昨夜/よべに関連した俳句の例をまとめました。
昨夜/よべを含む俳句例
昨夜の雨残す雫や烏瓜/松田多朗
雨となりぬ雁声昨夜低かりし/子規
よべの雨閾濡らしぬ霊祭/芝不器男
平湯径よべの秋雨湛え居り/前田普羅
桜の実よべ来し按摩家築く/宮武寒々
よべ春の月の細きを語る窓/稲畑汀子
青空や千の花火を昨夜呑みし/塙告冬
昨夜われら椿でありき落椿/池田澄子
父の忌の昨夜となりけり星祭/齋藤玄
よべの雨馬藺に殖えぬ蝸牛/黒柳召波
よべ買ひし寒蜆なり水の中/小澤碧童
よべの雨暁樹々の氷柱かな/赤木格堂
よべの雛旦の雛と存問す/阿波野青畝
沖に出てよべの流燈漂へる/清崎敏郎
よべの雨春隣まで来りけり/高木晴子
昨夜の猪峠に現れて二つ/森下草城子
蛍籠よべ吊り今宵芝に置く/清水忠彦
秋桜連峯よべに雪着たり/金尾梅の門
はまなすや沖に昨夜の時化濁り/今寛人
よべ春の月を宿してゐし湖に/稲畑汀子
俳句例:21句目~
島蝶よべの凶夢とかすめ去る/福田蓼汀
仲見世や羽子板市の昨夜の塵/上條筑子
息白くよべ残したる仕事継ぐ/石塚友二
明け易きよべ裾ひきし女はも/山口青邨
拳で叩く枯木悪夢の昨夜無し/小宮山遠
掃きよせて嵩なき昨夜の灯取虫/原柯城
木曾谷の木魂の寒さ相よべり/加藤秋邨
画室秋意出品の筆よべ措きし/皆吉爽雨
相よべぬ程に離れつ汐干人/高橋淡路女
昨夜の夢かなし寒紅そと淡く/高橋笛美
芋の露よべの嵐を切り抜けし/高澤良一
昨夜の雨峡田は半ば刈られをり/しゆら
昨夜の雨末黒の芒濃くしたり/戸川稲村
春雪の昨夜のひと塗り立山は/橋本榮治
よべ一夜鳴きゐし虫や翅青く/中村汀女
昨夜執しをりし蚊ならむ骸あり/稲岡長
よべも亦水鶏聞きけり離宮守/中川四明
昨夜月夜八十八夜曇りけり/篠田悌二郎
昨夜雨の籠り蚊放つ木曽格子/高澤良一
松虫は昨夜の位置なり便書く/中村明子
俳句例:41句目~
よべの雪化粧ひて利尻富士泛ぶ/上村占
よべの雨山に余寒を残しけり/高澤良一
よべの痴態偲ぶ窓花蓮眩し/中塚一碧樓
よべの雨ふふみたる艶寒牡丹/田中英子
よべの雪檜皮にのこり梅花祭/大橋敦子
よべの虫生きて明るし菊畑/大谷碧雲居
よべの雨に家々ぬれて二月盡/内田百間
よべの月細くも差せし茸山/百合山羽公
よべ焚きし灰のぬくもり鳥曇/鈴木貞雄
よべ置きし霜の雫か簷落つは/石塚友二
よべ過ぎし崖におどろく露薊/林原耒井
よべ野分朝の日に照る石の影/田中英子
よべ雨のありて痘痕の苗札よ/高澤良一
七夕をよべに星澄む越の空/文挟夫佐恵
初鴉よべより明き月へ飛び/池内友次郎
よべ星と語りし秋を惜しみ発つ/稲畑汀子
冬の梅昨夜の袴に日を当つる/金尾梅の門
よべ天降りたるかや朝の曼珠沙華/稲岡長
新緑や木椅子に昨夜のしめりあり/岡和絵
昨夜といふ父の世のあり秋桜/上田日差子
俳句例:61句目~
よべの漁つとめたる鵜の翡翠の目/森田昇
昨夜の熱身ぬちに残り冬瓜汁/岡部名保子
螢の数問い合はせれば昨夜三頭/高澤良一
よべの飯凍てつきゐるや藁盒子/坂井華渓
よべの雨松露の砂はやゝかたく/安宅信一
よべの海霧丘にのこれり風露草/澤田緑生
四葩咲きよべの涙を忘れしむ/文挟夫佐恵
子をよべば妻が来てをり五月尽/加藤楸邨
山螢よべのあらしに消えにけり/室生犀星
露ながる冬菜ポストヘ昨夜の文/下村槐太
よべの火蛾浮ぶ朝湯に身を浸す/浅野右橘
よべ着きし紅葉の谷の旅籠かな/尾崎迷堂
採氷池よべの霰のまろびをり/金子伊昔紅
よべの凍ミ月にのこれり白磧/中戸川朝人
木つつきの登るよべ星宿しし木/村松紅花
舗装路の昨夜のほてりや敗戦日/飯野計夫
死を知らずよべ望月を梅の中/宇佐美魚目
残菊の番りをよべばたまかぎる/伊藤敬子
暁の露闇は濃かりし昨夜なりし/島田青峰
よべ踊り痴れたる街に出勤す/椎野ひろし
俳句例:81句目~
よべとりし虫籠の虫なきにけり/野本城山
昨夜の雨のこりて暗し郁子の花/田中冬二
紫陽花に又読むよべの束ね文/石島雉子郎
芭蕉生家昨夜地蔵会の行燈置く/橋本鶏二
落栗をよべ栗の木を今朝見たり/後藤夜半
昨夜の鉾稚児いただきて練りきたる/源義
賜はりし春睡よべを寝ねざれば/相馬遷子
軒氷柱よべの底冷えありのまゝ/高澤良一
避暑の航甲板よべの雨のこす/大岳水一路
宿を発つよべの行火の礼言ひて/浜井武之助
よべの雨遠ひかりしてみむらさき/関戸靖子
よべの雨閾ぬらしぬ霊祭/定本芝不器男句集
よべよりも月夜明るき冬田かな/大峯あきら
よべ夏炉焚きし匂ひの避暑ホテル/高木晴子
よべ月をあげし遠嶺の名を問ふも/山田弘子
よべ歌舞のありしところを外寝人/岩崎照子
昨夜の凍てとけゆく綺羅や糸寒天/水野富美
昨夜よりの雨やみ麦を刈るばかり/田中冬二
朴落葉よべの湿りのまゝ踏まれ/山口あつ子
よべ雨の諏訪のやしろの春田かな/野澤節子