今生に関連した俳句の例をまとめました。
今生を含む俳句例
今生と思へぬ声に雁渡る/林火
傘杖をつく今生の桜狩/赤松子
今生れし豚に赤外線の暖/今井聖
億年のなかの今生実南天/森澄雄
蛍火や母今生の声発す/佐藤久子
今生の母今生の夕桜/西嶋あさ子
今生の姿くづさず落椿/佐藤信子
今生は快楽快楽と初蛙/伊藤白潮
今生のひと時恥を柿の種/徳弘純
今生の別れと思ひ星祭る/三浦勲
今生や花三椏に戻り寒/塚本邦雄
今生はつぐなひの生遠野分/登四郎
今生の月の懸りし厳島/後藤比奈夫
今生の色いつはらず寒椿/飯田龍太
今生は病む生なりき鳥頭/石田波郷
今生に白は紛れず冬かもめ/神蔵器
今生は鳥に生れて閑古鳥/会津八一
今生に母と妻ゐて遠花火/小熊一人
今生の姉が母なる負真綿/津幡龍峰
今生の母の爪切る聖夜かな/道川貴
俳句例:21句目～
今生てふ余命を数へ星祭/吉田鴻司
今生の狂ひが足らず秋螢/手塚美佐
今生のいまが倖せ衣被/鈴木真砂女
凌霄が垂れ漠然と今生や/池田澄子
放埒の今生終るかに暑し/小林康治
朝顔に今生の海集まりぬ/櫂未知子
紅型の今生れたる寒の水/玉城一香
今生の短夜百夜誰想へと/文挾夫佐恵
今生にわが恋いくつ夏の月/藺草慶子
今生はおのれさず寒牡丹/つじ加代子
今生の音がきらめく床涼み/松浦敬親
今生の白菊にほふ別れかな/佐藤国夫
今生のいくばくをかし冬籠/尾崎迷堂
今生のいのち惜しめり山桜/木村敏男
今生の不思議螢火消し忘れ/植村通草
今生のいまを思へり龍の玉/伊藤敬子
今生のわれと深間の海鼠かな/島将吾
今生の末遠からず紅睡蓮/伊丹三樹彦
今生の一会となるか年移る/小出秋光
今生の浅茅ケ原の露に触れ/牧野春駒
俳句例:41句目～
今生の現在を螢と息合はす/佐野美智
今生の負に立ち向ふ雪無尽/深谷雄大
今生は遊行なり汗重ねつつ/渡辺恭子
今生の雨の明るし盂蘭盆会/澤村昭代
今生は病む母に搗く盆の餅/石橋林石
夕牡丹「今生我身二つ無し」/安住敦
年の火に今生の身のうらおもて/黛執
一日を今生として底紅も/後藤比奈夫
今生の別れ雛の間を通り/中戸川朝人
今生に灼く地獄見る鬼来迎/毛塚静枝
盆唄や今生も一ト踊りなり/石塚友二
秋而今生亡妻ぞうつくしき/永田耕衣
秋蝉の今生のこゑ炎なす/高山あさ江
今生は杉の木蔭の杉菜にて/波戸岡旭
紛れ入るなり今生の草の市/斎藤梅子
虚子の世の余韻今生き鐘供養/林克己
水裂いて今生の鮭のぼりけり/大串章
今生の旅のひと日よ蕎麦の花/安斎郁子
今生の日の斑たいせつ鮎生簀/大石悦子
今生の春のあけぼの父醒めよ/大石悦子
俳句例:61句目～
今生の大賀蓮なりただならず/斎藤梅子
今生の真闇湧き出づ野ばらの実/秦夕美
今生の石の閻魔の灼けにけり/真下耕月
今生の迂闊にあるく月のみち/長谷川双
今生の鳥の涙涙たる平野よ/小川双々子
今生は手足を我慢かたつむり/鈴木鷹夫
あかあかと今生の柿夫に買ふ/昆ふさ子
今生も来世もひとり花を浴び/橋本榮治
今生も海をつばさに駝鳥でゐる/上田玄
あれもこれも今生のこと男郎花/山崎聰
一剥きに今生の香や大白桃/鷲谷七菜子
今生を崖ぎりぎりの黄水仙/山崎久美江
三尺寝して今生に目覚めをり/徳永球石
三年経ぬ今生の凍て鮮やかに/雨宮抱星
今生がねむくなる湖舟遊び/百合山羽公
刈萱よりも髪吹きすさぶ今生は/佃悦夫
初蝶や今生の眸にあなかしこ/石塚友二
反故焚いてをり今生の秋の暮/中村苑子
今生といふはいま蝉殻を脱ぐ/三森鉄治
夕蜩今生の礼わたしらにも/中戸川朝人
俳句例:81句目～
今生にこの妻掃除はじめかな/細川加賀
今生にわれを待ちゐし草虱/中尾寿美子
今生に父母なく子なく初天神/菖蒲あや
松虫草今生や師と吹かれゆく/村越化石
今生に語る父母なし鳥雲に/小澤満佐子
今生のいよいよと言ふ初明り/小出秋光
今生のこれも夢なる百合の風/石塚友二
今生のほとぼりさます蛇の衣/柚木紀子
笛師に会う今生いまも花の季/金子皆子
今生のぼうたんあかり牡丹寺/藤岡筑邨
今生のわれを待ちゐし草虱/中尾寿美子
花吹雪今生をわが眺むるに/千代田葛彦
花影に入り今生のうつくしき/西井琴子
今生の今日の花とぞ仰ぐなる/石塚友二
今生の夏うぐいすや火山灰地/西東三鬼
遍路笠して今生を眺めをり/町田しげき
鳴けるだけ鳴いて今生冬の雁/倉田素香
今生の熱きおん手や外に春闇/文挟夫佐恵
今生は子なし父の日母の日に/八牧美喜子
もみじ燃え今生量りなかりけり/赤松恵子
