夜風に関連した俳句の例をまとめました。
夜風を含む俳句例
夜風添ふ篝の火の粉初詣/風生
叡山の夜風衣に鉢叩/杉阪大和
薪能遠き篝に夜風立ち/角田独峰
盆唄の夜風の中の男ごゑ/森澄雄
藍浴衣夜風自在に家通る/桂信子
夜風待つ一呼一吸草螢/根岸善雄
淺草の鐘の配りし夜風哉/正岡子規
螺旋階夜風と廻る巴里祭/伊藤京子
夜風また炎立たせて薪能/浅賀魚木
蓬生に蛍みだるゝ夜風哉/正岡子規
篝火のこゝまでぬらし十三夜/風生
深川は月も時雨るる夜風かな/杉風
夜風たつ薄暑の欄の花槐/西島麦南
盆はての港の夜風旅の風/林原耒井
雨幾夜風幾日萩盛り過ぎ/稲畑汀子
死者に簾渓流のごと夜風くる/湘子
能舞台幕料峭と夜風たつ/飯田蛇笏
大旱の夜風に鳴きて枝蛙/石原舟月
あたたかき夜風や家計立直る/有働亨
夜風ふと匂ふ潮の香星月夜/稲畑汀子
俳句例:21句目～
夜風入灯を高く吊れば夏めきぬ/波郷
夜風出づ万灯いろの綿飴に/高澤良一
波郷忌の夜風募りし葛西橋/菖蒲あや
花の精漂ふごとき夜風あり/藤浦昭代
淺草の鐘より出たる夜風哉/正岡子規
舟茣蓙に月の夜風の冷え来る/上村占
胸板に夜風涼しみゐる患者/高澤良一
馬追の髭吹き返す夜風かな/長谷川櫂
風見鶏音して春の夜風楽し/内藤吐天
凝鮒淡海の夜風荒びくる/長谷川史郊
霜の声そして夜風と遠つ祖/池田澄子
浅草や夜風に羽子を突きをるも/灯京
十薬の匂ひ夜風の重くなる/若月一敬
十薬の土瓶の口の夜風かな/今倉良杉
闇深く夜風と心中牡丹かな/高澤良一
盆浴衣運河の夜風鉄くさし/石田波郷
庭石にもみぢ葉寄する夜風あり/龍男
閼伽井嶽夜風ゆたかな盆踊/皆川盤水
閻王の嘉す夜風やぼんの窪/外川飼虎
身八つ口よりの夜風や藍浴衣/桂信子
俳句例:41句目～
亡母恋ふや夜風の中の鳥威/皆川白陀
訃報くる夜風を切つて青芒/大石悦子
鶫焼き夜風荒るるに任せたり/大串章
竜胆の夜風枕に眠るかな/中西美華穂
散歩道夜風の尖る風邪心地/米須盛祐
原爆忌の睡り誘ふ夜風欲し/楠本憲吉
田を植ゑて關八州の夜風かな/福島壺春
白酒のなまじの酔に夜風かな/細川加賀
盆唄もここは相馬よ夜風冷ゆ/大野林火
空ふかく夜風わたして榛の花/飯田龍太
きりぎりす胸毛夜風に大男/滝本魚顔女
空ふかく夜風わたりて榛の花/飯田龍太
花終へて垣の上吹く夜風かも/藤田湘子
茂りあふ蕗より夜風星は高し/下村槐太
衣紋竹夜風のやうに裏返る/長谷川秋子
西行忌夜風に刻のうつりゐる/長谷川双
身ほとりに夜風山風涼し過ぎ/高木晴子
遠雷ののちの夜風の春めく日/飯田龍太
麦秋の雨のやうなる夜風かな/田中冬二
雨音に春の夜風は押しあたり/高橋馬相
俳句例:61句目～
零余子落つ夜風の荒き伊賀の奥/北村保
風蘭の匂ふ夜風となりにけり/土井糸子
馬追の髭そばだてし夜風かな/長谷川櫂
鬼灯の花に間のある夜風かな/大嶽青児
七夕の夜風にあたるギブス組/高澤良一
万灯の搦め取つたる夜風かな/行方克己
五月雨鉄瓶さめし夜風かな/大谷碧雲居
人混みを抜けて夜風の酉の市/辻田操子
鮟鱇がそろそろ旬の夜風かな/鈴木鷹夫
麦秋の夜風ふろ火は親しき舌/大井雅人
夕月は落ちて灯を吹く夜風哉/正岡子規
夜風たつ菊人形のからにしき/飯田蛇笏
夜風出づ短か鳴きして盆の蝉/高澤良一
夜風出て火の粉舞ひ立つ薪能/稲畑汀子
如月の夜風どこぞの家とざす/富田木歩
尼のもの干されてかなし十三夜/風三楼
恋猫の声のまじれる夜風かな/長谷川櫂
掘り上げて夜風匂へり生姜畑/斎藤道子
新涼の夜風障子の紙鳴らす/長谷川素逝
木蓮を過ぎてきたりし夜風なる/桂信子
俳句例:81句目～
白峰の夜風なりけり蝦蛄の鮨/谷村幸子
檀一雄逝きし二日の夜風かな/細川加賀
洗ひ髪夜風に吹かれ白を増す/鎌居千代
渓は鳴り岩山夜風梨花散らす/岡田日郎
犇々と板屋に霜の夜風かな/大須賀乙字
猪吊れば夜風川風吹きさらし/石田波郷
あたたかな夜風が顔に枇杷の花/岸本尚毅
いちにちの果の夜風に妻の足袋/飯田龍太
うすもののひとを攫ひし夜風かな/岸田稚
松虫や夜風のすさぶ山の樹々/高橋淡路女
置炬燵夜風障子につめたかり/坂本四方太
月の木戸しめ忘れたる夜風かな/飯田蛇笏
千鳥鳴くところ定まり夜風出づ/長谷川双
妻居ぬ元日夜風が長い長い帯/磯貝碧蹄館
吹きわたる夜風は涼しすぎる程/高木晴子
ぬかるみに夜風ひろごる朧かな/渡邊水巴
苗障子はづし夜風に馴らしをり/板東福舎
みちのくの帰雁に夜風悲しとも/高木晴子
薔薇ひらく夜風病後は耳聡し/古賀まり子
花ざぼん匂ふ夜風を窓に入れ/田代八重子
