盲に関連した俳句の例をまとめました。
盲を含む俳句例
電線の影炎昼の盲壁/北野民夫
盲児の端居淋しき木槿哉/白雄
鍋いまし金環蝕や盲汁/下村梅子
梨の花盲しごとく立ち憩ふ/原裕
掃苔や十三代は盲なる/安積素顔
老の杖盲の杖や菊の宿/高濱年尾
攝待や盲扶けて子のあはれ/憂々
盲仏秋風に灯を盗まれし/樋笠文
雪国や人若やぎて盲縞/橋石和栲
日盛や杖の鈴鳴る盲僧/小川軽舟
野馬のゆすり起こすや盲蛇/丈草
双六めく盲暦を読初に/野澤節子
囀を身にふりかぶる盲かな/青畝
綿入は明治のころの盲縞/森婆羅
夏鏡女医の鞄に盲いたり/渋谷道
大雷やそれきり見えず盲犬/鬼城
手折々蠅に動かし盲ひ僧/河野静雲
仕立てたる秋の袷の盲縞/高浜虚子
雉子笛に山湖の波は盲縞/北野民夫
再びの雪に盲ひし雪達磨/竹下陶子
俳句例:21句目~
鉦たたく盲の父や梅若忌/高野素十
寒弾の盲の面の紅潮す/大橋櫻坡子
宵闇や盲し如く墓の道/松本たかし
椿落つ音にも盲耳さとく/福井玲堂
初鏡盲とならば清からむ/木村えつ
北冥ニ有リ盲ヒ死齢越ユ/佐藤鬼房
野馬のゆすり起すや盲蛇/内藤丈草
聾盲の母の八十八夜来し/萩原麦草
卒業の盲学生ら握手せり/小室風詩
読初を聴初とせり盲の座/村越化石
幸福な盲ばかりの弾始/阿波野青畝
永き日や寝てばかりゐる盲犬/鬼城
洟たれ児立てり綿入盲縞/西村公鳳
行春や親になりたる盲犬/村上鬼城
秋雨やよごれて歩く盲犬/村上鬼城
霰きく坐せる盲の友一人/京極杞陽
落花浴びて半盲半聾の立仏/安住敦
若き盲女眦ふかく初笑/中村草田男
枯るる中杖が考へ盲仏/加藤知世子
霍乱や里に一人の盲醫者/村上鬼城
俳句例:41句目~
船室に琵琶弾く盲神送り/宮武寒々
盲唖生校門をいづ雪日和/石原舟月
うきね鳥昼も夢みてゐる盲/玉木愛子
鳥雲に入り着ざらしの盲縞/長谷川双
かくて冬盲膏肓に入りにけり/安住敦
かの窓や盲ひし如く冬近し/島田青峰
鷺草に耳そばだてて盲なる/行方克己
戦盲の吹けばかなしき祭笛/吉屋信子
春寒やぶつかり歩行く盲犬/村上鬼城
春雪に盲ひし如く閉しけり/前田普羅
曇日の盲ひし池に蝌蚪蝟集/高澤良一
ゆく春の笛に妻恋ふ盲あり/飯田蛇笏
梅雨寒や盲の歌手の愛燦燦/山菅紫馨
洗飯膝にひろひて盲かな/阿波野青畝
湯屋暮春眼玉を洗ふ盲かな/宮武寒々
琵琶を聴く一人の盲先帝会/香月梅邨
仮面はがれ月に盲となる戦/大屋達治
盲春庭筆太の字の秋の聲/八木林之介
盲より唖のかはゆき月見哉/向井去来
盲同然炎暑爆音身に浴びつ/成田千空
俳句例:61句目~
盲女来て野中の厠で瞠かん/安井浩司
盲蝉ぶつかりに来る行者道/茂里正治
初夢の盲となりて泣きにけり/不死男
十六夜の盲を訪へる盲あり/村越化石
盲鬼あやうく骨のなるほうへ/仁平勝
秋風やよごれて歩行く盲犬/村上鬼城
団扇踏み盲となりし僧おもふ/上村占
塩掛地蔵塩に盲ひて春逝かす/安住敦
筆持たぬ盲ひの友の初電話/高橋利雄
花明り盲学枚へつづく坂/平井さち子
大雪や盲ひし如く家立てり/島田青峰
大雪や納屋に寝に来る盲犬/村上鬼城
妻のまま盲となりぬ菊枕/宇多喜代子
葱汁や寺に盲のかゝり人/石島雉子郎
誓ひには漏れぬ十夜の盲哉/正岡子規
陽炎よ耳盲ふるは花の光か/片山桃史
雛あられ盲二人の差し向ひ/村越化石
雪解鳥皇居におちて盲かな/萩原麦草
冬も黒き眼鏡盲いの目をかくす/三谷昭
盲ひたる土揺さぶつて寒の雨/松村蒼石
俳句例:81句目~
盲蝉ぶつかる音にまどろまず/高澤良一
けし咲くや石地の火蛾は盲とび/上村占
春盲ぼう~と火を焚きにけり/萩原麦草
盲顔を春の障子へ向けゐたり/村越化石
盲ひつつなほ暗がりの桃の花/柿本多映
上げられてしぐれにあひし盲鰡/森澄雄
盲鵜の法師のごとき寒暮かな/近藤一鴻
人麻呂の盲杖桜咲くを待つ/田畑美穂女
兵をして盲の馬をひかしむる/細谷源二
冬の鵙空に盲ふるごとくなり/矢島渚男
盲ひては辿る幾夜の冬木山/金箱戈止夫
冴返る盲ひの曲に目をつむり/山田麦城
秋の雨盲めざめて居たりけり/前田普羅
半盲のもつとも栗を剥きにくし/安住敦
卯の花の月夜を逝きて盲かな/萩原麦草
海溝に盲ひたるごと喪の四月/佐藤鬼房
襟巻にこころききたる盲かな/飯田蛇笏
子とあるく盲いの父の黒マント/三谷昭
冷夏過ぎ盲の鳥が殖えゆけり/天野素子
寒月下盲のごとく沼涸れをり/伊東宏晃