跣に関連した俳句の例をまとめました。
跣を含む俳句例
稲光一遍上人徒跣/黒田杏子
混浴の女岩踏む跣の音/高澤良一
時鳥跣足参りの女かな/正岡子規
素跣の新茶売や宵の雨/寺田寅彦
肥後の子は裸跣に天が下/上村占
廻礼も跣足のままや琉球女/篠原
鵙の宮遊ぶ村童皆跣足/橋本鶏二
紅葉狩石観音は跣にて/平畑静塔
天が下に秋きて神はみな徒跣/重信
太平洋の汀跣足に快く/河野ちか子
百姓の早も跣足や金鳳華/古内仰子
昔女菊の根分くる跣足哉/正岡子規
水虫を厭ひて跣足一教師/金山有紘
島の子が跣で走る白秋碑/河野南畦
霍乱ややけ砂はしる赤跣/正岡子規
跣の子跣の母に連れられて/日原傳
蒼天や神は跣足が好きならむ/柏禎
縁側に打水終へし跣かな/野村泊月
絨毯を踏む黒人の跣かな/山本歩禅
三男の扁平足の跣足かな/都筑智子
俳句例:21句目~
熱帯の空白跣の孔雀くる/伊丹公子
病廊を来たる跣足の小鰺売/石田波郷
独歩忌の渚跣足で歩きけり/木暮剛平
すこし酔ひ跣足で歩く池袋/岡田史乃
高処より濡跣にて笑み迎ふ/下村槐太
汐干籠さげて町ゆく跣かな/野村泊月
薫風や島を案内の跣足の子/西山泊雲
着飾りて馬来女の跣足かな/高浜虚子
渚まで熱砂跳ねゆく跣かな/高澤良一
稲妻をふみて跣足の女かな/高濱虚子
海にゐる我跣足なり君は靴/三宅麻子
火の島に育ちゐる子のみな跣/森田峠
寒行の跣足の音の聞えねど/中村汀女
蓑を著て跣足で少女野分中/高濱年尾
火を踏んで女児も跣や傘篝/小川よし
庭石へ跣足で出たり衣かへ/正岡子規
跣の子渚を飛行機走りして/西村和子
徒歩跣てふ韻のして星月夜/柚木紀子
Gパンに素跣の二人宿に着き/和田游眠
跣のとき成りし鶏肋の作示す/下村槐太
俳句例:41句目~
跣群れて石榴うちわる港かな/小池文子
農婦らに跣足の季節胡麻の花/西村公鳳
鎌持ちて女跣足でこちへ来る/高濱虚子
ひたひたと跣足に来れば烏瓜/中村汀女
千体のほとけは素足われは跣/各務八生
吉備人の田植ゑしのちも跣足なる/昭彦
土筆出て跣の妻になつてをり/松山足羽
女の跣足紅らむまでに砂丘ゆく/岸田稚
家中の跣足ばたらき懸煙草/中田みづほ
少年の跣足ひびきて走りをる/山口誓子
念仏踊男の跣足なまなまし/文挟夫佐恵
朝涼の夢に跣の亡父と逢ふ/つじ加代子
殉教の森音すべて跣足の音/加倉井秋を
水売の跣の過ぎしカンナかな/小池文子
氷雨ふる道を跣足の力士かな/鈴木貞雄
鹿児島の街の跣子こどもの日/亀井糸游
潮仏海女は跣足のまま拝む/大久保和子
潮引きて猿島跣足で渡れそう/壁谷猪一
火の国の子等は跣足よ麦の秋/臼田亜浪
無患子や跣足参りの足裏炎え/本多静江
俳句例:61句目~
病人に声かけてゐる跣足かな/西本一都
日のあつく塗畦通ふ跣足かな/飯田蛇笏
終には跣足になりて水を打つ/岡本孝女
縄文も弥生も跣足暑に耐へし/砥上白峰
縄跳びの灼け跣子と鶏の足/小檜山繁子
老人の跣の指のまばらかな/阿波野青畝
跣にて梢わたらば死ぬもよし/下村槐太
舟虫や跣足何年振りのこと/青葉三角草
荒磯の僧も跣足や潮まつり/松澤白楊子
落し水跣の下にきこえけり/阿波野青畝
藷植うるみんな跣足の修道女/早田鳴風
観世音跣足艶冶に踏み出され/渡辺恭子
足ざはり良き鳴き砂に跣かな/金岡道子
跣にて婆が物売る仏生会/阿部みどり女
いちにちの跣をすゝぐ花盛り/金尾梅の門
土踏んで病知らずに跣足の子/木村都由子
もの乞うて去年今年なき跣かな/下村梅子
跣足にて婆が物売る佛生会/阿部みどり女
セイロンの物乞ふ子等の皆跣足/真柄嘉子
冷かに窪みし苔に跣足かな/長谷川かな女
俳句例:81句目~
曼荼羅図見上げてゐたる跣の子/井上康明
態となる跣なりけり銀杏散る/阿波野青畝
猫も犬も虎も麒麟も跣はよし/田川飛旅子
朝よりの跣足のまゝの夕餉かな/村上星洞
エジプトヘ跣足に靴で旅立てり/都筑智子
みち暑し跣足の跡のたくさんに/橋本鶏二
真砂踏むよさを知りたる跣の子/高澤良一
をさなごの跣の指の十つぶかな/大石暁座
砂しかとつかむ跣足や地引網/小山松岬子
ほてりたる湯殿詣での跣足かな/岩崎眉乃
下げし跣足の海女のおさな顔/鈴木ふみを
思ひ出のみなこそばゆき跣足かな/阿部静雄
アマリゝス跣の童女はだしの音/橋本多佳子
蛇皮線に跣足の十趾をどりだす/津川絵理子
夕作務の跣足の指をふみひろげ/赤松ケイ子
まつはりし草の乾ける跣足かな/軽部烏頭子
跣足子の英語おらびてまつしぐら/石橘秀野
ロシア船員跣足であるくタロ芋島/高澤良一
うぐいす張軋ませて来る跣足かな/山崎和枝
馬鈴薯植う跣になつてしまひけり/田中浩子