砂漠に関連した俳句の例をまとめました。
砂漠を含む俳句例
妹よ淀は砂漠の水車/鈴木六林男
戦争の砂漠が写り蜆汁/沢木欣一
わが砂漠出発点か終点か/津田清子
髑髏磨く砂漠の月日かな/津田清子
砂漠の木自らの影省略す/津田清子
霾天や砂漠が抱く月の湖/山田凉子
逃水や砂漠に貝の化石売/石野冬青
大岩が歩く砂漠の幾世紀/川村柳月
大砂漠一匹の蝿音もなし/永井敬子
砂漠戒第二条耳塞ぐべし/津田清子
天山南路九月の砂漠河消えて/久保武
天球の一角おぼろなる砂漠/澤田緑生
砂漠戒第一条眼を瞑るべし/津田清子
女には乳房が重し夜の砂漠/津田清子
はじめに神砂漠を創り私す/津田清子
鱗雲砂漠を覆ひつくせざる/品川鈴子
砂漠の木老太陽を友として/津田清子
駱駝負ふ都会の砂漠花曇り/渡辺恭子
虫鳴いて砂漠の町の裏通り/山口牧村
砂漠にも木下闇あり葡萄棚/品川鈴子
俳句例:21句目~
耳鳴りの砂漠に出れば春霞/斉藤夏風
極寒の月も砂漠も遥かなり/門脇静子
純白の砂漠に死にし黄金虫/仙田洋子
穀象に砂漠の如く米を干す/松原恭子
砂漠近き夜の太鼓や春寒し/小池文子
毛皮被て東京砂漠歩むかな/山田弘子
夜の砂漠に夏灯が綴る幾何図形/林翔
着ぶくれて震災砂漠歩きけり/本橋節
大揚羽砂漠の風をまとひ来し/原朝子
狼を飼うて砂漠に住む女/保田白帆子
鳩の目に砂漠が見える朝の寺/前田弘
砂漠に妻匂う一直線に真黒に/和田悟朗
砂漠に立つ正真正銘津田清子/津田清子
砂漠の家族/ガラスに指紋/高橋比呂子
砂漠の木百里四方に友はなし/津田清子
砂漠の木神の像をして立てり/津田清子
ぽつねんと砂漠の果の山笑ふ/有馬朗人
砂漠より戻りし髪を洗ひけり/藺草慶子
ゴビ砂漠埃除けして綿取女/井上たか女
砂漠千里小草も見えず雲の峯/正岡子規
俳句例:41句目~
砂漠来て崑崙の水に夜濯ぎす/田中英子
ミサイルの実験砂漠白く炎ゆ/仙田洋子
砂漠越ゆ女神たのみの春飛行/松村多美
天の川砂漠へ下車のトルコ帽/大森弘子
自らを墓標となせり砂漠の木/津田清子
人間の枷を砂漠の何處で解く/津田清子
冬ざれの砂漠に群れて化石売/都筑智子
茂る夢咲く夢も見る砂漠の木/津田清子
唾すれば唾を甘しと吸ふ砂漠/津田清子
葡萄干す民に砂漠の地平線/岩淵喜代子
蟻の列赤き砂漠を横切れり/池田すみ子
夏蝶は砂漠の影に入らず舞ふ/仙田洋子
驢馬連れて砂漠の町の夜長人/山田弘子
大根を蒔きて砂漠を私有せむ/津田清子
黙々と砂漠に雪が降るこわさ/対馬康子
夾竹桃東京砂漠灼けはじむ/千代田葛彦
春暁や砂漠が貌を持ちはじむ/宇咲冬男
月に酌む砂漠の民のひと屯ろ/山田弘子
月光に砂漠は襞を生みにけり/山田弘子
涯てに砂漠廃車沈める秋の水/小池文子
俳句例:61句目~
渋柿を喰うて砂漠となりし口/坊城俊樹
血に渇く砂漠は巨大蟻地獄/山本五十鈴
玄奘も見しや砂漠の蜃気楼/長谷阪節子
砂漠かと姥が来ている夏の寺/和田悟朗
砂漠には壺を抱きて寝る駱駝/対馬康子
砂漠には砂漠の時間昼寝して/稲畑汀子
あたたかし砂漠に消ゆる川想ひ/矢島渚男
蝶炎えて赤き砂漠に落ちにけり/仙田洋子
秋風の砂漠の駅に着きにけり/池内友次郎
父母と居て砂漠の如し去年今年/青木重行
穢土浄土月の砂漠の賭博都市/保田白帆子
みどり子に砂漠の果ての煌々と/大西淳二
熱砂降る砂漠の薔薇と言ふは石/小池文子
毛布敷く春愁の砂漠ひろげつつ/宮津昭彦
ラクダ行砂漠の月のいまだ出ず/広田祝世
一草もなくて砂漠を越えし蝶/田原けんじ
唇に砂漠いちまい畳まれたり/増田まさみ
地の塩が白を凝らせり灼け砂漠/品川鈴子
地の果てに秋天尽くやゴビ砂漠/籠田幸鳴
夜間飛行砂漠の薔薇は見えますか/鷲田環
俳句例:81句目~
機内やや暑し砂漠の上を飛び/猿橋統流子
砂漠の木の棘は愛なり生命なり/津田清子
砂漠にも草の絮とぶ未来あり/水田むつみ
砂漠に一滴目薬落ちて炎上す/八木三日女
炎日やどこかきらりと砂漠の目/加藤秋邨
灯の尽くるかなたは砂漠髪洗ふ/小池文子
襖絵の砂漠に独りをりにけり/宮澤さくら
遅日なほ砂漠の翳の起き伏しは/澤田緑生
鍬入れの砂漠に挙がる鯉のぼり/飯隈球子
降誕祭の曙光に染まる砂漠かな/仙田洋子
駝鳥現れ砂漠の時空駆けぬけし/津田清子
月の砂漠に死にゆけるひとの数/黒田杏子
天山のスイカを乗せてゴビ砂漠/溝口博子
黄河より砂漠へとんで蝿着きぬ/落合水尾
砂漠近き夜の仮の世の牡蠣すする/小池文子
駱駝の背砂漠に春を惜しみけり/長屋きみ子
糞ころがしに砂漠の太陽顔を持つ/加藤秋邨
燐寸摺りてゴビの砂漠の虫を見き/加藤楸邨
月の砂漠をはるばると壷のまわり/和知喜八
朝あり夕ありて砂漠は老けこむよ/津田清子