雛納に関連した俳句の例をまとめました。
雛納を含む俳句例
雛納め畳に疾き雲の影/清本幸子
雛納めたる床に菜の花/永井龍男
あかあかと天地の間の雛納/上村占
蛤のふたみを合す納め雛/下村梅子
箱書に父の筆あと雛納め/水原春郎
雛をさめ炬燵の上の筆硯/木村蕪城
家中に物音のなき雛納め/西村和子
何もかも畳の上に雛納め/岩田由美
午前中雛納めして午後は暇/星野椿
古雛の何か失せゆく雛納め/つや女
山脈に似て遠雲や雛しまふ/籏こと
雛納めてはかへりくる時の音/原裕
雛納たそがれなじむ太柱/二村典子
そのあとの壁青々と雛納め/小林波礼
ちらちらと鶯来をり雛納/大橋櫻坡子
納め雛長き裳裾は箱に曲げ/品川鈴子
をりからの雨に納めし雛かな/福島勲
麦は穂に天領日田の雛納め/野田信章
入院の段取りに先づ雛納め/品川鈴子
雛納め手足を長く眠りけり/菖蒲あや
俳句例:21句目~
遠景の黒松ばかり雛納め/神尾久美子
雛納め匂ひ袋もしのばせて/椎橋清翠
綿々とをみなの情や雛納め/西島麦南
美しきほこりの中に雛納/今井つる女
官女雛納め癖なるころび癖/岡田史乃
雛納められて横顔逆さ顔/大橋桜坡子
少年も手伝つてゐる雛納め/佐川広治
屋形舟洗ふを見つつ雛納め/関戸靖子
雛納して閉店となる老舗/稲畑廣太郎
雛納めひなの眠りを眠りたり/為本茜
笹までの小径の見ゆる雛納/斉藤夏風
老妻の人手借りずの雛納/鈴木洋々子
雛納めたる盃のうつろかな/小林康治
裏山に少し雪ある雛納め/野崎ゆり香
鏡中にわが顔のこる雛納め/中村明子
母死せるその夜や雛納めけり/岸田稚
母死にしその夜や雛納めけり/岸田稚
雛納めあさざ少々氷少々/波多野爽波
鈴雛の音色も包み納めけり/河野美奇
男の雛の袖に女の雛納めけり/西山誠
俳句例:41句目~
いまさらに雛納めなる儚ごと/塚本久子
いまだ恋しらぬ指もて雛納め/土生重次
いま一度明かりをつけて雛納む/塙告冬
雛少し抵抗しつつ納めらる/稲畑廣太郎
ひと月の暮らし知りたる雛納む/きよみ
ふるさとの田水思へり雛納め/松村蒼石
嫁ぐ子の時かけて雛納めをり/手島靖一
子の涙乾くを待ちて雛しまふ/廣井良介
抜穴のごとく鏡や雛おさめ/赤松ケイ子
月光のたてがみが見ゆ雛納め/齋藤愼爾
筑波嶺も仕舞ひたくなる雛納/平畑静塔
身ごもりの厚みを加へ雛納む/能村研三
遠き世を遠きへもどし雛納め/井沢正江
白絹は葬りのごとし雛をさめ/井沢正江
雛しまふ母の瞼を閉ぢし手で/品川鈴子
雛納む背中合せは淋しからむ/坂詰國子
雛納めして美しき障子かな/山崎冨美子
雛納めまたも鳴り継ぐ日本海/桜井柳城
雛納めをりしばかりの流謫感/齋藤愼爾
雛納め山河遥けくなりしかな/小林康治
俳句例:61句目~
雛納め忘れ銀婚の夜なりけり/村尾香苗
雛納め済みたる達磨像をおく/藤岡筑邨
雛納め雛のあられも色褪せて/高浜虚子
この会を待ちて雛を納めばや/稲畑汀子
まず目鼻塞ぎ雛を納めたり/宇多喜代子
己が手に雛を納めて入院す/八牧美喜子
来の宮は日かげの宮よ納め雛/星野立子
片頬に雪照る雛を納めけり/渡邊千枝子
菱餅も反りし雛も納めねば/中山/欣史
雛いまだ納めず病臥匂ひ出す/村山古郷
言かけてねむらせて雛納めけり/小林康治
遠洋漁船帰るを待ちて雛納む/酒井みゆき
子の雛の納めあり雨の旅帰り/殿村菟絲子
まず御所の屋根を畳みて雛納め/田口風子
水無瀬なる小さき雛を納めけり/田中裕明
夕雲のふちのきんいろ雛納め/鍵和田釉子
納め雛草のしとねに影長く/阿部みどり女
紐すこし貰ひに来たり雛納め/能村登四郎
雛をさめ雛の一門かき消ゆる/赤松ケイ子
ひとすぢの髪も乱さず雛をさめ/稲畑汀子
俳句例:81句目~
ごきげんよう暫く抱いて雛納む/小崎淳子
わが知れる墨堤失せぬ雛納め/渡邊千枝子
雛納め終えいつぽんの紐残る/山崎冨美子
雛納め贔屓の雛のひとりより/佐藤美恵子
戸を立てて異なる世へと雛納む/吉本和子
雛の肌匂はんばかり納めらる/木村たかし
ゆれやまぬ一樹見えゐて雛納め/関戸靖子
あたゝかき雨夜の雛を納めけり/西島麦南
雛納む母のうしろの静かさよ/児玉しづ子
巫女溜りはなやいでゐる雛納め/鈴木智子
雛しまへばぽつぽつ雨や桜餅/阿部みどり女
雛納め呪文の解かれし一間かな/山岸美重子
午後の日の縁をそれゆく雛納め/片山由美子
浪の秀をきのふけふ見て雛納め/神尾久美子
雛納め静かに地震の過ぎゆける/山田みづえ
来世またをみなと生れむ雛納め/殿村菟絲子
納め雛うつぶせにまた横ざまに/吉田みち子
納め雛先づその目より覆はれし/金箱戈止夫
水茎の古りにし反古や雛をさめ/松本たかし
我が膝に立ちたまふなれ納め雛/阿波野青畝