やや寒に関連した俳句の例をまとめました。
やや寒を含む俳句例
秋寒や行く先々は人の家/一茶
秋寒むや行先々は人の家/一茶
やや寒く人を覗ふ鼠かな/乙州
秋寒し藤太が鏑ひびく時/蕪村
入相をつく~ぼうし秋寒し/百万
やや寒や船の中なる船の影/坤者
稍寒の鏡もなくに櫛る/夏目漱石
うそ寒し体温計を脇挟み/高澤良一
やや寒や高きところの薬箱/栗島弘
うそ寒う昼めし喰ぬ煤払/高井几董
うそ寒や横むく貌の人体図/辻文治
うそ寒き報捨の米や一握/村上霽月
秋寒し此頃あるる海の色/夏目漱石
やや寒や素通りをせし郵便夫/千代
うそ寒や蚯蚓の唄も一夜づゝ/一茶
うそ寒や只居る罰が今あたる/一茶
やや寒の色を濃くしぬ絵鍋島/基吉
やや寒き雨の東京滞在に/稲畑汀子
うそ寒の顔つゆ寒の袂かな/草間時彦
うそ寒やめしを炊いてる幇間/龍岡晋
俳句例:21句目~
うそ寒き易者が顔や市の風/浜田波静
うそ寒く閉づる朝刊同病死/相馬遷子
やや寒の笛に唇あて能役者/角川春樹
くりからの小うそ寒しや雲の脚/路通
秋寒や愛ゆゑ妹が顔をうつ/飯田蛇笏
うそ寒や畳にをどる影法師/富田木歩
うそ寒の忍び足なり烏骨鶏/堀口星眠
鯛切れば鱗眼を射る稍寒み/夏目漱石
やや寒の指輪忘れし薬指/小松世史子
やや寒の同じ頁に執しをり/太田昌子
うそ寒や黒髪へりて枕ぐせ/杉田久女
うそ寒や親といふ字を知てから/一茶
やや寒の朝湯文人気分かな/高澤良一
うそ寒くふぐり匿ふ衾の中/小林康治
渋柿は渋にとられて秋寒し/正岡子規
うそ寒や障子の穴を覗く猫/富田木歩
やや寒み襟を正して座りけり/正岡子規
八手咲くうそ暖くうそ寒く/相生垣瓜人
いたつきの泣き顔変る秋寒し/林原耒井
円空の千手かんのんさん秋寒/高澤良一
俳句例:41句目~
寒さやや父より届く辺塞詩/下山田禮子
水はけをうそ寒く土削りけり/内田百間
うそ寒き顔瞶め笑み浮かばしむ/岸田稚
水上にアザラシの息うそ寒し/高澤良一
水族館やや寒人の声こもる/深見けん二
秋寒う日常の餉につきにけり/飯田蛇笏
秋寒くなりゆく竹を愛すなり/角免栄児
うそ寒の湯揉み赤帯赤湯文字/高澤良一
秋寒く胡坐をかくと倒れさう/桑原三郎
秋寒し一茶の句碑の屈みぐせ/西野敦子
秋寒し満天星紅をなさず散る/林原耒井
秋寒の比叡の小僧や吾を待つ/高木晴子
うそ寒の島の灯や島々の灯や/石塚友二
うそ寒の母の孤愁を感じをり/老川敏彦
うそ寒の毘羯羅大将より拝観/高澤良一
うそ寒の水銀玉となりたがる/和田悟朗
うそ寒の花蝕める桔梗かな/高橋淡路女
うそ寒の頬つりあがる円空佛/高澤良一
うそ寒や不断ふすぼる釜の下/椎本才麿
うそ寒や乱れて続く通夜の列/乙武佳子
俳句例:61句目~
うそ寒や持薬加へて旅かばん/毛利友美
うそ寒や自画像ばかり売れ残る/仁平勝
うそ寒や草の根這へる裏の山/永田耕衣
秋寒き天狗笑ひに坊更くる/上田五千石
やや寒く南へ抜ける北の音/田川飛旅子
やや寒く箸のせてある置手紙/友岡子郷
やや寒く謙信公を祀りたる/八木林之介
やや寒し雀鳴く度身を緊めて/香西照雄
やや寒の凛と役者の素顔あり/横田欣子
やや寒の病棟に炊く冬瓜汁/小島千架子
やや寒の象に曳かるる足鎖/秋元不死男
うそ寒く本土キツネに覗かるる/高澤良一
うそ寒の驛吐かれ出づ旅ひとり/石塚友二
うそ寒うあけびの蔓の絡みあふ/渡辺桂子
やや寒く山見てゐしが歩き出す/関戸靖子
うそ寒き雨の寺苑をゆき戻り/小野久仁子
夜やや寒なりし手のおきどころ/宮林菫哉
手に通す肌着やや寒いよいよや/高澤良一
うそ寒や奈良井の水場辻ごとに/伊東宏晃
うそ寒の身をおしつける机かな/渡辺水巴
俳句例:81句目~
うそ寒く眠気さすなり飯のあと/吉田冬葉
うそ寒く読み終へぬ雨月物語/高橋淡路女
病める鯉ゆらりと浮きて秋寒し/安斉君子
うそ寒や耳うすければ運うすく/野村喜舟
うそ寒や山下りて来し馬の顔/大岩吟公子
やや寒の壁に無髯の耶蘇の像/中村草田男
うそ寒の楽屋に落す化粧かな/大星たかし
うそ寒の爪先に落ち真赤な葉/鷲谷七菜子
やや寒の鯉にゆらりと鯉寄りて/高澤良一
うそ寒く生涯の友となりゆくか/清水基吉
やや寒く投薬を待つなべて老/関口あつ子
うそ寒の口にふくみて小骨とる/飯田龍太
うそ寒や艪臍の泣くに潮食はす/高田蝶衣
うそ寒のしだいに暗く寺を辞す/岩垣子鹿
うそ寒にくさめ七十二回かな/稲畑廣太郎
うそ寒や一語に出鼻くじかれて/川村紫陽
身籠りてわが身大事ややゝ寒く/稲畑汀子
鐘楼のなかの地獄絵うそ寒し/福田甲子雄
「模聞雅話」鬼の角切りうそ寒し/高澤良一
うそ寒くゴルフ談議の辺に侍すも/草間時彦