏が夢見る白世界/能村研三
川蟹の渡る世界に我一人/山内崇弘
布引の滝を要の緑世界/小路智壽子
法然の聖青世界浸るべし/大橋敦子
雪柳三千世界此処にあり/高澤良一
退院し花の世界に没入す/下村非文
忙中閑星の世界に涼み台/斎藤康人
踏青や世界遺産の平城趾/磯野充伯
蜻蛉と風の世界の乳母車/斉藤夏風
沙熱し沈黙世界影あるき/加藤楸邨
鰭酒や世界の事は遠く置き/星野椿
頽齢や蝉の世界の法師蝉/石塚友二
光明遍照十方世界囀りぬ/尾崎迷堂
俳句例:21句目~
繃帯を巻く白樺の霧世界/和知喜八
冴えて書の天金浮けり病世界/秩父
人形の世界と別にゐて菊師/山下美典
いつ仆れても満月の青世界/間立素秋
人穴に没す緑の世界より/百合山羽公
苗障子一枚づつの世界かな/西本一都
輪を描いて音なき世界水馬/山田弘子
蓮世界翠の不二を沈むらむ/山口素堂
蝸牛子に偏差値の世界あり/野上水穂
見る我と別な世界を螢とぶ/松瀬青々
鉦叩き女は沈む世界もつ/堀井春一郎
雲の上露の世界を忘るゝな/正岡子規
そこに今音なき世界花吹雪/稲畑汀子
雷鳥や霧吹くのみの岩世界/岡田貞峰
露世界つるみし犬に脱帽す/川崎展宏
どの傘も一人の世界桃青忌/山田一男
音の無き世界の母に雛飾る/小島左京
顔見世は世界の図なり夜寝ぬ人/西鶴
騨前の梅雨陋巷も聖世界/下村ひろし
鮪糶る男の世界覗きけり/鈴木真砂女
俳句例:41句目~
鵜飼舟過ぎたる後は風世界/今瀬剛一
坂登る黒き外套は吾が世界/細見綾子
ほのと香の三千世界花柚かな/飴山實
夜盗虫三千世界見て来たる/梶川礼子
大雨警報世界ペン大会了る/林原耒井
子の世界母を遠ざけ水遊び/稲畑汀子
山下りていま日盛りの娑婆世界/春樹
山葵田の彼方の水も青世界/鈴木鷹夫
山葵田も彼方の水も青世界/鈴木鷹夫
島霞み三千世界霞みけり/平井伊都子
常夏の花もて飾る彌陀世界/筑紫磐井
数へ唄夕焼世界寒くなる/堀井春一郎
木も草も世界みな花月の花/上島鬼貫
杉菜には杉菜の世界翳りあふ/有働亨
森といふ日裏の世界蝸牛/千村ちえ子
濃紫なる春眠の世界かな/成瀬正とし
白亜紀の世界へ続く蝉の穴/加藤房子
紅葉且つ世界遺産や高野山/磯野充伯
綿虫のまはりの酸素世界とは/須藤徹
ふぐ鍋や男の世界ちらと見し/松尾静子
俳句例:61句目~
漉き紙の仮の世界に雪降れり/和田悟朗
初音聞く世界遺産の原始林/田中康委子
くらやみは織部の世界鵜飼川/加藤春鼎
縮緬の座布団仕上ぐ枯世界/殿村菟絲子
南京錠こはれて世界寒くなる/中烏健二
繭玉の寡なからざる黄の世界/後藤夜半
双六の上りは月の世界かな/椎名みすず
古草と石人とある世界かな/阿波野青畝
君を欠き世界が違う今朝の秋/高澤晶子
竹馬の高さとなりし子の世界/宮地玲子
なめくぢの意の茫々と青世界/奥坂まや
春浅き世界遺産のねむり猫/角田よし子
はてしなき世界の秋の行へ哉/正岡子規
地に届くまで汝が世界糸ざくら/松本旭
天上も五月みどりの橡世界/後藤比奈夫
風除を隔てて別の世界あり/稲畑広太郎
風花の音の世界に来て消ゆる/伊藤凉志
地球儀の世界を覆ふ春の塵/浅見まき子
朦朧たる月下の花や死後世界/石塚友二
銀世界すんでそろそろ泥世界/正岡子規
俳句例:81句目~
流氷や世界の終りはきっと青/中田美子
昼顔や別の世界を子ら駆ける/和田悟朗
龍の玉塀の窓にも未知の世界/香西照雄
灰色の世界を仄と虹照らし/稲畑廣太郎
襤を檻で横切る世界紅葉して/永田耕衣
蝉生れよ橡の世界のととのひし/堀恭子
蛇衣を脱ぐ別の世界が見えてきて/黛執
膝の上が女の世界毛糸編む/伊丹三樹彦
薔薇園に世界の薔薇の集結す/塩川雄三
蕨狩はじまれば道無き世界/八木澤高原
菜の花の中はお伽の世界とも/高橋一平
白銀の世界留めて春立ちぬ/稲畑廣太郎
余り苗育ち四万十川青世界/伊藤いと子
公を白の世界に釣り上げる/板谷クララ
牡丹双輪月世界は白日世界は紅/福田蓼汀
かたつむり青き世界を伝ひゆく/布川武男
青空より西瓜へ世界まつぷたつ/鎌倉佐弓
物音のなき安らぎや梅雨世界/古賀まり子
この夏は完膚なきまで蝉世界/新谷ひろし
こゝに得し独りの世界日向ぼこ/嶋田一歩