なみだに関連した俳句の例をまとめました。
なみだを含む俳句例
白やなみだが紙に落ちし音/上村占
暁のなみだ氷らん網代守/松岡青蘿
瀟湘の雁のなみだやおぼろ月/蕪村
春昼の空手空拳またなみだ/上村占
船梁の露はもろ寝のなみだかな/秋色
若やぎし聲なみだてて福は内/上村占
なみだ出て水に消えけり蜆舟/上村占
衣川二十年後のためなみだ/正岡子規
出替の笑ひにふくむなみだかな/青蘿
なみだ目の湖の宵星狐罠/平井さち子
月見ればなみだに碎く千千の玉/蕪村
初花やなみだ涸れたる夜の空/上村占
梅若のなみだの雨や敷松葉/加藤郁乎
高熱のさざなみだちに冬椿/山本桜童
鰻田へ阿波浄瑠璃のなみだごゑ/林徹
春雨のふるきなみだや梓神子/炭太祇
パン林檎指輪衣肉なみだ顔/和知喜八
我眼には霧のみ拝むなみだ哉/松岡青蘿
出替りの畳へおとすなみだかな/炭太祇
打ちこけて指ぬき氷るなみだかな/素顰
俳句例:21句目~
源流やさざなみだてる二輪草/野沢節子
春火桶妻失格のなみだ煮ゆ/山田みづえ
極月の一幕を見てなみだかな/松村幸一
我なみだ地にしむ時か暁の霜/松岡青蘿
なみだぐましけれ市の萬國旗/塚本邦雄
膝の子のなみだ大粒秋刀食ふ/堀口星眠
片栗の蕊を紫紺のなみだとも/和田知子
笹鳴や榾火吹きにしなみだ顔/古沢太穂
川風に吹かれてなみだ鶏頭も/田中裕明
大根馬菩薩面して眼になみだ/川端茅舎
庵に寝るなみだなそへそ浦鵆/広瀬惟然
百獣のなみだあかるし涅槃像/室積徂春
露草は紺のなみだを一つづつ/藤田美代子
蛇の眼にさざなみだちて風の縞/松林朝蒼
なでし子にかかるなみだや楠の露/ばせを
なみだつぶ二つ三つ四つ銀河系/柿本多映
なみだには染ずもまつの秋の風/松岡青蘿
旅ぞ憂きなみだ色あるたをの萩/広瀬惟然
春寒くなみだをかくす夫人かな/飯田蛇笏
ほとばしる洟やなみだや風邪人/西島麦南
俳句例:41句目~
五月の日眩しとなみだ溢るるか/西島麦南
人の眼に涸れぬなみだや秋の風/西島麦南
小式部の亡き春母のなみだかな/筑紫磐井
貝眠る重いなみだをあまた溜め/三橋鷹女
櫓の声波ヲうつて腸氷ル夜やなみだ/芭蕉
秋高しなみだ湧くまで叱りおり/津根元潮
姫百合や硝子張り越しそらなみだ/仁平勝
賭にしてとうがらし喰なみだ哉/高井几董
手にとらば消んなみだぞあつき秋の霜/芭蕉
こぼれ梅かたじけなさのなみだ哉/服部嵐雪
白菊におぼつかなくも落涙して/宇多喜代子
なみだ盛り上がり海市を壊しけり/櫂未知子
なみだ湧くうちは女よすすき原/文挟夫佐恵
なみだにもしむや青田の穂の匂ひ/広瀬惟然
御墓参のなみだをかくす故山かな/飯田蛇笏
春愁のなみだをしぼるまぶちかな/西島麦南
梅の木の下にはなみだの壺がある/津根元潮
冬怒濤なみだかわいてしまひけり/西村妙子
たらぼの芽蓄めて民話のなみだ壺/草野力丸
草石蚕噛む赤きなみだの粒のほど/中尾杏子
俳句例:61句目~
薫風の頬をはしりさるわがなみだ/木下夕爾
春燈やはなのごとくに嬰のなみだ/飯田蛇笏
寒さうな笠さへみればなみだかな/斯波園女
戀はむかし韮粥の碗さざなみだつ/塚本邦雄
卒業歌をはりしなみだすぐかわく/木下夕爾
軒もひぐらしなみだ児を叱りつつ/友岡子郷
雁仰ぐなみだごころをたれかしる/飯田蛇笏
もつ花におつるなみだや墓まゐり/飯田蛇笏
食むべくはなみだたたふる梨の肉/栗生純夫
独楽に巻くなみだの紐のはてしなき/澁谷道
花氷詩型なみだのごとくにて/山崎聰「忘形」
焚火消えさざなみだちに来る日暮/鷲谷七菜子
なにゆゑのなみだか知らず鰯雲/久保田万太郎
なみだふきながららくがきしている/平松星童
ふとめざめたらなみだがこぼれてゐた/山頭火
目になみだうかめし春の仏かな/久保田万太郎
ありがたやなみだに桑を摘むばかり/中川宋淵
死ぬまじきなみだ梅雨川ほど流せ/稲垣きくの
秋かやになみだをさそふ寝ざめかな/飯田蛇笏
鉾稚児のあくびのあとのうすなみだ/細川加賀
俳句例:81句目~
氷らむとささなみだてるところあり/岡井省二
うかべしは何んのなみだぞ春夕/久保田万太郎
青い鳥も帰りしなみだぐもりかな/成瀬桜桃子
かたつむりあつまる陛下なみだぐむ/攝津幸彦
炭の香のなみださそふや二の替/久保田万太郎
病めば大きな眼のなみだ拭いやるかな/七戸黙徒
日本海らくだあゆませなみだあゆませ/豊口陽子
子のなみだいつしか野火のゆきわたり/依光正樹
友をはふりなみだせし目に雁たかく/長谷川素逝
連翹のうす黄のさそふなみだかな/久保田万太郎
なみだして心涼しや賀茂の宮/樗良「一日行脚」
なみだしてうちむらさきをむくごとし/石田波郷
風邪の咳のなみだのみにてあらざりし/森川暁水
はるさめかなみだかあてなにじみをり/瀬戸内寂聴
雨乞ひに曇る国司のなみだかな/蕪村「蕪村句集」
父はなみだのらんぷの船でながれている/西川徹郎
とゞめたる男のなみだ夏灯/飯田蛇笏「家郷の霧」
若葉しぐれ姉のなみだを思はしめ/飛鳥田れい無公
なみだながれてかげろうは月夜のゆうびん/西川徹郎
汗も出てなにをゆふべのなみだかな/飛鳥田れい無公