嚏に関連した俳句の例をまとめました。
嚏を含む俳句例
大嚏して森閑と一人住む/
七人の敵を新たに大嚏/小島健
猪が嚏し吾も嚏する/津田清子
嚏と同時飛び出し沼鼬/松山足羽
神将の視線を意識して嚏/橋本博
嚏して犬通りけり麦埃/内藤吐天
中興の蝶夢法師の嚏堂/高澤良一
哲學も科学も寒き嚏哉/寺田寅彦
算用の心細さに嚏るか/石塚友二
あれませる一言主や大嚏/五島高資
老体に月光沁みし嚏かな/藤田湘子
嚏して現場検証終りけり/徳永茂代
涅槃図の前勿体なの大嚏/大橋敦子
盆灯を吊りし厠に嚏入り/萩原麦草
川下に二日月ある嚏かな/山口草堂
嚏して虚子先生を掌中に/黒田杏子
大嚏末座へ視線集めたる/尾関禽虫
嚏や硝子おどろく闇の果/石塚友二
嚏してつぎの嚏の残る顔/中川弘陽
嚏して仏の妻に見られたる/森澄雄
俳句例:21句目~
嚏また嚏や合の米ひかる/西東三鬼
嚏して円空仏と別れけり/庄司圭吾
嚏して境内広き一の宮/上井みどり
炭を焼く男の嚏山をとぶ/只野柯舟
太陽も軌道を外れん大嚏/高澤良一
月の中の厠の中の嚏かな/野村喜舟
曲り角風を喰らひて大嚏/高澤良一
減反の会議の隅の大嚏/松倉ゆずる
船頭のくさめに騒ぐ千鳥かな/也有
水鼻にくさめなりけり菊紅葉/其角
嚏一つ黄檗山を俗界に/間渕うめ子
雪嶺の佐渡の吹つ飛ぶ大嚏/小島健
杉花粉核の世に嚏充満す/小檜山繁子
瓜の香にきつね嚏月夜かな/加舎白雄
纜のきしめば嚏さそはれて/桂樟蹊子
老いすぐに寒に応うる嚏や/今井竜蝦
行水の稍稍温かりし嚏かな/会津八一
裔ありて嚏りとばす恋一つ/小林康治
わが嚏霧の彼方に響くかな/久米正雄
一瞬に天地引きよせ嚏せり/能村研三
俳句例:41句目~
録音の嚏冬夜の親しさあり/村越化石
又ひとつ烏賊の嚏や籠の中/岡田耿陽
口開けて次の嚏を待てる顔/長尾樟子
長女のみ父系の顔をして嚏/佐川広治
くつさめの跡しづかなり夏の山/野水
風花は千万くさめ一つ出づ/堀口星眠
厠もる誰かのくさめ杉の花/鈴木鷹夫
嚏して天神の鈴鳴らしけり/林原和枝
山に向きくさめ一つの冬谺/村越化石
嚏して心棒ずれし心地なり/深澤厚子
嚏して想ふ人の名遠きかな/石塚友二
嚏して東京駅をおどろかす/乾鉄片子
嚏して私学講師の休みなし/中村一維
嚏して箱根神社と知れ渡る/松山足羽
嚏して聖イグナチオ天主堂/古舘曹人
嚏して長松羽子を落しけり/羅蘇山人
嚏一つ極楽坊にこぼしけり/清水利子
嚏一つ正法眼蔵すら虚し/鈴木六林男
嚏一つ蓑虫庵にのこし来し/大橋敦子
大嚏些事にこだはる人の前/川村紫陽
俳句例:61句目~
山冷に嚏飛ばせば蒿雀たつ/田村萱山
吊革に夫の嚏を恥ぢてをり/岡田和子
くさめせり生れて一日目の嚏/辻田克巳
こらへゐる嚏怖しぎっくり腰/高澤良一
荒法師などの如くに嚏する/相生垣瓜人
くさめせり生れて一日目の嚏/辻田克巳
炉話の鼻をこそぐる嚏かな/阿波野青畝
くさめして見失ふたる雲雀哉/横井也有
二つめはややわざとらし大嚏/川村紫陽
啓蟄や皮膚敏感に嚏する/阿部みどり女
蕎麦掻や嚏ひとつの鍋を掛く/石川桂郎
大嚏して持ち時間また減らす/行方克巳
寄生木やくさめとどきし夕鴉/桂樟蹊子
嚏して山の長者になりきれず/丸山佳子
産小屋に顔を入れたる嚏かな/森田公司
嚏して木曽山中と知らすなり/松山足羽
嚏して戸口去りけり厄払ひ/佐々木沙城
嚏して鼻かんで父亡き此の世/藤田湘子
東京にくつさめ一つ到着す/山田みづえ
くさめして貧乏神を吹きとばす/川島一紀
俳句例:81句目~
嚏しておのれも朝ゆ風邪ごころ/石塚友二
雨に濡れ戻りて嚏つゞけさま/吉良比呂武
嚏して夜の外出をとどめらる/白岩てい子
嚏して母がとほのくばかりなり/寺嶋定子
うそ寒にくさめ七十二回かな/稲畑廣太郎
くさめ聞く寒さうつりや十夜堂/皆吉爽雨
太陽をにらみしゆゑの嚏かな/藤本草四郎
大いなるくさめを一つ女かな/上地/和子
美しき眼をとりもどす嚏の後/小川双々子
寒天の日輪にくさめしかけたり/臼田亞浪
寒食や猫のくさめのあまたたび/会津八一
生れ出でゝ寒さ知りける嚏かな/中島月笠
巻尺の音立てちぢむ嚏かな/ながさく清江
炭箱に顔さし入れてくさめかな/富田木歩
くさめして鶴の番人孤独なり/成瀬櫻桃子
くさめして我はふたりに分れけり/阿部青鞋
くさめして沼一枚とのこりけり/小泉飛鳥雄
それまでは褒めてゐたりし大嚏/中戸川朝人
数へられゐたるくつさめ三つまで/伊藤白潮
切通し蜑がくさめのこもりたる/佐野まもる