寸に関連した俳句の例をまとめました。
寸を含む俳句例
枯萱の尺寸に雪殺到す/澄雄
放屁虫汝は何寸の魂ぞ/稲岡長
妖村正二尺四寸雪催/稲島帚木
方寸にあり紅梅の志/川崎展宏
いかめしや鯨五寸に年忘れ/樗良
花店に二寸短し富貴の薹/炭太祇
細炭の四寸ぞろひ春嵐/石川桂郎
骨骸の寸運びかな薄氷/永田耕衣
麻二寸雀かくれの新樹かな/野径
門前の寸土払いぬ初箒/浜田波川
寸足らず東尋坊の夏蓬/高澤良一
川澄や落葉の上の水五寸/炭太祇
溜池や雨に根芹の二三寸/羅蘇山人
寸ほどの枯鶏頭や墓の裏/清水基吉
寸心忌穂先減りたる竹の筆/志奈子
蜻蛉や杭を離るる事二寸/夏目漱石
蕗の薹垣根の下に一二寸/羅蘇山人
寸心忌蝸牛の速度侮れず/太田星樹
はち巻や穴熊うちの九寸五分/史邦
若竹や四五寸茂る椽の下/正岡子規
俳句例:21句目~
南天に寸の重みや春の雪/夏目漱石
棒立ちし寸取虫の思案貌/杉山青風
梁は尺二寸しんしん霜柱/阪本謙二
桃いけて寸のこけしを愛す/中勘助
尺刻み寸を刻んで今年竹/永川絢子
栖より四五寸高きしをにかな/一茶
二三寸角ぐむ芦や水の上/松瀬青々
二三寸雪つむ町や松の内/松瀬青々
方寸の水あれば足る水馬/高澤良一
秋たつや鶉の聲の一二寸/正岡子規
尺蠖の遅々寸々を愛すべし/塘柊風
山路にて銭の寸借薄紅葉/辻田克巳
鶯に木杭の寸の揃えられ/森田智子
凍鶴の咽喉に寸の日ざしかな/林翔
方寸の壷にあふるゝ新茶かな/普羅
禅僧の六尺五寸菜飯食ふ/橋本榮治
方丈の寸尺狂ひなき真冬/庄司圭吾
堂塔の空あり袋角二寸/河合佳代子
大俎の端に寸楽の山葵かな/泉鏡花
株間四寸畝間一尺豊の稲/西本一都
俳句例:41句目~
街路樹に方寸の土冬萌ゆる/三森鉄治
蝿虎五寸を跳んで放心す/和久田隆子
蝸牛の四五寸妻に歌ありて/石川桂郎
若草や鶏のとさかの一二寸/正岡子規
苗代の一寸二寸人老いぬ/山田みづえ
干鱈で寸酌交はす友二の忌/清水基吉
月まつる志野八寸に煮染芋/伊達大門
黄落の水際の寸土色つくす/長谷川双
春水や草をひたして一二寸/夏目漱石
秋風や寸ほど延びし頤の鬚/坪内逍遥
円空の二寸に足らぬ凍み佛/高澤良一
冬の日の雁の背丈の寸づまり/齋藤玄
冬仕度焼く渓の寸そろひ/吉本伊智朗
方寸にたたみし思ひ枯野星/中西舗土
方寸に仇潜みゐし春夢とも/石塚友二
天高し耕す寸土持たざるも/五嶋白羊
桃印の燃寸とろとろ揚雲雀/坪内稔典
大きさも知らず鯨の二三寸/正岡子規
泥の上の寸澄む水や枯蓮/徳永山冬子
春昼や底より二寸上を釣る/宇佐美目
俳句例:61句目~
寸青き麦めでたしや鍬初め/岡本松浜
春塵や寸の仏も彫ふかく/大橋櫻坡子
寸厚き浅漬を食ふ奢りかな/久米正雄
水仙の芽の二三寸便り来ず/永方裕子
発心の言葉雪夜の方寸に/田川飛旅子
孑孑に方寸の空暮れにけり/田中美彦
寒弾きや寸を揃へし炭の形/永井龍男
春待つや只四五寸の梅の苗/正岡子規
寸減るは亡き師の来しか蝮酒/神蔵器
若竹や四五寸のびる椽の下/正岡子規
古蘆を若蘆の寸さしのぼる/森山夕樹
鉢巻や穴熊うちの九寸五分/中村史邦
初売りの五寸角材抛り出す/村山古郷
開かれしままの扇を寸借す/長峰竹芳
雨に獲て寸の柳葉ぞ風蓮湖/黒木野雨
凍空は刃渡り五尺五寸かな/寺崎玄兎
子の胸の傷の五寸に菊の影/鈴木鷹夫
麦の葉や緑うなつく五六寸/正岡子規
麦二寸陽炎立つ日また来べし/及川貞
峡畑に寸の農婦となり耕す/西東三鬼
俳句例:81句目~
寸莎の如怪しく見ゆる蕨飯/阿波野青畝
寸馬となり豆人となり耕せる/鷹羽狩行
尺蠖の寸尺を取りわづらへる/行方克己
母とほく寸のつまりし浴衣かな/小島健
断崖の裾の寸土に菜を咲かす/阪本謙二
方寸に森の日そそぐ鳥かぶと/白岩三郎
方寸に瞋恚やまざり秋の蚊帳/石塚友二
方寸の日だまりにゐる神無月/宮田和子
方寸の景見て死ぬる蝉ならむ/高澤良一
箱庭の寸馬豆人をしくれけり/正岡子規
春動く地の方寸に彳つるとき/石田雄貴
暮れいろの蜘蛛寸借の形して/栗林千津
松籟やたかんなの頭の五六寸/清水基吉
枯枝の全けさ五寸ばかりにて/下村槐太
梅が香や寂然として九寸五分/正岡子規
段畑の寸土あまさず豆の花/西森千代樹
水仙の芽の二三寸あられかな/室生犀星
河豚鰭を干して薄日の寸移り/行方克己
炎天の身に方寸の飾りなし/赤尾冨美子
玉虫が飛ぶ寸陰もなきところ/福永耕二