杓に関連した俳句の例をまとめました。
杓を含む俳句例
蹲の杓落し翔つ尉鶲/川澄祐勝
若水を汲む杓音の闇深し/峰山清
青竹の一杓甘し初手水/井上淑子
若水に奈良井の宿の杓卸す/青畝
大福や松の柱に竹の杓/正岡子規
釜に水一杓差して原爆忌/小沼宗心
釜鳴りを鎮む一杓初点前/ましお湖
一杓に一音春の立ちにけり/辻桃子
島の舟洗ふ杓あたらしき/桑原志朗
利休忌の男点前の杓光り/皆吉爽雨
杓沈む音の淋しさ灯取虫/富田木歩
御手洗の杓の柄青し初詣/杉田久女
病む兄へ杓傾けよ寒北斗/中村郊雨
つくばひに青竹の杓春霖雨/関成美
寒巖に一筋の杓年新た/八木林之介
晒井や二タ杓三杓迎へ水/大森積翠
綱曳の振舞酒や杓で酌む/中川秋光
宗祇水一杓に秋深みかも/衣川砂生
花更けて北斗の杓の俯伏せる/誓子
大寒の杓沈めけり甕の水/小杉余子
俳句例:21句目~
蝸牛を風雅の主や竹の杓/正岡子規
たまはりし一杓青し初手水/安藤清峰
眞清水の杓の寄附まで山長者/原石鼎
初伊勢の青竹の杓匂ひけり/吉田初江
疾風に甘茶の杓の逆立てる/石田勝彦
一杓の甘茶分け飲む母と吾/品川鈴子
椎の根に杓渡しある泉かな/野村泊月
寒泉に一杓を置き一戸あり/木村蕪城
打水の一杓をもて鹿追はれ/櫨木優子
灌仏や使ひ古りたる錫の杓/柳本燕雨
ひと杓の水大切に法師蝉/福田甲子雄
杓の水早く吸ひこむ胡瓜苗/西尾北鳴
浜づたひ杓さげてゆく初湯かな/泊月
杓の水揺れるを鎮め初手水/村上冬燕
虚子の墓へ捧ぐ一杓冬の水/兼古節子
俎始ひと杓の水走らせて/鈴木真砂女
秋の暮杓無くば水長からん/永田耕衣
灌仏や杓をかたみに老夫婦/柴田只管
杓入れて山驚かす清水かな/尾崎迷堂
若水の一杓身うち浄めけり/斉藤小夜
俳句例:41句目~
御報捨の杓さし出すや青簾/正岡子規
妻笑ひだす水栓も杓も凍て/辻田克巳
誰が恩の杓あたらしき草清水/森澄雄
水一杓浴びて鰆の光りたる/石井淳子
身に入むや延命水の杓の音/村本治美
青田風杓にて量る釉合はせ/生井慶子
順礼の杓に汲みたる椿かな/正岡子規
みたらしに杓の灯影や初詣/五十嵐播水
わが窓に北斗の杓を置き涼し/山口青邨
一と杓を傾け挿木をはりけり/後藤夜半
千杓を召されて飽きず甘茶仏/磯野充伯
四方より杓にぎはしや花御堂/川田十雨
打水の杓たてかけて茶屋渡世/木村蕪城
星の杓枯葉の国土汲み汲めり/依田明倫
杓のうなづく滴りの涼しさよ/辻田克巳
水分の杓冷やかに置かれけり/石田勝彦
浅く見えて杓の届かぬ清水哉/正岡子規
浮かびたる杓の回るは春の風/岸本尚毅
灌仏の杓をうしろの妻に渡す/高室呉龍
炉ににゆる粥にひ杓や梅の宿/橋本鶏二
俳句例:61句目~
祗王寺の春の氷を割りし杓/梶山千鶴子
一杓に湯気の白さよ風炉名残/井沢正江
秋の暮杓無くんば水長からん/永田耕衣
一杓のありて涼しき噴井かな/酒井素女
一杓の余滴に冬の立ちにけり/原槙恭子
一杓の水うす~と打たれけり/小杉余子
若水のあふるる杓の小さかり/久垣三代
一杓はひかりに似たり甘茶仏/西川織子
一杓をふくみて甘し初手水/白崎きよし
巫女に受く手水一杓花しづめ/角田敬恵
菊の酒一杓づゝの回向かな/都甲久美子
つくばひに杓横たふや若葉蔭/高浜虚子
閼伽を換へ掬ふ手杓の水温む/本浦恵理
つくばひの杓に點じて蝿生る/富安風生
どやどやの血気へ杓の水幾度/滝本顔女
うかがひて杓さし入れる花御堂/川端茅舎
杓の下小さくかなしや甘茶仏/松本たかし
甘茶仏杓にぎはしくこけたまふ/川端茅舎
ゆくひとへまこと一杓朱夏の水/加藤耕子
年逝くと北斗の杓の立てりけり/山本歩禅
俳句例:81句目~
寒肥の杓ねもごろにさしのべて/橋本鶏二
婆の杓こつと頭に享け甘茶仏/藤沢紗智子
夏潮を汲むに北斗の杓が良し/小川原嘘帥
置いてある杓に又来て寒肥す/古久保星洋
瓜苗にもれなく杓をかたむくる/岩木躑躅
梅雨晴れて杓に重たき釉の澱/ふけとしこ
御手洗や凍りつきたる杓の数/大橋櫻坡子
汲みあふる寒水の杓よるべなし/飯田蛇笏
道のべの清水に杓のありにけり/清原枴童
釣釜に伏せ置く杓の定まらず/伊藤宇太子
浮びをる甘茶の杓をとらへけり/後藤夜半
涸清水杓にためては遊びけり/阿波野青畝
灌仏に杓打ちあてぬもたいなや/里村麻葉
杓のもと小さくかなしや甘茶仏/松本たかし
はしりもて杓しりぞきし泉かな/阿波野青畝
汲みこぼす一杓に丹生冷えまさり/綾部仁喜
一杓の甘茶にて足り濡れたまふ/百瀬ひろし
一杓の水を火に打ち朝ざくら/野見山ひふみ
数珠揉んで甘茶の杓を取りにけり/北垣宵一
ゆれ合へる甘茶の杓をとりにけり/高野素十