伽藍に関連した俳句の例をまとめました。
伽藍を含む俳句例
春暁や一点燈の大伽藍/青畝
奈良七重七堂伽藍八重桜/芭蕉
曙や伽藍伽藍の雪見廻ひ/荷兮
開帳や一寸の秘仏大伽藍/住玉蝉
大伽藍炎上の跡百日紅/広瀬直人
蝶の空七堂伽藍さかしまに/茅舎
春月に瑪瑙色あり大伽藍/森澄雄
黒揚羽七堂伽藍秋の影/川崎展宏
大伽藍跡を耕し空に入る/須崎敏之
八重櫻地上に畫く大伽藍/村上鬼城
雪解けて力抜けたる伽藍かな/敏郎
春天に鳩をあげたる伽藍かな/茅舎
芍薬や兵士宿とる大伽藍/正岡子規
芍薬や兵士宿かる大伽藍/正岡子規
初蝶の宙へと昇る伽藍かな/石嶌岳
にぎはしき雪解雫の伽藍かな/青畝
風響くなり氷瀑の大伽藍/高澤良一
唐招提寺伽藍の布置や鳥曇/森澄雄
瑞牆の巨石伽藍や百千鳥/大塚宏江
犬吠て枯野の伽藍月寒し/正岡子規
俳句例:21句目~
天平の伽藍の下の蟻地獄/野村美恵
天平の大堂伽藍毛虫這ふ/山下佳子
山焼の麓に暗き伽藍かな/多田桜朶
東大寺伽藍の中を芹の水/長谷川櫂
大伽藍抱きて冬の闇厚き/狹川青史
人細し野分の朝の大伽藍/正岡子規
花散るや伽藍の枢おとし行く/凡兆
落ち瓦つまれて伽藍雪解かな/爽雨
大伽藍跡は茅花の銀の波/小路紫峡
鎌倉や伽藍を結ぶ露の磴/小菅高雪
雪山を容れて伽藍の大庇/伊藤柏翠
芝の霜伽藍の影のまま残る/狹川青史
おんおんと伽藍ひびかすの悔/中勘助
お松明の寂光さえて大伽藍/高桑義生
きらきらと堂塔伽藍雪解谷/廣瀬町子
その中に伽藍をうつし露の玉/中田剛
秋冷の山なだるるよ大伽藍/河野南畦
眞宗の伽藍いかめし稻の花/正岡子規
煤拂のほこりに曇る伽藍哉/正岡子規
炭竃や伽藍あるてふ大悲山/尾崎迷堂
俳句例:41句目~
炎天やのめりて登る廃伽藍/小林康治
名月に白粉くさき伽藍かな/正岡子規
崖に倚る塔や伽藍や秋の山/正岡子規
月明の一枯草の伽藍かな/河原枇杷男
時鳥啼くや伽藍の屋根許り/正岡子規
春風に暮れてひと冷ゆ大伽藍/原石鼎
大伽藍身延の霧を裾に巻く/沖正一郎
昏鐘や七堂伽藍梅雨の中/町田しげき
奈良千年伽藍伽藍の時雨哉/正岡子規
夜の雪杉の木の間の伽藍哉/正岡子規
廻廊を鹿の子が駆くる伽藍かな/誓子
心中に伽藍の炎ゆる桜の夜/柿本多映
幟立てる人家は遠し大伽藍/正岡子規
大伽藍出でて余寒を払ひけり/安原葉
方正の伽藍へ飛ばす杉花粉/和田悟朗
大木の伽藍のごとき八重桜/高澤良一
廃伽藍裸子が攀ず隠れなし/小林康治
御松明の寂光きえて大伽藍/高桑義生
国宝の伽藍を栖すがれ虫/羽根尾一孝
方丈を繋いで梅の伽藍かな/福田白祇
俳句例:61句目~
薄氷の使いの蝿の伽藍かな/永田耕衣
蝙蝠の卍飛び出す伽藍かな/川端茅舎
初茜影うつくしき大伽藍/戸石よしえ
十余人あがり伽藍の雪おろし/井上雪
蟷螂の翔んで雨中の大伽藍/佐川広治
吾去れば秋風残る伽藍かな/山内山彦
門許り殘る冬野の伽藍かな/正岡子規
大凧や伽藍の屋根に人の声/正岡子規
夏山の襟の中なる伽藍かな/京極杞陽
雪止むや雪の伽藍にかゝる星/及川貞
雪空に睡魔の描く大伽藍/野見山朱鳥
大切子吊りて人なき伽藍かな/轡田進
蟲鳴くや七堂伽藍何もなし/正岡子規
大伽藍越えて白蝶酔いゆけり/和田悟朗
山を焼き七堂伽藍焼く火かな/行方克巳
大伽藍春とどめんとして黙る/和田悟朗
春火桶伽藍の夕日見てゐたり/山田弘子
樟若葉押し照る中の一伽藍/下村ひろし
水無月の苔の蒼さや大伽藍/大谷碧雲居
炭はねて七堂伽藍灰となりぬ/正岡子規
俳句例:81句目~
煤掃や南都に晴るる一伽藍/大峯あきら
秋の空伽藍の屋根をありく人/正岡子規
ふる雪やすでに深雪の一伽藍/橋本鶏二
芽吹くもの丸き七堂伽藍かな/宮坂静生
菖葺くよしもなかなか大伽藍/正岡子規
伽藍の屋根大日わたる恋雀/橋本多佳子
薄氷のももいろすこし大伽藍/鳴戸奈菜
伽藍より飛行の花を鍬が受く/下村槐太
虫なんど鳴くや伽藍の真昼間/徳田秋声
全伽藍雪降れり父母未生の闇/倉橋羊村
冬蝶の夢見むとゐる伽藍かな/藤田湘子
凧の糸二すぢよぎる伽藍かな/高野素十
五月雨の木の間に暗し大伽藍/正岡子規
見上ぐるや伽藍の上も花りんご/及川貞
臘八の聴衆まばらや大伽藍/松本たかし
国宝の伽藍の雪を撫で下ろす/高岡周子
境内に汝も伽藍持つ蝸牛かな/尾崎迷堂
夏帽の膝より落ちし伽藍かな/依光陽子
夏雨に夜明けてゐたり大伽藍/中川宋淵
雪掻のとりつきのぼる大伽藍/伊藤柏翠