胸中に関連した俳句の例をまとめました。
胸中を含む俳句例
胸中を首で演じる里神楽/台実
爪深く切りぬ胸中秋の声/沢聰
胸中の無疵の牡丹漂へり/照敏
胸中に文意煙れる残暑光/龍太
霜柱踏み胸中に反旗かな/小野伶
読初の胸中熱し昭和篇/西田妙子
胸中に春の鱶ゐて春の汗/辻桃子
晩秋よ我が胸中の黒猫よ/粂雅之
壺のごと胸中深め冬籠/村越化石
胸中に波音湧けり藍浴衣/小島健
雪に寝て胸中の階きしみ鳴る/原裕
天城越胸中を蛇通り過ぐ/河野南畦
露享けてはや胸中に妻葬る/齋藤玄
胸中に布石の一語寒昴/保坂知加子
胸中に抱く珠あり空ッ風/富安風生
寒釣や次なる恋を胸中に/岸本尚毅
胸中に青きもの秘め滝凍る/檜紀代
胸中に犀を遊ばす野の色に/小口斌
火はわが胸中にあり寒椿/角川春樹
胸中に生れ胸中に雲の峰/玉城一香
俳句例:21句目~
胸中に編込模様毛糸選る/都筑智子
初暦胸中に齢重くなれり/花田哲行
胸中の山河に遊ぶ栗の花/山佐栄子
化野やわが胸中の梅雨灯/辰野利彦
故郷は胸中にあり春の雲/名取袿子
胸中の木枯妻は耳敏し/肥田埜勝美
野老祝ふ胸中深く遠山河/清水芳子
胸中に何の火種ぞ黄落す/手塚美佐
初蝶や胸中に病む妻がゐて/細川加賀
うす青き鷺の卵を胸中に/文挟夫佐恵
青葉闇私語し誰何し皆胸中/石塚友二
胸中の父と父の日語らはむ/大橋敦子
ほきと折れしまま胸中に夏蕨/石寒太
雪安居胸中に雪降らしゐる/嶋杏林子
雪の夜や臥せば胸中水奏づ/根岸善雄
全円の虹胸中に立ちにけり/平井照敏
冬青空胸中の鈴鳴りはじむ/江中真弓
狐火となる胸中の陰火かな/手塚美佐
初明り胸中天籟地籟あり/渡部抱朴子
揚雲雀胸中の琴応ふなり/徳永山冬子
俳句例:41句目~
胸中の昃りやすき遍路笠/柴田白葉女
坐禅して胸中伸びてくる筍/倉橋羊村
胸中の悪女鎮もる栗踏めば/細原順子
蛍火や胸中深きところより/仙波温子
好日は胸中にあり桐の花/本庄登志彦
胸中に蒼き水あり十三夜/吉田ひろし
寒葵胸中ふかく花を秘す/青柳志解樹
胸中に小さき滝懸け三尺寝/高澤良一
胸中も白をよそほひ秋遍路/平綿涼風
胸中に引く波ばかり秋の浜/手塚美佐
胸中の錘いくつや冬すみれ/木村敏男
胸中の小暗さへ打つ鉦叩/梅村すみを
胸中の言葉に月の照り始む/脇本星浪
胸中の凩咳となりにけり/芥川龍之介
春浅し胸中に旅続きゐて/山下トヨ子
胸中の牡丹に雪の音かかる/野澤節子
月仰ぐ胸中一句弓なりに/赤松ケイ子
胸中の父をよごさず今年酒/岩永佐保
朴散華風胸中に吹き止まず/栗原英甫
胸中に枯葉降らせる高英男/高澤良一
俳句例:61句目~
胸中に男鹿の風鳴りきりたんぽ/林翔
鷹の目をわが胸中の炎とす/石原八束
麦酒つぐや胸中の子も齢五十/及川貞
噴水や我が胸中に閊へしもの/柴田奈美
大白鳥胸中の炎を透かし見む/仙田洋子
寒き日や胸中白く城が占む/鍵和田釉子
干潟みて夜の胸中の罅進む/小檜山繁子
哮るもの胸中に飼う冬木立/岸本マチ子
春愁といふ胸中のにはたづみ/渕上千津
毀れやすき詩を胸中に冬の虹/高澤良一
毛糸編む胸中いまだひと許さず/樋笠文
竹落葉わが胸中を降るごとし/高橋正子
胸中に梅雨わだかまる杭一つ/中村明子
胸中に聖句かがやく十二月/古賀まり子
獅子囃子吾児の温みを胸中に/町山直由
胸中のこゑ白息にこもりけり/加藤耕子
胸中の恋の欠けらや青葉木菟/中野きみ
胸中に過去の明るし白地着て/櫻岡素子
胸中に海鳴りあれど海見たし/折笠美秋
胸中の未来は白紙小鳥来る/穐好樹菟男
俳句例:81句目~
胸中の湖あたためて鳥かへる/木村敏男
胸中の闇に濡れゐる潮まねき/仙田洋子
胸中を探り合ひ酌むいわし雲/宮武寒々
良夜なり今昔をいま胸中に/古賀まり子
胸中に太刀を眠らせ去年今年/角川春樹
鏡中に胸中うつしあふ遊び/糸山由紀子
胸中に嘘あたためて泡立草/青柳志解樹
香水や胸中読まれてはならず/高野彩里
ふるさとは胸中にあり雁の棹/武田光子
初明りして胸中のモツアルト/平井照敏
黒い種蒔く胸中のみずたまり/寺井谷子
氷頭なます霰といふ字胸中に/八牧美喜子
新米を食べて胸中あかるくなる/梶原美邦
胡桃焼く夜の胸中の山河かな/肥田埜勝美
帰路寒し胸中に人そしりつつ/猿橋統流子
胸中に揺れやまぬもの水を打つ/坂本京子
胸中のくらくなるまで見る牡丹/朝倉和江
師を恋へば花火曼陀羅胸中に/梶山千鶴子
眼に降り込む雪胸中に言葉溜る/津田清子
萵苣噛んで胸中のもの大切に/小林ほづを