無言に関連した俳句の例をまとめました。
無言を含む俳句例
花疲隣同志にゐて無言/星野椿
兵馬俑軍団無言春寒し/磯直道
雪被く父情無言に斧始/深谷雄大
掛乞や無言でいぬる餅の音/許六
無言館花栗匂ふ登り口/長村雪枝
無言館への坂道妻と斑猫/鈴木明
無言貿易石炭を骸かす雪/竹中宏
風厳し無言の行や座禅草/黒田節
霜柱無言は力尽しけり/綾部仁喜
捩り花地蔵無言の石並ぶ/河野南畦
初暦富嶽無言のことばあり/松本光
鬢の霜無言の時のすがたかな/許六
黒牡丹無言の黒が水を吸ふ/原和子
敗荷や頭を垂らす無言劇/飯田春紅
丸眼鏡冴ゆる肖像無言館/田中利子
瞳が涼し蓬髪無言の山男/福田蓼汀
聖五月神は一切無言にて/山本嘉郎
行春や画学兵士の無言展/中村一維
両岸の無言の群衆秋の水/中村草田男
酒に力借りて無言の蓮根掘/大熊輝一
俳句例:21句目~
神無言風花無言いのちの赤/平井照敏
月蝕や天の無言歌喉に授く/五島エミ
風の中/無言あふれる弥生変/穴井太
遺跡とは無言の歴史油照/田中まさし
無言にて座りしままの暦売/松尾隆信
鳥交る無言館出て皆黙し/中戸川朝人
われも亦無言を守り座禅草/藤田湘子
無言とは妻の仕打ちの秋の霜/澤悦子
枯園に入りて無言の人となる/滝峻石
幾百の無言の語り部流灯会/岸田芳雄
懸想文売の無言は予て知る/後藤夜半
湯気立てて男無言の轆轤の座/森えみ
冬座敷とほる無言の老牧師/飯田龍太
冬空の鴉の無言電話かな/岩淵喜代子
扇風機誰も無言の時愛す/古賀まり子
歳晩の路の石踏み無言なり/赤尾兜子
無言館へ坂の途中の鳥威/川原とし江
無言こそつよき諍ひ落葉期/宮坂静生
膝の子も無言颱風来る夜なり/有働亨
月光に棒稲架たちの無言劇/鎌田/亮
俳句例:41句目~
桜切る父七十歳の無言にて/寺田京子
百咲いて百の無言や座禅草/藤田湘子
郭公やみぬ導水管に無言の刻/栗生純夫
さくら枯れ僧院めきし無言館/大堀澄子
蝉穴を無言で過ぎし一兵士/相原左義長
蓮根掘る男よろめきても無言/花谷和子
落葉敷きつめて尾長の無言劇/堀口星眠
汗のてのひらを泳がす無言劇/行方克巳
冷まじや無言館とは悲しき名/内田幸子
無言で対す無言の雪の八ケ岳/小林草山
団交無言ぎらりと返る夜の金/川村紫陽
花了へし梨棚や無言人に強ふ/宮津昭彦
大試験終り無言を解かれけり/松本巨草
夫と来てやがて無言の花の下/加藤元子
子ら去って二人無言の蜜柑剥く/山口晃
牡蠣を割る方一尺の無言の座/水原春郎
無言館に入るは英霊訪ふ寒さ/鈴木榮子
笑みと云ふ無言の会釈暖かし/田中暖流
寒鯉に出刃の近づく無言かな/鈴木鷹夫
炎天下無言で父に叱らるる/和田耕三郎
俳句例:61句目~
岬に集る無言の提灯踏絵の町/金子兜太
紙漉くや雪の無言の伝はりて/細見綾子
日本海黒無花果に無言なり/黒田桜の園
雪踏みの無言につづく深雪空/松村蒼石
夏墓にわつと無言の歓呼かな/攝津幸彦
露更けぬテント四人の無言界/岡田貞峰
鞦韆を下りきて僧の無言かな/加藤楸邨
女三人の無言の昏み曼珠沙華/野澤節子
歌かるた無言の人の上手かな/浜田波静
無言よし漬け茄子のつや青夕映/堀葦男
秋蝶のまぎれ込みたり無言館/武田稜子
柿食ふや妥協を決めてより無言/川村紫陽
うつつや冥き無言の雑踏地蔵盆/成田千空
無言館出て日盛りへしばし無言/吉田未灰
涸川見る砂利採り馬の無言見る/寺田京子
白露や無言を応へなしとせる/上田五千石
眼伏せて炭ついでゐる無言かな/島田青峰
秋の野のちからは川の無言にも/石川静雪
秋の馬われの無言を過ぎゆきぬ/金子兜太
羽抜鶏裂く間も農夫無言のまま/宮坂静生
俳句例:81句目~
老鶯のはるかに聞こゆ無言館/市野沢弘子
蟷螂と無言にあそぶ濡れ髪して/野澤節子
行く春を無言の人のあはれなり/正岡子規
赤ん坊と無言の刻や星増ゆる/八木三日女
金木犀シルエットでも無言でも/田井淑江
闇ふかき半裸の無言おそろしき/加藤楸邨
ことさらに無言詣のまはりみち/武藤舟村
雪嶺の無言に充てる太虚かな/松本たかし
雪無言書かざる一語一語積む/成瀬櫻桃子
アカシアに芽吹きの雨や無言館/谷渡末枝
冷麦食ぶ無言無風の父と子と/平木智恵子
咳きのあとの無言を自恃とせり/小澤克己
夜を脱ぐ無言のドラマ星飛んで/齊藤素女
夢に来て無言の夫よ雪ぼたる/緒方みどり
安土城址を宙に無言の毛見の衆/橋本榮治
小鳥来る少年無口にして無言/井出真理子
掃除婦のおばさん雨の日は無言/上岡鎮馬
ブロウニュの瀧も無言を破りをり/横光利一
みかんむき無言で足りる夫婦かな/末岡菊江
無言館の無言コスモス乱れ咲く/四倉喜美子