山車(舞)に関連した俳句の例をまとめました。
山車(舞)を含む俳句例
雪洞を残し山車去る秋祭/松永亀重
菫咲く雨の山車蔵半開き/大野徳樹
秋祭り山車の松前鉄之助/高澤良一
祭山車幼馴染みの夏羽織/河本修子
山車神楽鉦は痴人愚鈍と/高澤良一
山車倉を叩きて椨の荒雫/高澤良一
山車囃甘甘棒は飛騨の菓子/上村占
献灯に触れ飛ぶ山車の飾花/伊藤柏翠
山車曲る砂浜の砂ゑぐりつつ/波津女
風流山車秋の八幡下りかな/高澤良一
電車徐行大津祭の山車の脇/大野鵠士
七浦をうるほす山車の鯨曳/高澤良一
中仙道秋の祭の山車一つ/大澤ひろし
喝采に潮吹き足らぬ山車鯨/高澤良一
夜祭や山車に産屋の力紐/岩淵喜代子
山車を曳く前の一服夏燕/小田かをり
山車倉をはさむ町並水の秋/釜谷石籟
豊年や神の逢瀬へ山車揃ひ/深澤厚子
春の山車窓二タ窓分使ひ/中戸川朝人
山車倉に昔の闇や虎落笛/中村風信子
俳句例:21句目~
山車統べて鎧皇后立ち給ふ/山口誓子
干柿や山車ゆくときの砂埃/斉藤夏風
山車廻す力を足に集めをり/橋本周子
山車倉の庇間に見え巴波川/八木林之介
山車出して風に当てをり祭月/高澤良一
山車曳くや汗地獄なる男の肌/伊藤敬子
爽けしや山車曲るとき乱拍子/田中水桜
山車競ふ色なき風が彩を生み/雨宮抱星
坂掛る一気呵成の北風の山車/鈴木鷹夫
日がわたる高山祭の山車の上/三和千秋
早鉦に石採の山車遅々として/里川水章
屋根越しに山車の人形や桐の花/原月舟
山坂に山車がつまづく秋祭/百合山羽公
村捨てし人も村人山車に蹤く/宮下白泉
桜散る山車の奈落の昼の闇/伊藤いと子
極月の夜祭山車の競ひあふ/菱田トクヱ
山車につく婆前垂れに梨包み/菖蒲あや
湖の国の山車は扇に招き曳く/橋本鶏二
父在らば秋晴の坂山車越えむ/小澤克己
祭山車水尾の如くに人連れて/清水明子
俳句例:41句目~
山車の灯の坩堝を映す水の秋/田口一穂
雪の山車中に鮨のにほひして/長谷川櫂
風流山車見返し遠のく刈屋姫/高澤良一
山車を曳く秩父男の冬の汗/相津以千子
山車を見て祭の宮に寄らで来し/上村占
小鰭青青開耶姫のる朝の山車/小枝秀穂女
波止場まで来てゐる山車や浦祭/土屋仙之
山車過ぎし川面狐火消えのこる/渡辺恭子
雪嶺に向く山車蔵を開け放つ/栗田やすし
冬月も柞越えたり山車曳き出よ/荒井正隆
宰領のさつと塩撒く山車曲る/清水賀名生
山車の灯に暈生まれつつ祭過ぐ/松本幹雄
山車曲る金をはじきて山の雨/鳥羽とほる
山車二台かへりておぼろ一之町/藤田湘子
山車を曳く童児童女に秋の風/伊藤いと子
立話山車の引き手の減りしこと/高澤良一
山車を曳く中に友ゐて木遣誦す/高澤良一
家郷いま山車練る頃ぞ男児生る/奈良文夫
辻廻す山車の奈落を人知らず/出島かず江
山車を引くその左手が母探す/伊藤いと子
俳句例:61句目~
扇もてあふげば山車が動き出す/木村一朝
山車をこきりこきりと曳き廻す/行方克己
山車蔵のかんぬき固し戻り梅雨/安原久雄
山車曳いて田畑を覚ます春祭/馬場移公子
春空へ割り込む山車を仰ぎけり/青木綾子
曳山車の引くも止るも木槌打つ/吉田紫乃
風光る山車からくりの糸見えて/衣川砂生
山車蔵の観音びらきさくら咲き/伊藤敬子
山車ひとつ出づ大工町鍛冶屋町/橋本榮治
どの山車の岩にも牡丹むかしより/田村了咲
はつはつと山車倉の上に鵙鳴ける/高澤良一
山車かつぐ乙女のありて里神楽/中村きみ子
山車が好きで蜻蛉に好かれゐる/鳥居美智子
山車とまりをりても綱を握りしめ/鈴木貞雄
山車にのる河童張子に夜霧ふる/八牧美喜子
あかあかと山車灯し過ぐ風邪心地/内藤吐天
山車蔵の扉にたてかけて橇干せり/加藤岳雄
袋掛くる声のとどきて山車繕ひ/中戸川朝人
秋祭バスやりすごす小さき山車/水谷田鶴子
近江びと老いてうららに山車自慢/大島民郎
俳句例:81句目~
過ぎてゆく山車より秋思始まれり/片山茂子
雨をよぶ山車を出しけり夏祭/長谷川かな女
山車駆けて秋日香み込む鯛の口/伊藤いと子
秩父夜祭山車待つ燗を熱うして/田原口秋峰
行く春や湖北ひと夜の山車歌舞伎/清水節子
よれよれとなりて夕日の山車を曳く/高澤良一
山車の上に病み抜きし人よ秋まつり/堀口星眠
山車の灯を遠くながむる一家かな/軽部烏帽子
山車獅子の晴れ着の唐草模様も古り/高澤良一
山車通るゑのころ草も刈られけり/吉武紀代子
秋風を捩ぢまげて山車曲がりけり/安孫子十字
山車歌舞伎肩震はせてよよと泣く/揚原れい子
帰る気になかなかならず山車に従き/稲畑汀子
風流山車出を待つわんこそば屋の前/高澤良一
幼なの日汝が曳きし山車何処行く/文挟夫佐恵
山車の灯も入りしころとか見に行かん/高濱年尾
山車揺れて子ら振り落とすことなかれ/辻口静夫