素顔に関連した俳句の例をまとめました。
素顔を含む俳句例
日曜の素顔の一家朝桜/桂信子
狂言師素顔を曝す薪能/右城暮石
朝寝髪桜にこほる素顔かな/言水
霧雨に衣通姫の素顔かな/山口素堂
秋あつし鏡の奥にある素顔/桂信子
洗顔のあとの素顔に青箱根/長田等
三面鏡ひらきて素顔年迎ふ/美代子
下町の人の素顔に藤の影/川崎展宏
朝市の露の素顔の女たち/福川悠子
早梅や尼の素顔の障子より/森澄雄
春の野に心ある人の素顔かな/園女
初夢は蘭陵王のその素顔/加藤房子
花冷えの素顔に近し仏の燈/井上雪
風添える没日素顔の青芒/松村蒼石
相宿の女の素顔吹雪くなり/杉本寛
風吹けば人皆素顔十二月/上島顕司
船溜り船の素顔の朧にて/出田洋子
顔見世の隈取寒き素顔哉/中川四明
素顔にて男は足らふ酔芙蓉/田中水桜
神楽果て素顔に戻る手力雄/角川春樹
俳句例:21句目~
海棠に乙女の朝の素顔立つ/赤尾兜子
木洩れ日の素顔にあたり秋袷/桂信子
鴨を煮て素顔の口に運ぶなり/澁谷道
郭公の破調を愛す素顔にて/澤田緑生
新涼の素顔をいれて鏡拭く/塚本久子
新聞受までの素顔に初日受く/桂信子
萩芒みんな素顔の山の鳥/正木ゆう子
盆過ぎて素顔に戻る仏たち/武藤和子
梅雨晴間鏡の脇に素顔置く/小熊礼子
花曇ひとりの素顔愛し続ぐ/香西照雄
螢火の闇に素顔を見せぬ川/堀口星眠
白き素顔が涼点頬に緑映え/香西照雄
家深くゐて花時の素顔かな/長谷川双
螢狩素顔でゆくは危ふかり/正木ゆう子
やや寒の凛と役者の素顔あり/横田欣子
黒々と富士の素顔や九月尽/栗田やすし
障子貼る素顔めつたに見せぬ人/林桐子
風に出て素顔よろしき秋袷/宮澤きぬ子
冬木立素顔のままの君が好き/矢口香山
鳥交る風裏ときに素顔みせ/河野多希女
俳句例:41句目~
初風に向いて男の素顔濃し/中川いさを
向日葵の百の素顔と阿蘇連山/高澤良一
夏帯を解きつつ素顔戻りけり/高橋俊風
山茱萸や山国のものみな素顔/黒川憲三
思ふ事なき日の素顔緑さす/古賀まり子
才蔵の素顔さびしき汽車の中/見目冠人
松飾はづし素顔の街となる/福原ふじこ
水鳥は素顔の我のひかりなり/渡部陽子
汲めや汲め菊の素顔のけふ来ずは/花榴
泣くときは見する素顔や桜草/平賀扶人
磯かまど素顔美し真珠海女/石川星水女
目刺買ふ漢の素顔見られゐて/小川玉泉
短日や素顔のままの走り買い/今村夏子
秋簾素顔さやかに人とあふ/柴田白葉女
素顔さへ仮面にみゆる謝肉祭/石原八束
素顔なるボロ市通り囀れり/平井さち子
綿虫や素顔のひと日落着かず/皿井芳子
繭玉の真下いちにち素顔にて/角川照子
邯鄲の声触れてくる夜の素顔/野澤節子
虫更けて心の素顔とり戻す/古賀まり子
俳句例:61句目~
春泥を跳びそこねたる素顔かな/都竹禎子
柚子湯出し素顔のままに長電話/西村和子
日の素顔見ぬ下北の鍋焼食ふ/上田多津子
森五月恋のはじまり素手素顔/保科その子
栗咲いて素顔の見えぬ少年期/箱守きよ子
花南瓜素顔にあればなつかしき/小山/遥
胼ぐすり素顔にもどる珠の刻/白澤よし子
灯を向けて瀧蓬髪の素顔もつ/中戸川朝人
秋茄子の固き素顔の六つ余り/殿村菟絲子
熱燗やまだ素顔なる泣きぼくろ/澤田緑生
花売りの海女の素顔に風光る/伊阪美祢子
洗ひ髪素顔でゐてもよき夕べ/嶋田摩耶子
春寒し眉なき素顔見てしまふ/福田甲子雄
底冷に生けるしるしの素顔かも/平畑静塔
湯あがりの素顔したしく春の昼/日野草城
谷の日の素顔渡れる夏花かな/大峯あきら
山はまだ素顔なりけり彼岸西風/笹瀬節子
青さんま素顔の妻が買ひ戻る/本庄登志彦
寒垢離を終へて素顔にもどる尼/冨山礼子
朝市の人みな素顔さくらんぼ/工藤眞智子
俳句例:81句目~
初花や素顔をさなき宇佐の巫女/宮下翠舟
鴨引いてみづうみ素顔取り戻す/岩城善明
丁字の香いつも素顔の妻であり/飯島みのる
灯の色にさらす素顔の夜長かな/ふけとしこ
何くはぬ顔が素顔といぼむしり/日置海太郎
宮城まり子素顔却つてうららかに/西本一都
寒紅をさしたるのみの素顔かな/三宅清三郎
冷麦で済んでしまひし素顔の日/金子かをり
秋すだれ素顔さやかに人に逢ふ/柴田白葉女
卒業の素顔の吾子をよしと見き/鈴木しげを
素顔でゐる日曜萩のこぼれ易く/河野多希女
春塵へ灯がつき素顔冷たくなる/諸角せつ子
こでまりに嫁ぐ日の娘のまだ素顔/片山亀夫
春の風邪素顔みせたくなきひと来/稲垣きくの
早稲の黄を刈るや素顔の能登荒れに/山根松於
素顔もてジャムは煮るべし晶子の忌/中村明子
セーター着て素顔の日日の流れ行く/佐藤芙美子
社務所出る素顔の巫女の皮ジヤンパー/細谷徐水
朝食は素顔しゃきしゃき独活を食ぶ/勝尾佐知子
生涯を素顔で通し半夏生/出口善子「刺茨牡丹」