雨戸に関連した俳句の例をまとめました。
雨戸を含む俳句例
雨戸開け夏木の香り面テ打ち
締切の雨戸に窓や雪籠/高濱年尾
人来れば雨戸を開けて冬籠/暮石
雨の月雨戸の中の供物かな/篠原
鴬や書院の雨戸走る音/服部嵐雪
折~や雨戸にさはる荻の声/雪芝
颱風に雨戸を拾ふ男かな/松藤夏山
雨戸なほ戸袋のなか星祭/鷹羽狩行
閉さでおく坊の雨戸や滝朧/峰山清
寝し雨戸照し雨月の簷雫/西山泊雲
雨戸して三人家族根深汁/坂本宮尾
日に熱き雨戸を開く花茗荷/鈴木鷹夫
神主の朝寝の雨戸芙蓉咲く/清水晴子
明けば又夜寒の雨戸つくろはん/召波
追儺豆雨戸二枚の鬼を打つ/松山足羽
からからと雨戸を廻す杜若/長谷川櫂
春暁の雨戸開ければ土匂ふ/西村和子
観音の灯に透く雨戸竹落葉/宮武寒々
月の出に片側町は雨戸のみ/香西照雄
雨戸繰る寝衣潔白鴨わたる/宮武寒々
俳句例:21句目~
雨戸繰る一枚づつの初明り/高久フミ
雨戸立てゝ遠くなりたる蛙かな/虚子
一枚の雨戸あけあり十三夜/田中冬二
朝寒や雨戸あくれば日の光/正岡子規
雨戸うつ野分夜勤の夫戻る/宮井保彦
厠出て雨戸あくれば冬の月/正岡子規
名月や雨戸のすきの面白き/正岡子規
朝霜や雨戸立てたる施薬院/会津八一
十一面観音雨戸して十三夜/野呂春眠
朝顔を数ふる習ひ雨戸繰る/中山康子
河骨に雨戸あけある能稽古/山本洋子
絵暦を解く百姓に半夏雨/戸塚時不知
夢のごと舞ふ蜻蛉や雨戸くる/原石鼎
夫婦して雨戸押へる野分哉/正岡子規
妻雨戸あけてをる音又雪か/京極杞陽
山寺は雨戸を閉ざし星月夜/上崎暮潮
手際よく雨戸繰る子や初氷/菊池志乃
折々や芭蕉雨戸にさはる音/正岡子規
雨戸引くこと早き家龍の玉/大峯あきら
あたゝかや雨戸の車替ふるべう/飴山實
俳句例:41句目~
雨戸掻く犬に朝寝を起されぬ/鈴木花蓑
うぐゐすや書院の雨戸走る音/服部嵐雪
清閑寺雨戸を固く花八ツ手/岸川素粒子
きりぎりす夜明くる雨戸明りかな/犀星
雨戸閉め全身耳の二百十日/山本香代子
佗び住の雨戸の隙間月の洩る/田村了咲
凩の雨戸たゝくや夜もすがら/寺田寅彦
名月や雨戸を明けて飛出づる/上島鬼貫
垣こえて雨戸を叩く水鶏かな/正岡子規
夕立や雨戸くり出す下女の数/正岡子規
夜もすがら干大根の雨戸打つ/田中冬二
明けばまた夜寒の雨戸繕はん/黒柳召波
松とるや燦と夕日の遠雨戸/大峯あきら
やや寝すぎ雨戸を繰れば初雀/田中冬二
火事の鐘雨戸あくれば月夜哉/正岡子規
炎昼のはるかに雨戸くられをり/飴山實
螢飛ぶ入江の御所の雨戸かな/籾山柑子
豆撒くや雨戸を開けて隅田川/松山足羽
あかるみて雨戸あくれば春の山/田中冬二
水無月のしめりて重き雨戸かな/田中冬二
俳句例:61句目~
がた~の雨戸に夜半のはたゝ神/富田木歩
雨戸繰る眼のやりどころ桜草/川島彷徨子
花どきの早寝の雨戸しめにけり/山本洋子
蓬莱や雨戸あくれば夜の明ける/水落露石
蓮華草亡父は雨戸を背負ふらん/攝津幸彦
虫の夜の黄泉路に茂る雨戸かな/攝津幸彦
灯もつけず雨戸も引かず梅の花/夏目漱石
時の日も雨戸をおろす過疎の里/内田英一
もう雨戸締めねばならず日短か/吉屋信子
はたごやの名月雨戸しめられぬ/正岡子規
春暁の地震に繰りたる雨戸かな/中尾白雨
雨戸繰る春の明るさとび込みぬ/根岸千代
夜の鹿へ雨戸一枚開けておく/岩淵喜代子
閾をすべる雨戸いくつも白露の日/桂信子
雪解けてかるき雨戸のはしり哉/正岡子規
風邪に臥て雨戸一枚ひきのこす/原田種茅
冬菜かけて雨戸一枚しまりをり/清原枴童
雨戸しめて水庭を行く秋なれや/室生犀星
雨戸しめて虫近まさり鳴く如し/島田青峰
雨戸たつれば外は朧の瀬音かな/島田青峰
俳句例:81句目~
中坪に鹿来てゐたる雨戸かな/阿波野青畝
ちちろ鳴く雨戸いちまい残す癖/武田和郎
雨戸引くときのてのひら忽と秋/白岩三郎
雨戸半分閉めての暮し/こぼれ萩/秦操子
雨戸引く月の光をはさみつゝ/今井千鶴子
雨戸打つかすかなる音秋成忌/龍神悠紀子
いと古りて紫蘇に染みたる雨戸哉/尾崎紅葉
しの竹や夜さむに冴ゆる雨戸越し/室生犀星
豆撒き略した今日の雨戸を閉める/西宮二楼
吹きかへす萩の雨戸や露はらはら/正岡子規
十三夜はや~雨戸入れにけり/久保田万太郎
雨戸たてず立夏の夜空あをければ/荒井正隆
雨戸繰るたび蜂の巣の揺るゝかな/志賀道子
ランプ明り雨戸に粉雪ささと触れ/福田蓼汀
白い雨戸ありたくさんあり乱心なり/阿部完市
雨戸一枚繰る間を暑さ押して来たり/中島月笠
雨戸引く顔にあたりし冬日かな/阿部みどり女
雨戸繰りて確かな秋を見上げけり/大橋まつゑ
朝顔に雨戸すかして二度寝かや/阿部みどり女
雨戸半分明けての店やいさざ売る/能村登四郎