漢に関連した俳句の例をまとめました。
漢を含む俳句例
道祖神漢のすなる肉の華/林桂
元日や四十漢の広額/西島麦南
六十漢早寝早起更衣/黒田杏子
螢狩峡の漢の匂いけり/寺井谷子
密猟の漢を隠し山眠る/星野秀則
晴れ男終の淡雪漢かな/青木重行
刺青の漢ゆ四万六千日/角川春樹
薬喰背中淋しき漢どち/山田弘子
薄翅蜉蝣想へば漢匂ひけり/林桂
稲の花村に明治の漢絶ゆ/平/清
夏帽の古きを以て漢法医/正岡子規
春風に髯曲りつつ立つ漢/京極杞陽
海鳴りは漢の挽歌寒昂/萩谷ただし
椎の花神も漢の匂ひせり/角川春樹
宵闇の武漢空港友の待つ/後藤緒峰
汗拭ひ拭ひ漢の一礼す/涌喜摩耶子
沖膾可可大笑の漢たち/柴田美代子
海棠や漢皇重色不思傾国/尾崎紅葉
漢をり鬼灯市の暗がりに/行方克巳
火祭や漢紅蓮の匂ひせり/槍田良枝
俳句例:21句目~
小心な漢に木馬回り出す/山本敏倖
炎天に漢はひかる葬花もつ/穴井太
ゝと白く無帽の漢耕せる/京極杞陽
小漢の声の大きく寒稽古/古賀筑史
居酒屋の漢の夕餉初鰊/渡辺とき子
墨匂ふ漢の山々眠りけり/室生犀星
花冷の小蟹愛しむ漢の掌/渡辺恭子
七夕や漢に生れ妻と会ふ/福永鳴風
年酒酌み生国遠き漢たち/中村苑子
二人乗るあらくれ漢飛舟/藤後左右
会へば物呉るる漢は梟か/藤田湘子
藍の里ありて漢の朝言葉/阿部完市
冬山の漢はっしと楔打つ/佐藤吟秋
冬来る楔をたたく漢かな/中島龍子
勿忘草の法體の漢なぞ/佐々木六戈
螢よぶ別の声もつ漢あり/大橋敦子
鉛筆を走らす花鳥諷詠漢/高澤良一
陽炎の一句漢の南無盡盡/丸山嵐人
霞みけり漢秦もこの道来/筑紫磐井
壮漢も貧し焼藷車押す/百合山羽公
俳句例:41句目~
星合の畢は漢の孤りなる/宮慶一郎
あかあかと鵜匠は夜の漢かな/旭蝸牛
逞しき冬こそ来つれ彼の漢/栗生純夫
瀬に立ちて山女を串に刺す漢/瀧春一
投網打つ漢の背中刻を止め/武澤林子
春一番鉄の匂ひの漢くる/矢野さとし
放流了へ熱燗を酌む漢たち/石川文子
江漢の塚も見ゆるや茨の花/室生犀星
蝌蚪明く原人のごと睡る漢/成田千空
たじろがぬ漢の視線梅真白/吉川能生
つちふるや殷周秦漢草枕/川崎益太郎
鍵束を鳴らす漢は冬怒涛/佐々木義雄
ひもすがら耕す漢の都あと/荒井正隆
港いつも寒き漢の声に満つ/大橋敦子
漢らの亡者踊りの眼が光る/小宮久美
毛虫焼く女見てゐる漢かな/大坪景章
降誕祭海に飛び込む漢たち/佐川広治
先生の更衣して漢意あり/池上浩山人
末黒野の端に漢の無聊かな/野澤節子
嚏より入つて来たる漢かな/村田明子
俳句例:61句目~
墓洗ふ印度の石に漢の文字/村本畔秀
水売りの漢につきて羽抜鶏/藺草慶子
画眉鳥は虎鶫なり漢ら囲む/金子皆子
終はらざる満漢全席外は雪/櫂未知子
耕や漢が地球割らむとす/宮澤さくら
宝木の香会陽の漢昂ぶらす/後藤清美
船霊や風吹けば来る漢たち/中村苑子
芍薬や難思ゆたかなる舞漢/永田耕衣
寒梅の漢才を競へと奨學院/筑紫磐井
寒風に磨き抜かれし漢かな/後藤宣代
落葉掃く漢あらはれ王の森/佐藤宣子
小春日や漢の指が鶴を生む/中西孝子
岩削がれ漢のかたち浪の華/赤塚五行
いたち罠得手の漢が落盤で/高橋やすお
掌が白い武漢の地図となる/富澤赤黄男
蜜豆を食べる漢に生まれけり/中村正幸
真夜の火事漢おのれの淵覗く/高杉正生
目刺買ふ漢の素顔見られゐて/小川玉泉
けふ夏至の山を離るる漢たち/中村苑子
海図など要らぬ漢のさより/つじ加代子
俳句例:81句目~
老僧の漢詩のごとき落葉焚き/宇都宮靖
父の日をベンチに眠る漢かな/中村苑子
ナイターの大旗が揺れ漢揺れ/菅原星夫
熱燗に漢の世辞をにくみけり/福永鳴風
万延元年肩ぶつけあふ漢かな/攝津幸彦
又の世は漢たるべし寒の紅/つじ加代子
マント着て行く平成の漢かな/渡部恭子
春雨の武漢に絹を売りにゆく/山本洋子
夜桜を駈け抜け行きし漢かな/行方克己
天心にひらがなを書く漢かな/大井恒行
寒の水泥酔漢をつたい落つ/鈴木六林男
白鳥を撃ちし漢の曳かれゆく/依田明倫
樹の太刀をつくる漢の小正月/佐川広治
潮の匂いの漢が下げる濃き地酒/穴井太
穴掘る漢みな風化して固き貌/細谷源二
透きとほる胡弓月下の漢舞ひ/佐川広治
鷹飼つて痩身美髯の漢かな/井上まこと
泥鰌掘どこの漢か見知らざる/野村喜舟
彼の漢遊ぶが如し葦を刈る/竹下しづの女
汗っかき大漢にして大ジョッキ/高澤良一