耶蘇に関連した俳句の例をまとめました。
耶蘇を含む俳句例
雪に呷る焼酎耶蘇の鐘永し/斎藤玄
苗代の足あと耶蘇か落人か/長田等
青葉蔭首筋細き耶蘇地蔵/羽部洞然
耶蘇祀り摘草峠野萱草/小原菁々子
耶蘇島の夕波しづむ月見草/正林白牛
隠耶蘇鉄壁をなす障子貼る/有馬朗人
耶蘇髭を貯め彫刻科卒業す/岡田貞峰
隠耶蘇春の玉葱しげるなり/宮坂静生
残菊や殉死一歳耶蘇名無く/山田弘子
耶蘇の島冬浪絶えず咆哮す/桑田青虎
耶蘇島は風音ばかり受難節/辻三枝子
耶蘇名持つ下宿子のをり薺粥/石川幸子
隠れ耶蘇縁辺集ひ守る冬至/小原菁々子
軒毎に凍豆腐干し隠れ耶蘇/早水ふみを
薯伏せて山畑守る隠れ耶蘇/下村ひろし
耶蘇墓の十字うすれて苔の花/山崎石庭
ダリア咲き耶蘇の裔住む深廂/長谷川翠
傷痕は耶蘇にも秋の深みけり/草間時彦
先住の曝書のなかの耶蘇退治/河野静雲
水仙は耶蘇島の花崖に野に/小原菁々子
俳句例:21句目~
水澄んで砂に声ある隠れ耶蘇/岸原清行
午砲鳴れば新樹の空に耶蘇の鐘/瀧春一
耶蘇の紋彫り残したる城の秋/横光利一
耶蘇村の春めくものに鐘の音/荒木英雄
大方は隠れ耶蘇なる鰆漁夫/小原菁々子
耶蘇の徒の歌はぬ寒苦瓦礫にも/齋藤玄
雁渡し耶蘇名消されし島の墓/有岡巧生
帷めく若布を干せり隠れ耶蘇/朝倉和江
石蓴濃き礁に峙つ耶蘇落し/下村ひろし
思ふまま灯下親しく納戸耶蘇/島村茂雄
耶蘇島の墓場は蜑の涼み処/小原菁々子
耶蘇島は海豚跳ぶ灘霞む沖/小原菁々子
日象に耶蘇降誕の茶のけむり/飯田蛇笏
星光り耶蘇降誕の夜なりけり/小林康治
耶蘇島の波止群落の浜木綿/小原菁々子
春風や木の間に青き耶蘇の寺/正岡子規
暑き夜はの如臥て耶蘇を忌む/岩田昌寿
雪片と耶蘇名ルカとを身に着けし/静塔
ときじくのかくの木の花耶蘇の父/森澄雄
ぼろ市や絵皿の中の隠れ耶蘇/町田しげき
俳句例:41句目~
やや寒の壁に無髯の耶蘇の像/中村草田男
先祖累代耶蘇を憎みて龍の玉/佐々木六戈
切り干しの藷反り隠れ耶蘇部落/石塚友二
夜の雪耶蘇の言葉のごとく降る/藤岡筑邨
山里のかくれ耶蘇とて雪降れり/牧野桂一
島裏に夏蚕飼ひ棲み隠れ耶蘇/小原菁々子
弥陀祀り納戸に黴の耶蘇祀り/小原菁々子
秋の夜の歯茎もくろし耶蘇教徒/岩田昌寿
夜長人耶蘇をけなして帰りけり/前田普羅
耶蘇名にて城主を呼べり花杏/吉本伊智朗
耶蘇名呼び聖夜の犬を甘やかす/三好潤子
竹秋やわがおくつきの一基耶蘇/皆吉爽雨
耶蘇島に一寺禅刹烏賊干して/小原菁々子
耶蘇島に蝮谷あり行く気せず/小原菁々子
耶蘇島のなべて無口の牡蠣割女/武藤壱州
草出づる蛇に怒濤の耶蘇落し/正林/白牛
葉生姜やその香のありし耶蘇の父/森澄雄
蕎麦播いて一渓一戸隠れ耶蘇/小原菁々子
隠れ耶蘇まづ年祝ぎの十字切る/加藤春彦
雉鳴くや石一つ置く耶蘇の墓/加藤安希子
俳句例:61句目~
雨乞にそむいてひとり耶蘇教徒/成田蕉雨
さいはての馬渡耶蘇島盆の月/小原菁々子
青歯朶の暗みに耶蘇の水汲場/尾崎恵美子
枇杷咲くや村長耶蘇とうとまれて/大谷句佛
末枯れや島に残りしかくれ耶蘇/相原左義長
春りんだう消ぬかに隠れ耶蘇の墓/大橋敦子
新涼や茶山のファン機耶蘇墓へ/岩田みち子
手に分厚く冷え耶蘇村のラムネ瓶/伊丹公子
耶蘇教師去りぽつかりと春日なた/友岡子郷
ビール積み耶蘇島渡船日に一度/小原菁々子
今日も来る耶蘇のすすめや夏蜜柑/岩田由美
聖地のごと跣足詣のかくれ耶蘇/古賀まり子
胡桃割つて中年耶蘇を信じけり/成瀬櫻桃子
踏絵はや極暑にうすれかくれ耶蘇/玉城一香
アカペラの耶蘇歌流るロザリオ祭/岡田四庵
梅雨冷の耶蘇名をマリヤてつの墓/長谷川双
隠れ耶蘇今も貧しく甘藷掘れり/山口喜久子
まくなぎを隔てて住めり耶蘇の裔/野中亮介
つゆじもや耶蘇の齢を臥つゝ糞る/岩田昌寿
そのかみの隠し田植ゑる耶蘇の裔/景山筍吉
俳句例:81句目~
おしまひに少し耶蘇説く夜学かな/馬場駿吉
町の灯は耶蘇の灯に似て遠し遠し/岩田昌寿
燭点すごと枇杷熟れて耶蘇の島/宮川杵名男
海鼠突きに行く年守りて隠れ耶蘇/小原菁々子
耶蘇島の海霧冷えつづき烏賊不漁/小原菁々子
耶蘇名ルカ寒林ひびかせては名乗る/平畑静塔
亀鳴くやむかし耶蘇名を欲りもして/大石悦子
アマリリス耶蘇名マリアの墓多き/古賀まり子
みちのくに耶蘇の村ありクリスマス/長沢簽一
雨乞ひの耶蘇のオラシヨか潮騒か/荒井千佐代
侘び住みと云ふ隠れ耶蘇烏賊干して/小原菁々子
耶蘇かくすてだての踊かなしけれ/山野邊としを
耶蘇といへば辞儀して去りぬ寒念仏/石島雉子郎
クリスマス隠れ耶蘇の碑灯をもらう/八木三日女
訪えば耶蘇村ひとすじ美しき歯の音す/山本奈良夫
耶蘇ならず青田の海を踏み来るは/西東三鬼「今日」
耶蘇基督神之子而救世主すなはちをいま食ひ了へつ/高橋睦郎
耶蘇誕生会の宵にこぞり来る魔の声。少くも猫はわが腓吸ふ/釈迢空