生死に関連した俳句の例をまとめました。
生死を含む俳句例
三軒家生死もありて冬籠/鬼城
生死の中の雪ふりしきる/山頭火
身辺に生死相つぐ更衣/吉井莫生
我肌にほのと生死や更衣/原石鼎
人に生死国に興亡山笑ふ/山田豊
長き夜や生死の間にうつら~/鬼城
蛤の生死をたしかむる炎/櫂未知子
生死や一本の葦汗の手に/齊藤美規
人形に生死の無くて旱星/永井純子
煮凝やときに生死は紙一重/長田等
大銀河生死は星の一瑣末/吉本和子
青胡桃日の縞生死談笑に/片山桃史
鉦叩星の生死を音としたり/秋山貞彦
深海の生死は無音去年今年/藤田湘子
秋風が黙つて通る生死の中/加藤岳雄
秋晴れや生死一重の影法師/長迫貞女
秋扇や生死を越えし人静か/久米正雄
盆唄の流れ人の世生死あり/小林康治
生死や藁帽に降り棕梠の花/岡井省二
冬浜に生死不明の電線垂る/右城暮石
俳句例:21句目~
沈丁花生死の境に薫じけり/渡辺水巴
わたくしが生死を握る天使/櫂未知子
明易き欅にしるす生死かな/加藤秋邨
春の夜の生死を華に能舞台/鈴木鷹夫
猫あまゆ人の生死の枕辺に/赤尾山稜
生死の大事を説かれ初法話/土山紫牛
生死この退屈なもの蝿取紙/富田一鷹
水底の生死は知らず根無草/藤田湘子
生死の中の雪ふりしきる/種田山頭火
火口覗く生死の生の側に吾/津田清子
炎天の欅生死を見下ろせり/渡辺桂子
生死のそと側にゐて紅葉狩/鈴木鷹夫
さりげなく生死を語る夜の秋/鈴木祐子
わが生死縛す惧れの曼珠沙華/河野南畦
わが胸の一事生死の他になし/岸風三楼
下萌に疑ふ生死悲しけれ/長谷川かな女
人麿の生死やほろと花茨/鍵和田ゆう子
今はたゞ生死句にあり秋の風/松瀬青々
冬の雁生死知れねばあきらめず/安住敦
冬日影人の生死にかかはらず/飯田蛇笏
俳句例:41句目~
わが生死食思にかかる十二月/相馬遷子
寒蜆生死わかたず積まれあり/飯村志音
小夜時雨生死の外に坐るかな/野村喜舟
愕然と生死をおもふ夜の蝉/柴田白葉女
明け易き欅にしるす生死かな/加藤楸邨
春生死す青き網戸に風出入り/宮坂静生
朝の音のこほろぎ生死紡ぐなり/斎藤玄
朝寝して生死二つに遊ぶごと/井澤正江
朝日出て螢の生死忘れられ/上田五千石
東京と生死を誓ふ盛夏かな/鈴木しづ子
植ゑたせる小松の生死秋の風/西山泊雲
毎分の誤差に生死が絡みつく/蛭名節昌
炎天のごと物足らぬ生死かな/永田耕衣
無常迅速生死事大と萩咲けり/高澤良一
生死の果なし坂や梅雨に入る/中川宋淵
生死みなひとりで迎ふ冬木立/倉橋羊村
蛇摶つや生死一鞭とは行かず/河野南畦
結跏趺坐生死の外の涼しさか/橋本榮治
麦刈れり生死をこゝに島人や/石塚友二
雪茫々生死さだめなく降れり/斎藤空華
俳句例:61句目~
いちはつの生死の花を一茎に/菊池草思
鳶の輪も生死の間も定まらず/攝津幸彦
川の青水煮ていて切に生死なり/阿部完市
生死いま磯鴫に時あずけおく/長谷川草々
春泥の繁華生死にかかはりなく/福田蓼汀
生死渇くやつつじ戯れに岩に落ち/竹中宏
岩に落葉表裏生死のごとくあり/福田蓼汀
吾ら鬼火の仲間生死の裏で踊る/深谷守男
何度でも生死取り替へ水鉄砲/野末たく二
うとうとと生死の外や日向ぼこ/村上鬼城
薔薇園に落ちたる生死定まらず/和田悟朗
梅咲くと生死の生の側を行く/伊丹三樹彦
梅を干す村を越ゆれば生死越ゆ/和田悟朗
朝寝して生死ふたつにあそぶ如/井沢正江
人の世の生死なにほど蜃気楼/森久保美子
花祭の白象生死無限にして/長谷川かな女
藤壺の生死のほどがわからない/池田澄子
なか空に寒卵あり生死はあり/小川双々子
ひたすら飛ぶ人の生死をみた鴎/伊丹公子
ゆく春や生死不明の弟子ひとり/丸山哲郎
俳句例:81句目~
誰彼の生死気になる冬ごもり/古賀まり子
生死の手続きあふれ庁舎の桜ゆれ/伊丹公子
生死わけし雪晴の道明日はあり/沼尻巳津子
梨の木に生死がまわるオルゴール/松本恭子
紙を漉く水にも生死ありといふ/岡崎登志子
生死軽重ニユース凝りつく汗の面/石塚友二
聞きとれぬは生死の音か新樹林/殿村菟絲子
かりがねや生死はいつも湯が滾り/藤田湘子
露茫々に生死いづれもままならず/長山遠志
月おぼろ生死たかだか一字とは/花柳喜与衛
春の雷とほく生死も分かぬひとり/成田千空
梅雨茫々生死いづれもままならず/日野草城
生死すらわからぬ拉致や春よ来い/須川ヒサ子
生死の戸まだ閉ざされて睦月かな/石田由美子
わかさぎは生死どちらも胴を曲げ/宇多喜代子
目刺焼くや生死にありとなされつゝ/尾崎迷堂
ぼんやりと生死のことをいえば雪/宇多喜代子
かまくらへ降る雪生死ひとつなる/河野多希女
またたきをせし間の生死カンナ燃ゆ/野見山朱鳥
生死もとよりなきごとし辛夷咲きたり/中塚一碧樓