天地に関連した俳句の例をまとめました。
天地を含む俳句例
万緑の天地有情や杣男/原裕
天地音なし春昼点滴す/朱鳥
ピカザザと天地俄にさうざうし
初鶏や天地の凍に朗々と/月斗
天地の竪琴の如春の雨/上野泰
書函序あり天地玄黄と曝しけり
天地の円美しき大夏野/加藤耕子
天地に光渦なす代田掻/相馬遷子
水塩の点滴天地力合せ/沢木欣一
手習や天地玄黄梅の花/夏目漱石
炭斗や個中の天地自ら/高浜虚子
白鳥のこゑ天地の鹹し/柚木紀子
天地の心をわけん今朝の秋/舞閣
栗拾ふ天地に母の老い深し/原裕
天地にす枯れ葵と我痩せぬ/篠原
万緑にゐて天地の息づかひ/川口襄
渾身の天地返しや鳥雲に/小出秋光
冬籠書斎の天地狭からず/高浜虚子
冬耕の天地返しと言ふ仕事/金井充
寒鯉を生かす盥の天地かな/三幹竹
俳句例:21句目~
水餅や壷中の天地晦冥に/高浜虚子
初霜の柿や天地を貫けり/瀧井孝作
妻の息絶えむと天地露明り/斎藤玄
短冊の天地に画く芽独活かな/木兎
水中花開きし花の天地人/品川鈴子
姉の忌の天地をつなぐ烏瓜/仁平勝
天地に妻が薪割る春の暮/石田波郷
雪の夜の天地合掌はてしなし/照敏
ぬかづきしわれに春光尽天地/久女
辛夷吹き天地の間を抜ける風/宿好
囀や天地金泥塗りつぶし/野村喜舟
眦に天地青しほととぎす/会津八一
稲咲いて天地惇厚の夕まぐれ/正雄
秋空や天地を分つ山の王/村上鬼城
白日の天地悲しむ虎落笛/相馬遷子
ぬひあげて天地袋に薫す/飯田蛇笏
天地つゆけしはだか子/栗林一石路
神話村天地返しの畑の靄/田中英子
天地の間にかろし蝉の殻/松瀬青々
天地をしばらくたもつ時雨哉/几圭
俳句例:41句目~
天地にたゞ一人の冬耕す/久垣大輔
拝殿の先の天地夏つばめ/星野恒彦
うたかたの天地何ぞ草の花/斎藤梅子
紅葉且散る盆栽といふ天地/前内木耳
ちぢまれば広き天地ぞ蝸牛/正岡子規
羽抜鶏天地の間に呼吸して/栗林千津
天地のはじめのごとき滝かかる/清子
肋あらわ天地傷む涅槃なれ/和田悟朗
蟷螂の天地転倒して逝けり/古館曹人
一片の薔薇散る天地旱の中/西東三鬼
一瞬に天地引きよせ嚏せり/能村研三
鈴虫や壺中の天地うち顫へ/松本幹雄
雪原の天地神明去りがたし/古舘曹人
鯊釣るや一竿天地空しうす/志田素琴
天地の寒さ知らざる雛かな/中島月笠
初茜天地ひびきあふごとし/今春朱村
天地の春呼ぶ気息合ひて雨/加藤耕子
天地の色なほありて寒牡丹/高浜虚子
天地の間にほろと時雨かな/高濱虚子
天地は釣瓶落しの遊びせる/中村尚子
俳句例:61句目~
天地冬白鳥水に羽摶つとき/中島斌男
囀や天地金泥に塗りつぶし/野村喜舟
天地夕焼冬木の中の分教場/川村紫陽
天地広し立春なにに礙べき/井原西鶴
薄氷の天地に風あそびをり/高橋馬相
嫁かばと天地袋を君や縫ふ/飯田蛇笏
屑買に屑の天地や日向ぼこ/山本歩禅
天地なき金の色紙に筆始め/澤田緑生
心太天地が踊ることを云ふ/吉野裕之
我が行く天地万象凍てし中/高浜虚子
東菊群れて天地斑の消ゆる/兵庫池人
根分して萩に天地の新しく/稲畑汀子
桐一葉落ちて天地液状なり/大口元通
病苦あり天地根元造りかな/和田悟朗
天地のあひびき長し月見草/三橋鷹女
囀やわが小天地揺れやすし/山田みづえ
ひるがほに一瞬昏き天地かな/柿本多映
雁来紅起して天地新たなり/百合山羽公
燈籠や天地しづかに松のつゆ/飯田蛇笏
牡丹咲くのみの天地祷りをり/石川桂郎
俳句例:81句目~
丹頂の翔つとき天地息合はす/木村敏男
鷺草の咲きて天地を創りけり/高木石子
冬菜とる天地のぬくみ一身に/大中誉子
黄菊白菊酒中の天地貧ならず/夏目漱石
天地や揚羽に乗つていま荒男/三橋敏雄
古臼の天地を洗ひ飾りけり/松浦沙風郎
天地はいまだモノクロ春星忌/藤井彰二
石を以て素十としたり天地春/正田稲洋
天地のはざまに瀧をかけ給ふ/加藤耕子
地虫出づ天地明るくなる程に/高木晴子
大浪に立つ足とられ立版古/宇佐美魚目
石抱いて蜻蛉天地をうたがへる/北山河
天地の谺もなくて雪降れり/鈴鹿野風呂
秋暮るるなり良寛の書の天地/対馬康子
天地の深きしじまに掃き納む/木村蕪城
天地に人と生れし寒さかな/東洋城千句
天地に今朝うぐひすの初音哉/松岡青蘿
天地の気かすかに通ふ寒の梅/正岡子規
天地に直グ維れ神や瀧五月/松根東洋城
富士の雪天地の境越えて垂る/山口誓子