一家に関連した俳句の例をまとめました。
一家を含む俳句例
秋旱一家総出の貸農園/梅田男
日曜の素顔の一家朝桜/桂信子
初写真一家七人横並び/今瀬剛一
偏食の一家系あり夏霞/攝津幸彦
直立の天皇一家松に雪/鈴木節子
一島を守る一家系白椿/毛塚静枝
一家に遊女もねたり萩と月/芭蕉
潮浴の貧しき一家屯せる/上野泰
袋掛林檎一家の太梯子/村上冬燕
美しき猫の跳躍風邪一家/寺井谷子
我が一家我にしたがひ更衣/上野泰
笑ふ嬰を囲み一家の初笑/塩川祐子
水溜りぴよんと福寿草一家/小平湖
白玉にまじる紅一家無事/伊藤京子
初写真長幼序あり一家庭/伊藤松宇
軒先に唐辛子垂れ癩一家/菖蒲あや
自転車を一家乗り捨て磯遊/上野泰
恙なく一家の揃ふ除夜の鐘/梅沢信作
移り来し一家に子等や木槿垣/安原葉
ひゞ走る流感一家のうすき餅/穴井太
俳句例:21句目~
磯遊びして他の一家我が一家/上野泰
硯の海闊く一家の吉書かな/石井露月
鳥の巣も共に一家や花盛り/松瀬青々
鷺草が咲き薄味の一家なり/橋石和栲
生れてすぐ一家の主役初幟/毛塚静枝
一家や冨士を見越の雁來紅/正岡子規
梅林に一家の墓を並べけり/野村喜舟
文廟に華僑一家の七五三/下村ひろし
下校子も加へ一家の晩稲刈/羽吹利夫
五加摘む一家一列水車鳴る/池上樵人
保身一家青蔦の面に一風波/香西照雄
犬も加へ一家息災日脚伸ぶ/新田郊春
文弱の一家系なり掃苔す/木戸口真澄
父母所生一家甚だ氷柱垂る/三橋敏雄
麦蒔をしてきし一家十三夜/高野素十
波かぶり一家の数の浮寝鳥/西村和子
奥信濃一家総出の田植して/細見綾子
川が好きな一家や今朝の春/松村多美
幟上げ皆庭にある一家かな/栗原白暁
迷ひ蝉夕餉一家を掴み去る/石塚友二
俳句例:41句目~
花筏ちりぢりにして鴨一家/細田佳道
長き夜や我をる故の我が一家/上野泰
食積を減らしに息子一家来る/森田峠
田を植うる前の一家を映す水/今瀬剛一
一家して陶芸教室爽やかに/北野まさ子
木綿一家展べ餅重ね布団めく/香西照雄
梅落とす一家総出といふ二人/前橋春菜
夏つばめ同齢者皆一家なす/能村登四郎
帰朝する一家を待てる聖果かな/森田峠
渓きよく酪農一家鱒飼へり/下村ひろし
稲入るゝ提灯つけて一家かな/野村泊月
一家連れ五月五日の海渡る/倉田しげる
夕霧に冷えてかたまり農一家/西東三鬼
一家皆高きに上る和楽かな/佐々木北涯
一家出て山を拓くや鵙高音/瀧澤伊代次
花八ッ手一家貧しき戦後あり/松田紀子
外套を脱げば一家のお母さん/八木忠栄
冬苺廉ければ一家にて賞す/成瀬櫻桃子
猫も出て一家に梨の授粉どき/内田典子
迎火に跼む一家の顔浮ける/鈴鹿野風呂
俳句例:61句目~
新餅や一家五丁の鎌納め/菅原師竹句集
灯火親し一家で使ふ英語辞書/高橋悦男
雉の巣を知れる開拓一家かな/笹原耕春
頭のごとく流氷は一家の裏へ/山田緑光
夜涼一家青き蚕棚が家に満ち/相馬遷子
高しぶき絶えぬ滝壺競ふ一家/香西照雄
五加木摘む一家一列水車鳴る/池上樵人
一家長たり餅の黴かきけづり/清水基吉
綿虫や卓袱台捨てて一家去る/守屋明俊
おのれには冬の灯妻には一家の灯/大牧広
しぐるるや一家襁褓の中に住む/椎橋清翠
一家出て空ほがらかに凧上がる/杉山加代
一家鮮し稲田へだてて手を振れば/堀葦男
肉食べに行く一家に遠く桜満つ/寺井谷子
一家みな病母につかへ冬ごもり/西島麦南
咳一家に童唄などほろにがし/河野多希女
壁の貼絵は天皇一家芽独活煮る/松村蒼石
苺けふ廉ければ一家にて賞す/成瀬桜桃子
蒜をみぢんに打つて梅雨一家/鳥居美智子
日向ぼこ一家の舵をとりながら/京極杞陽
俳句例:81句目~
日向ぼこ一家の舵を守りながら/京極杞陽
昼寝一家波に畚身をもちくづす/友岡子郷
寒暁を起きて一家の火をつくる/阿部完市
枯れし木に縄つるされて癩一家/岸風三樓
栗飯一家よく喋ること喋ること/高澤良一
雪山に一家はたらく日の英霊/石橋辰之助
梟に似て黙す一家晝を在り/安斎櫻カイ子
母を待つ一家正座の雑煮かな/小川原嘘帥
燃えてゆく一家々々の松飾/阿部みどり女
百姓の一家の寝顔ガラス戸越に/細谷源二
破魔矢持ち海底人道行く一家/森松まさる
黒牛ゐて雪焼け一家に田が湿る/桜井博道
ごつそりと落葉とりまく一家かな/久米正雄
氷岳は桂冠インディアン一家の旅/伊丹公子
湯を浴びる音はばからず一家に夏/野澤節子
喜雨につつまれてねむたき農一家/内藤吐天
十字切る一家もつとも少女白き/伊丹三樹彦
冬至粥すすりて一家すこやかに/島津友之助
一家の燈風邪の薬も照らしけり/百合山羽公
甘藷を掘る一家の端にわれも掘る/西東三鬼