車椅子に関連した俳句の例をまとめました。
車椅子を含む俳句例
緑陰の鳩と鴉と車椅子/細根栞
風花や渾身で行く車椅子/豊場梓
秋暑し三千院に車椅子/攝津幸彦
子雀の吹き落されし車椅子/森土秋
踏青や車を降りる車椅子/二川茂徳
小春日や仏像の如車椅子/大関華子
朝顔の数輪へ寄す車椅子/日原輝子
未草限りなく寄す車椅子/日原輝子
白鳥と数を競へり車椅子/西尾五山
花椎や妻乗せ軽き車椅子/安江緑翠
踏青や車より出す車椅子/矢野俊子
雉鳴くや元憲兵の車椅子/蛯原喜荘
桜蘂降る空つぽの車椅子/石山汀女
踏青の光の中の車椅子/池田ちか子
野遊びの大西洋に車椅子/斎藤夏風
露寒や空気の抜けし車椅子/森総彦
澄みて二人で一人車椅子/安井昌子
鳥雲に家族が囲む車椅子/岩波文子
犇きて裸子が押す車椅子/小林康治
車椅子一歩先ゆく黒揚羽/中村昭南
俳句例:21句目~
聖樹くぐりて産院の車椅子/長田等
堂上に車椅子上げ十夜講/高澤良一
夕焼を見に屋上へ車椅子/山田弘子
月見るや病者の中の車椅子/朝倉和江
車椅子置かれ師走の礼拝堂/斉藤葉子
お彼岸の園に下ろさる車椅子/小林勲
著莪しろし車椅子谷風のやう/渋谷道
車椅子押し行く人の夏帽子/鈴木みち
もう用のなき車椅子草の花/稲畑汀子
万緑の点となるまで車椅子/小田欣一
亡き母の車椅子置く花の下/石川文子
紅梅の庭より出でず車椅子/長岡青城
安楽に夏蝶翔り車椅子/長谷川かな女
黄落に言葉惜しまず車椅子/増田治子
車椅子上手に使ひ窓五月/田畑美穂女
砂の音たてて干潟の車椅子/小平千里
車椅子進め受洗の息白し/冨田みのる
惜春の犬と目が合う車椅子/有馬英子
秋草の沖に漕ぎ出す車椅子/朝倉和江
初花へ母を連れ出す車椅子/住藤信子
俳句例:41句目~
車椅子の母と夏越の祓受く/熊田鹿石
夜桜の影うつりたる車椅子/仙田洋子
春風のやさしき散歩車椅子/窪田佐以
麦埃かぶり漕ぎ行く車椅子/山田百穂
凍滝の明るさにをり車椅子/谷口紫頭火
庭のどか車椅子ごと父を乾す/武田和郎
散る花に膝あたたかし車椅子/新川光波
新緑の真っ只中の車椅子/長曽我部里子
春めくや川沿ひを行く車椅子/河原昭子
春立つや無表情にゆく車椅子/高橋達子
梅雨晴や螺子しめ直す車椅子/高木達郎
残る鴨見に押されゆく車椅子/澤井我来
生くるべし炎天を航く車椅子/花田春兆
聖母像へ車椅子の汗捧げます/袖岡華子
膝掛をして車椅子市へ行く/谷村千恵子
萩の園身を乗り出して車椅子/森田久子
薬師寺へ車椅子押す秋日和/青山ゆき子
車より車椅子が出はまなすに/嶋田一歩
車椅子に積める苗選る植木市/矢野文彦
車椅子の少女に耳環復活祭/冨田みのる
俳句例:61句目~
車椅子の輪が太陽系/整肢園/伊丹啓子
車椅子入りて広がる踊の輪/小川木久江
車椅子扉口にありて聖夜弥撒/渡会昌広
車椅子漕ぎ来し友と潮を浴ぶ/高木一水
車椅子白靴汚すことなきも/舩田千恵康
車椅子紫苑の庭に休みをり/井村美智子
あぢさゐの寺に来てゐる車椅子/三宅桂
車椅子寄せてつみ折る柊の花/野村喜舟
車椅子離せぬ足の端居かな/柘植梅芳女
送り火をひとり守りゐて車椅子/林昌華
お酉さま人出ぬうちの車椅子/高澤良一
陽炎を押し分けてゆく車椅子/長谷川櫂
かなかなの鳴く頃合を車椅子/原田祥子
ちらりと雪の姫神山を車椅子/鈴木鷹夫
乗初は部屋の行き来の車椅子/守谷順子
駒返る草をよけゆく車椅子/鈴木万佐子
髪つめて涼しき妻の車椅子/鈴木喜八郎
仔鹿群れくる重心低き車椅子/大牧芳子
冬座敷の真ん中をゆく車椅子/土田晶子
冷房放射線室へ車椅子押さる/石川桂郎
俳句例:81句目~
車椅子遠くにおいて山滴る/喜田礼以子
八の字に茅の輪抜けゆく車椅子/小田弘子
車椅子強東風に押す九十九里/根岸たけを
はまなすや沖を見ている車椅子/岩本和雄
月の人のひとりとならむ車椅子/巌谷小波
仙台虫喰子の田見にくる車椅子/武田仲一
うすらひの急がぬひかり車椅子/長谷川双
花御堂へ寄せたる母の車椅子/藤武由美子
車椅子道の冷気をひろひ行く/木崎ひろみ
着ぶくれの母を丸めて車椅子/松浦なつ子
草紅葉對きて置かれぬ車椅子/石田あき子
凍て土を漕げばきしきし車椅子/山田百穂
車椅子の足先清水へあそばせる/奈良文夫
芭蕉忌の押させて貫ふ車椅子/津高里永子
車椅子ぽつねんとあり死後の秋/中村苑子
冬うらら子に押され行く車椅子/竹内鈴子
車椅子下りて御難の餅を受く/鈴木大林子
杖の吾に風邪を引くなと車椅子/村越化石
花びらを載せてもどりぬ車椅子/堀北/久子
車椅子母乗せる日のまだあるごと/川田玉恵