定年に関連した俳句の例をまとめました。
定年を含む俳句例
籠枕に物相頭定年後/高澤良一
停年の一年前の立泳ぎ/高澤良一
藪巻や定年近く家整う/富岡せい
菊根分停年近き手が乾き/草間時彦
停年や一舌伸びて野火焔/河野南畦
寒の水飲む定年を二分前/山本千之
停年の夫ははしごの初詣/ザボ節子
定年や大きく割れて鏡餅/池田秀水
下寧に大根を蒔く定年後/木内満子
定年の夫にとどきし桜鯛/佐藤芙陽
定年の夫の背凛と三月尽/小山玲子
停年に小会社貰ひ御用始/小原野花
定年の机拭きあげ九月尽/長谷川進
定年や誦帰去来辞草茂る/白石台水
駒返る草定年を前にして/高澤良一
定年で無冠離せぬ夏帽子/望月哲土
定年の男の造る新豆腐/津布久信雄
定年の足もとよぎる赤い蟹/穴井太
雁帰る一羽や遅れ定年期/岸風三樓
定年は人生途上寒菊挿し/古舘曹人
俳句例:21句目~
蟻の列早や定年の通勤路/根岸敏三
年明けの定年といふ大海原/高澤良一
機関士のまゝに定年山笑ふ/野崎夢放
繭玉や定年のなき農夫婦/遅沢いづみ
蓮葉の吹かれ裏見す定年や/高澤良一
農業に定年はなし土匂ふ/石川アキ子
主婦の座に定年欲しき十二月/塙きく
雙六や定年のわれ振出しに/近藤一鴻
南風や白のまぶしき定年後/工藤義夫
停年がもう目の前に水温む/高澤良一
嗚呼無情定年一歩近づく夏/高澤良一
停年も間近になって秋の風/源氏鶏太
停年や径ひとすぢに風の蓼/平川雅也
停年や燦爛と日の犬ふぐり/皆川白陀
定年なき妻の鏡台木の葉髪/岡本邦子
定年にあと半年の泳ぎかな/池田秀水
停年を妻言へり松納めつつ/草間時彦
冷やかに停年の肩ありにけり/星野椿
喝采の如き落葉や停年来る/皆川白陀
定年のすこし手前の水馬/小島千架子
俳句例:41句目~
白靴の埃停年前方より来/文挟夫佐恵
百姓に停年はなし晩稲刈る/中川正太
定年の人を主客に風炉点前/冨山青沂
定年の名刺の裏はおぼろ月/田中風来
定年の天下御免の朝寝かな/岬/雪夫
定年の夫任されて障子洗ふ/細川君代
定年の後の日迅し花も過ぎ/池田秀水
定年の灯ともせば影鰰煮る/古屋良人
定年の男となりの畑も打つ/中根洋子
定年の闘志再び木の芽風/野田ゆたか
鰭酒に停年教師すぐ酔ひて/羽田岳水
定年は鰐の退屈地でゆく秋/高澤良一
定年へ蚕食の日日水中花/文挟夫佐恵
定年近く年の港に舫ひける/高澤良一
定年後扇子が家に遊びをり/高澤良一
定年者冬大き掌を膝に置く/川村紫陽
鰭酒や停年てふは忌み言葉/草間時彦
寒木瓜や名刺用なき定年後/阿部寿雄
ありふれてゐる定年と白粉花/高澤良一
こざっぱりして定年を迎ふ年/高澤良一
俳句例:61句目~
停年の後夜かけて読む三國志/安東次男
停年の案山子を棒に戻しやる/高橋/良
停年へ月日なだるる花明り/小松崎爽青
出ずにすむ定年たのし雪見酒/河野頼人
吾がための定年祝ふ胡蝶蘭/山口富美子
夕焼に定年のなき野良着脱ぐ/酒匂君江
定年だあ定年だあと蝉啼ける/高澤良一
定年やなにか疾しき大朝寝/平木智恵子
死ぬときが医師の停年燕来る/後藤綾子
母の日の母悲しませ定年来/田川飛旅子
洗ひ髪梳きつつ定年の話など/菖蒲あや
定年のてのひらに受く竜の玉/嶋田麻紀
定年の人に会ひたる冬至かな/高橋順子
定年は如何にと蝉の頭陀行者/高澤良一
白地着て定年以後の坐りだこ/落合水尾
定年者に残りたる友水中花/田川飛旅子
蔓あぢさい定年の空青かりき/鈴木竜骨
薄塩に定年過ぎのピーナッツ/高澤良一
羽蟻身に開業醫には停年なし/相馬遷子
定年まであと一年の外套着る/福島壺春
俳句例:81句目~
胡桃割る定年という仕切り線/浦川哲子
春の海見にゆくことも定年後/池田秀水
定年を真近に日脚伸びにけり/鈴木昭次
末黒野を歩き始めし定年後/長谷川瑞恵
定年や遠目の蓮の吹かれざま/高澤良一
停年やけむりの如き花あけび/戸川稲村
停年がそこに来てをり昼寝覚/福田蓼汀
梨を剥く皮のぶらぶら定年後/高澤良一
定年や未練断ち切り畑を打つ/本庄武治
停年の後の職場のボーナス日/小野武子
ばれいしよの花をみつめる定年後/穴井太
定年なき妻なに刻む今朝は優し/国しげ彦
定年にやや間がありて古酒を酌む/田湯岬
定年に得たる自由の野に遊ぶ/大久保白村
停年の後のことなどふらここに/稲富義明
溝萩をつくづく見ても定年来る/嶋田洋一
寝ねを積む定年迎う日の近く/塩田薮柑子
石楠花を咲かせ定年きらきらす/中山和子
定年後峯雲つくづく見ることも/高澤良一
パナマ帽停年ちかく撰び買ふ/富岡掬池路