貝殻に関連した俳句の例をまとめました。
貝殻を含む俳句例
春嵐貝殻草は紙の音/須川洋子
貝殻は死装束や寒蜆/丸山分水
からからと貝殻庇秋過ぎぬ/一茶
踏み鳴らす貝殻道や秋祭/岡本眸
貝殻を拾ひて秋の砂こぼす/柏禎
貝殻に残る紅色一葉忌/下山宏子
出代や貝殻捨つる胼薬/水野柿園
貝殻に茨花散る蜑が門/寺田寅彦
行く春の貝殻白し蜆塚/清水杏芽
白砂や露の貝殻鏤めて/石塚友二
胃を病めり貝殻に似て寒の月/眸
更衣貝殻骨をひらくかな/大島雄作
貝殻も花ぞ梅散る月の濱/幸田露伴
貝殻は海の脱け殻土用波/樋口久兵
貝殻の風鈴石の家に吊る/中山純子
貝殻の真の闇くる風の盆/田中勇詩
炎天や貝殻山を踏みしだき/中田剛
烏貝殻をひらきて真珠色/米田花壺
山なして貝殻哀し桃の雨/松村蒼石
貝殻に秋の灯細し蜑が家/大谷繞石
俳句例:21句目~
芋畑のなか一畝や貝殻草/山下きさ
草なかに貝殻白し夜の秋/長谷川櫂
蜃気楼半分は貝殻なりし/大坪重治
早春の巻貝殻は砂丘の耳/有馬朗人
春の光絵師のいのちの貝殻に/原裕
迎火や貝殻山の裾泛べ/石田あき子
秋寒し貝殻ばかり洗ふ波/糸井千鶴子
耳は貝殻右や左に風かよひ/三橋鷹女
蝉取る子貝殻骨に秋は来ぬ/川崎展宏
貝殻の青き肌に雨くるよ/富澤赤黄男
貝殻が見え水中も冬ざるる/鷹羽狩行
貝殻に溜まる彼岸の忘れ汐/小林洋子
貝殻に溜れる雨も涅槃かな/細見綾子
貝殻に物書く秋の日和かな/会津八一
貝殻のうちがは白し秋のこゑ/小島健
十月や貝殻ひろげし畳の上/桜井博道
夏痩せて貝殻道の続くかな/飯島晴子
貝殻の松葉にまじる冬日和/長谷川櫂
貝殻の鍬に当りぬ秋の土/藤田あけ烏
干拓稲田貝殻群が畦に散り/河野南畦
俳句例:41句目~
貝殻を花摘むごとく秋渚/片山由美子
貝殻を拾ひあつめて祭の子/山西雅子
貝殻を洗うてをれば通し鴨/黒田咲子
貝殻を海に戻して冴返る/藤本美和子
遠足の貝殻も夜寒山どころ/石井露月
春寒く貝殻骨を鳴らし臥す/石塚友二
残雪や貝殻に波這ひかゝり/松瀬青々
男の別れ貝殻山の冷ゆる夏/西東三鬼
盆竃に貝殻はぜる海女の庭/升本栄子
恵方へと貝殻径のひかり踏む/長友凉子
海髪抱くその貝殻も数知れず/中村汀女
ひっそりと貝殻踏む猫平家村/伊丹公子
猿払の貝殻置場春荒れひゅう/高澤良一
めんどりに貝殻食はす桜かな/小川軽舟
貝殻を鶏がつつけり梅の花/木村里風子
春炉辺に貝殻節を聞くことも/稲畑汀子
何時よりの貝殻塚や冬の音/鈴木五十男
冬の夜子のまぶた貝殻のごと/細見綾子
貝殻を踏む夏風邪の力抜け/殿村菟絲子
貝殻を落とす鴉や冬木立/安斎櫻カイ子
俳句例:61句目~
引く浪に貝殻鳴りて実朝忌/秋元不死男
貝殻は日に濡れ男女抱擁す/吉岡禅寺洞
田ひばりや貝殻まじる湖の畑/皆川盤水
殖ゆる灯も貝殻山も朧なり/石田あき子
汐干戻り渚の貝殻の踏みよし/原田種茅
未明貝殻色なす雲へ眠れ灯台/幡谷東吾
貝殻に潮騒を聴く秋思かな/川村はるか
貝殻を底に敷きたる噴井かな/鈴木好子
貝殻のささやき始む秋の潮/甲斐由起子
貝殻も遺品のひとつ鳥雲に/片山由美子
貝殻を売りをれば買ひ夏祭/金久美智子
貝殻に汲みし水やる菫かな/中戸川朝人
貝殻の浮き出て白し喜雨の浜/大熊輝一
陽を砕く貝殻のみち瑠璃あそぶ/堀葦男
掌うつしに貝殻呉れし定斎屋/佐野まもる
掻きよする貝殻鳴りぬ磯遊び/高橋淡路女
かくれんぼ貝殻踏みて路地日永/今西郁子
貝殻みち臭と詩人とところてん/宮田和子
梅雨白し路次の貝殻道来れば/文挟夫佐恵
貝殻にまじりて昨夜の花火殻/片山由美子
俳句例:81句目~
貝殻と蟹で賑はつてゐる眞晝/富澤赤黄男
春一番貝殻館の貝ざわめく/きくちつねこ
つづく訃に触れて音たつ貝殻草/横山房子
陽炎の中へ貝殻を捨てて去る/富澤赤黄男
貝殻を敷込む家のカーネーション/高澤良一
夕東風や貝殻の過去ひびかせて/堀井春一郎
貝殻一つ一つ濃霧のオルゴール/高野ムツオ
貝殻拾はう夕影の長い手を伸ばす/大橋裸木
良夜ならむ貝殻いろに雲散らばり/楠本憲吉
貝殻のざぶざぶ濡るるいなびかり/下村槐太
ままごとの皿は貝殻さくら咲く/松本ヤチヨ
貝殻のゆきのした夏にめぐりあふ/下村槐太
愛を拾うように浜辺の貝殻の光です/鈴木喜夫
カーマスートラ探す孤島の貝殻山/八木三日女
部屋に来て踏まれずにゐる貝殻達/八木三日女
貝殻のごとき音してきやら落葉/阿部みどり女
シャワー浴び貝殻ランタン灯の入りし/高澤良一
膝白く貝殻の粉や天草打つ/二塚元子「かつらぎ選集」
貝殻のこけしのうしろに能古の汐騒がある/吉岡禅寺洞
都會のネオンがこゝの貝殻までは映らない/吉岡禅寺洞