廓に関連した俳句の例をまとめました。
廓を含む俳句例
灯れば東廓の時雨傘/高野典
鷹の羽拾うて寒し廓跡/松本旭
傾城も廓返りのすみれ哉/竹裡
凩や昼は淋しき廓道/正岡子規
港より見えて廓の土用干/篠原
雪の夜の岩室甚句廓唄/浜アヤ子
雪の上に白き雪降る廓址/有働亨
狐火や大河に近き廓跡/老川敏彦
干柿に朱のいろ残る廓町/井上雪
廓女に昼よりの客星祭/友草寒月
誰やらの後姿や廓の月/正岡子規
芽柳や廓の跡の駐車場/玉乃井明
秋乾き朱塗の階の廓あと/田中翠
秋昼や海鳥ありく捨廓/中川宋淵
桜ちるこの曙の廓かな/正岡子規
大城の廓残りて梅の花/正岡子規
柊の花散る廓格子かな/山田弘子
山城の廓残りて梅の花/正岡子規
白梅や潮待ち浦の廓あと/大町莞子
上布着て加賀の女や廓町/島/武雄
俳句例:21句目~
疾く起きて水打つ廓事始/石橋雄月
二階開け紅蒲団干す廓かな/堀古蝶
不知火の海あり古き廓あり/八尾修
廻禮や廓を過ぐる晝の雨/会津八一
凌霄花昔廓のひとところ/本橋美和
鉄門に爪の思ひや廓の猫/正岡子規
廓跡ありし入江や桐一葉/山本洋子
内廓夕立つや四門十二橋/久米正雄
廓町白昼の火蛾影のなき/吉田紫乃
逝く春の廓にきけり加賀囃/山信夫
軒寄せし廓の跡に雪婆/千葉あい子
消炭を廓やめたる軒に干す/森田峠
廓町いでゝ旧師に目礼す/小寺正三
浦人に廓今亡し月見草/下村ひろし
胸廓の裡を思へば虎落笛/日野草城
廓あと木辻格子を穂絮過ぐ/桂信子
孟蘭盆や廓の裏の建仁寺/岸風三楼
廓外に楽市楽座菊日和/多々良敬子
枯蘆を刈りて洲崎の廓哉/正岡子規
寒念仏廓へかゝる橋二つ/石橋秀野
俳句例:41句目~
廓女や雪解雫の軒づたひ/清原枴童
ぬかりなき牛王の札や廓者/羊/我
山茶花に夕翳うまる廓あと/有働亨
廓出て仕置場を行く寒哉/正岡子規
雪吊やむかし廓に桐火桶/角川春樹
そのかみの廓白焼鯊ひさぐ/市川這児
たはむれの廓太鼓や勇の忌/敷波澄衣
冬ざれや廓につづく漁師町/石原舟月
初鴉廓の夜明もたゞならず/高浜虚子
吉原の廓見えたる冬田かな/正岡子規
名月や一廓をなす坊十二/河東碧梧桐
城廓の中の牧場や夏がすみ/飯田蛇笏
小道して廓に出でぬ春の月/正岡子規
川崎の廓見えたる芒かな/大場白水郎
廓ただよべの衾を欄に干す/後藤夜半
廓の月奥の二階のさわぎ哉/正岡子規
はぜ釣るや水村山廓酒旗風/服部嵐雪
廓跡おもかげもなし黄蜀葵/武本房子
廓跡ほほづき低き風通す/大木あまり
廓近く来し俳句会冬の月/楠目橙黄子
俳句例:61句目~
春の夜や廓へはいる小提灯/正岡子規
昼蛙廓風流なく書かれ/長谷川かな女
橋渡り廓を抜けて絵双六/伊藤とし子
海苔の潮廓ともれば夕騒す/西島麦南
牡蠣舟へ下りる客追ひ廓者/後藤夜半
船着きの小さき廓や棉の花/正岡子規
達磨忌や廓然として納豆汁/会津八一
酉の市むかし廓のありし闇/恩田秀子
おしろいの黒き実となり廓跡/藤崎実
雪解や赤き灯ともる支那廓/田村了咲
雪解川越えて状着く廓かな/宮武寒々
露の中に赤き廓のともし哉/正岡子規
廓への用いくつもや師走人/大場白水郎
廓の灯たぬしむごとく海鼠売/後藤夜半
松過ぎの廓の客となりにけり/角川春樹
二階からあやめ葺きゐる廓者/後藤夜半
たなばたの天横たはる廓かな/後藤夜半
夜霧こめて赤き灯見ゆる廓哉/正岡子規
をけら焼く廓名残りの一構へ/羽田岳水
うすものの起居藻に似て廓守/熊谷愛子
俳句例:81句目~
盂蘭盆会明るき月と聞かされぬ/岸田稚
廓より参かりし妓らや友禅忌/牧/鴻司
廓女に鰡とぶ海も暮るゝなり/林原耒井
城廓のごとく年木を木曾長者/高橋東光
きさらぎの廓噺をききたしよ/宮坂静生
四五枚の木の葉掃き出す廓哉/正岡子規
かしこ漕ぐは廓者なる祭舟/大橋櫻坡子
長き夜をたるまず廓の大鼓哉/正岡子規
春の夜の明けなんとする廓哉/正岡子規
飛干して夕映ながし廓あと/北見さとる
鰈干すかつては華の廓路地/すずき波浪
垂れそろふ朝の廓の菖蒲かな/大橋櫻坡子
二の酉へ廓ぞめきにうちまじり/福田蓼汀
紋を抜く廓の暖簾や夕時雨/長谷川零餘子
廓女の植女なりせば眉目透く笠/後藤夜半
かはほりに顔を浮かせて廓あと/宇佐美目
おしろいや廓ほろびし島の路地/三木照恵
宵酉の廓の雨となりにけり/久保田万太郎
送り火や廓のうらのくらがりに/追川瑩風
宝恵籠を飾りて明日を待つ廓/戸石無盞子