余白に関連した俳句の例をまとめました。
余白を含む俳句例
薺粥命の余白噛みしめて/高島静
十月や日程表に余白なし/今橋浩一
白々と余白めでたし年賀状/七三郎
原稿の余白数行朝の蝉/藤田あけ烏
春晝の砂の余白に貝乾く/斉藤夏風
襖絵の余白へ翔てり初鴉/南本和子
鎌倉の余白で遊び疲れたり/遠藤煌
松蝉や余白大事に筆運ぶ/坂田美代子
筋書きに余白残して黄落す/玉城幸子
曲り屋は花に余白の啄木忌/平野無石
稍寒く余白の出来し手紙哉/寺田寅彦
屏風絵の鷹が余白を窺へり/中原道夫
白菊や看護記録に余白なき/小松和子
わが生の余白の方へ鷹の旅/伊志嶺亮
破芭蕉余白の多き時刻表/平川じろう
白梅の余白の余命我に在り/永田耕衣
初暦輝く余白ありにけり/糸満純一郎
半生を綴る余白に蝉しぐれ/加藤晶子
卵置く皿の余白を風薫る/松本三千夫
古暦余白なきまで遊びたる/橋本榮治
俳句例:21句目~
水害の記事の余白の白きこと/杉本寛
自分史の余白に泛きし熱帯/田中賢治
読初や詩集の余白海に似て/和田西方
鉦叩今日の余白を埋めをり/吉田節子
雁帰る沼に余白の水残し/羽鳥つねを
初霜や余白なき日を繰り返し/大島民郎
泥んこの子に余白なし蝸牛/中田ゑみこ
冬深む一語の余白はかりかね/村田悠紀
天命の余白に大根蒔かんかな/清水能舟
わが余白雄島の蝉の鳴き埋む/細見綾子
セザンヌの筆の余白に秋の声/岡田貞峰
白萩の余白に読みし戸籠かな/斎藤慎爾
戦後史の余白の蛇になる沖縄/小橋啓生
一葉忌余白残して日記閉づ/吉田みゆき
水中花水の余白をのこしけり/那須淳男
涅槃図の余白の我を思ふべし/橋本榮治
初景色余白に猫の入り来し/宮田黄李夫
糊代の余白がありしよ冬の川/齋藤愼爾
詩集余白多し南風たかぶれる/田中英子
余白すぐ消ゆる師走の予定表/八木久江
俳句例:41句目~
芭蕉忌の旅の余白を牛鳴いて/中村明子
苗代の余白にあそぶ岬の雲/小野恵美子
桔梗や余白は美とも想ひとも/大口公恵
虫の声余白に埋めて書く手紙/安田美樟
余白多き古日記とはなり了す/石塚友二
涅槃図の余白を金に埋めつくす/石嶌岳
冬近し厚きプラトン書の余白/有馬朗人
津軽じよんがら空の余白に柿灯す/広治
長夕焼旅で書く文余白なし/田中/裕明
陽の沈む前の余白に何を描こう/原直子
恋文の余白をすべて憎むべし/大西泰世
雁来紅余白なき葉を重ねけり/白岩三郎
雑巾をしぼる弥生の余白に居て/穴井太
雪嶺の天の余白は生きんため/宮坂静生
青葉木菟農事暦に余白なし/高倉恵美子
風に任す昼寝の詩集余白嬉々/宮津昭彦
しろしろと色紙の雛の余白あり/後藤夜半
人の世の余白残してさくら散る/金井暎子
花種をけふの余白に蒔かむとす/和田祥子
花野なる日記の余白のごときもの/橋本薫
俳句例:61句目~
余白には雲を浮かべて蓮浮葉/片山由美子
薄画く余白は風の吹いてをり/北見さとる
七夕竹孤児ら願ぎ事余白多し/平井さち子
句を書いて多き余白や初日記/高橋淡路女
大いなる涅槃図にして余白なし/吉原一暁
見えぬ明日余白を重ね日記果つ/茂木義夫
胸中に余白ひろがり紅睡蓮/鍵和田ゆう子
天が下灼けゐる墓誌に余白あり/高澤良一
年賀状余白に喜寿とありしかな/佐藤路草
夏葱は遺書の余白に似てゐたり/栗林千津
朴の花遭難碑余白あるはかなし/福田蓼汀
松七日余白のごとく過ぎにけり/徳永キヨ
活字よく組めて余白の夏めきぬ/渡邊水巴
朝寝して夢の余白に遊びをり/櫛原希伊子
涅槃図の余白は風の哭くところ/土生重次
空が余白に見える一日蚯蚓掘る/原子公平
うきくさの余白の水の暮色かな/桑原立生
さざなみの余白は暗し冬運河/北見さとる
余白とはうつくしきもの水草生ふ/三浦久子
ポインセチア生華やぎて余白なし/草間時彦
俳句例:81句目~
バス待つは旅路の余白花サビタ/岩淵喜代子
さへづりや筆の走りて余白の美/郡山マサ子
忙しさにまだ余白あり賀状書く/穐好樹菟男
在りし日の余白埋めんと春の雲/津沢マサ子
十二月余白なくなる蜜柑の酸/阿部みどり女
冴え冴えと余白めく闇寝惜しみぬ/野澤節子
未知という豊かな余白年あらた/松本夜詩夫
飛び梅に野をひろげたる余白かな/河野南畦
余白多き日記なりけり年暮るる/阿部みどり女
余白なるは悲しびの日々日記果つ/冨田みのる
今日の余白に真赤な炭と碁盤の斑/平井さち子
ががんぼの余白だらけのからだかな/小西昭夫
夏至の夜やジンとバッハとあと余白/藤田弥生
暑く眠く時空の余白のベンチ老人/伊丹三樹彦
茄子植ゑし今日の余白の恵み雨/萩生田四頭火
桃咲く余白陽をまとひたる赤児欲し/磯貝碧蹄館