箪笥に関連した俳句の例をまとめました。
箪笥を含む俳句例
玉虫や妹が箪笥の二重/村上鬼城
涅槃衣も衣箪笥や虫払/喜谷六花
玉蟲や妹が箪笥の二重/村上鬼城
薬箪笥の薬匂へり小六月/松本旭
春の灯や一つ上向く箪笥鐶/風生
刀箪笥掛物箪笥五月闇/中戸川朝人
下駄買うて箪笥の上や年の暮/荷風
百千鳥薬種箪笥に岩絵具/甲士三郎
桐箪笥奥にひらけし芒原/坂本宮尾
麦秋や箪笥に眠る日章旗/片岡啓子
鍵穴が箪笥に三つ春の蝉/寺井谷子
和箪笥の軽き軋みや更衣/横田澄江
花冷や箪笥の底の男帯/鈴木真砂女
底深き箪笥覗かる蟷螂に/石川文子
簟歩けば箪笥ことことと/千原叡子
新涼の母の箪笥に男帯/大木あまり
箪笥憂し服に外套にわが歴史/林翔
余花の雨琴糸収む桐箪笥/内山美智子
元日や啓吉も世に古箪笥/芥川龍之介
銃箪笥てふ古きもの狩の宿/依田秋葭
俳句例:21句目~
豆雛が箪笥の上に忘られて/臼田亞浪
古民家の薬箪笥や小鳥来る/渡辺光江
裏店や箪笥の上の雛まつり/高井几菫
和箪笥の何段目かな癌細胞/土田武人
秋蛍母の箪笥よりわが産衣/奥磯照子
母ならむ鶴引く頃の黒箪笥/栗林千津
猪鍋や箪笥の上に物を積み/山西雅子
玉虫もたたうも古りぬ桐箪笥/小林宏
蓬莱や京に古りける菓子箪笥/多賀子
盆過の箪笥の影に坐りけり/永島靖子
縄を綯ふ箪笥ま黒き奥座敷/佐川広治
お年玉船箪笥より取りいだす/林佑子
餅筵箪笥の裾につかえけり/吉屋信子
水夫町や晩菊と照る舟箪笥/野沢節子
一つある箪笥の齢庵の秋/島村元句集
春の夜柩箪笥を荷なふごと/宮坂静生
雪女来る頃ぎしと鳴る箪笥/有馬朗人
桜貝箪笥の隅に眠りをり/船津つねを
春愁や船霊抜けし船箪笥/磯貝碧蹄館
あいの風酒田旧家に船箪笥/詫摩まつ子
俳句例:41句目~
うすものや共に古びし桐箪笥/森たけ子
雛箪笥あくやふくらみでる縮緬/澁谷道
青鬼灯母の詰まりし桐箪笥/清水山菜子
へその緒は母の箪笥に桐の花/坂本杏子
久々に母の箪笥に虹が立ち/渡辺誠一郎
亀巣忌や潮錆び古ぶ船箪笥/神尾うしほ
二棹はほしき雛の箪笥かな/後藤比奈夫
入れかへて箪笥ゆるやか夏衣/小原寿女
啓蟄の茶箪笥の戸の半開き/佐々木六戈
子へ贈る本が箪笥に聖夜待つ/大島民郎
把手大き祖母の箪笥や午祭/古賀まり子
桐箪笥野晒しのごと家にあり/宇田蓋男
母の背の若く涼しき桐箪笥/猪俣千代子
春立つやぶらり牛込箪笥町/赤瀬川昌彦
獅子座流星箪笥にたまる宇宙塵/安西篤
白足袋を箪笥が銜へゐる寒さ/鈴木鷹夫
竜淵に潜む箪笥のナフタリン/高澤良一
箪笥から汽罐車一語発したり/大沢輝一
経箪笥きざはしびらきお風入/大橋敦子
緋縮緬噛み出す箪笥とはの秋/三橋敏雄
俳句例:61句目~
繭玉の影ゆらゆらと舟箪笥/加藤三七子
色鳥やひとつ箪笥に妻のもの/石田勝彦
花冷や瞽女の箪笥のしるし紐/西本一都
野の家の箪笥見えてる稲の秋/臼田亜浪
茶箪笥や椿の枝の活けてある/長谷川櫂
蓮見茶屋箪笥の鐶に手紙さし/星野立子
蚊を焼くや箪笥の上の寝ぬ人形/原月舟
うすらひや桐の匂はぬ桐箪笥/神尾久美子
しぐれ来て鉄の匂ひの舟箪笥/脇本千鶴子
玉虫や野良着ばかりの我が箪笥/塩見蛙子
箪笥運び入れたるあとの冬木立/友岡子郷
懸想文箪笥にしまひ置くことに/福井圭児
貝寄風や祖父の匂ひの船箪笥/脇本千鶴子
蠅とんでくるや箪笥の角よけて/京極杞陽
帯箪笥はみ出て長き春の帯/長谷川かな女
炉ふさぎの商家に残る舟箪笥/新家ひで子
臍の緒を箪笥に守り曼珠沙華/佐々木六戈
梅雨晴間薬草箪笥に残りし香/濱田未過去
春蘭は箪笥を閉めるやうにあり/中井洋子
巴里の香水箪笥に仕舞ふ薄暑かな/及川貞
俳句例:81句目~
春暁をさめて箪笥のもとにかな/太田鴻村
残暑めく夜の古箪笥きしみ入り/横光利一
冷まじや箪笥に納む明治の緋/相澤いさを
雛壇の箪笥を開けて衣装なし/南上加代子
箪笥のなか掻き回したる冬支度/油井和子
雨はげし花冷えはげし黒箪笥/柴田白葉女
三十年の箪笥軋める冬銀河/鍵和田ゆう子
風鈴に尾をつけ箪笥に風入るる/菖蒲あや
しまい込む箪笥預金や梅の日々/高澤良一
去年今年箪笥にあまる形見の衣/詫摩まつ子
茶箪笥へ射す日が折れて春立ちぬ/菖蒲あや
千鳥鳴くやかほどの華奢も箪笥鍵/久米正雄
春ソウル箪笥の中のテレビジヨン/夏石番矢
梯子箪笥きしませ上る雲の峰/鍵和田ゆう子
畳替すみたる箪笥据わりけり/久保田万太郎
小箪笥に雛ぽちとある叔母訪ヘり/久米正雄
在りし日の箪笥の闇も享けしかな/河原珠美
青北風に据ゑてくらしの古箪笥/稲垣きくの
被爆箪笥買ひ替へよとや亀の鳴く/朝倉和江
ぼろ市の路をせばめし箪笥かな/植木美枝子