砦に関連した俳句の例をまとめました。
砦を含む俳句例
厨こそ女の砦嫁が君/谷知赫童
柴刈に砦を出るや雉の聲/蕪村
桃赤し山の東の古砦/正岡子規
教室は教師の砦いわし雲/樋笠文
星冴えて篝火白き砦哉/正岡子規
黒潮の礁を砦に天草海女/楓巌濤
月かけて砦築くや兵等/黒柳召波
須走口金剛杖の砦なす/小坂順子
月見草山城たりし砦石/山本洋子
毛虫焼く垂れし炎を砦とし/原裕
錦繍の山を砦に平家村/下田千里
冬波に松は巌を砦とす/松野自得
冬深き癌研灯り砦なす/菖蒲あや
水仙の一間が砦文机/旗川万鶴子
大根蒔く一乗谷の砦口/吉田泰子
砦なす一風垣より入学児/岸田稚
滴りの巌を砦に愛洲城/小川柑子
春霜や異教の民の地下砦/上田聡子
むら若葉嶮なる砦白き旗/正岡子規
酸橘熟る阿波水軍の砦跡/安藤衛門
俳句例:21句目~
コンテナを砦に港月見草/岩崎照子
部屋中の本を砦に十二月/野木桃花
歳月や異人の砦梅雨募る/小林康治
謙信の砦に近き夜寒かな/佐藤春夫
一枚の岩を砦に海女焚火/土方真帆
葭切や阿波水軍の砦あと/一宮千枝
秋の山北を固めの砦かな/正岡子規
丹波には猪垣長き砦なす/塩川雄三
碧落の主峰垂氷を砦とす/岡田日郎
砦前夏濤上陸すべて自砕/香西照雄
夏山に見下す敵の砦かな/正岡子規
砦なす旗に浜木綿芯明し/大石悦子
剥落を詰めた壺売る砦跡/伊丹公子
山国は山を砦に冬を待つ/鷹羽狩行
秋風や法の砦を墳墓とす/小林康治
筆買ひし妻の砦よ牡丹雪/小林康治
一病は二病の砦雪しまき/森田緑郎
木下闇に砦見下す物見哉/正岡子規
風鈴をあまた吊せしわが砦/物井隆子
鴉啼いて寒の明けたる砦石/南部憲吉
俳句例:41句目~
さながらに砦のごとし冬構/矢野蓬夫
鷹待つや九鬼水軍の砦あと/太田/暁
はまなすは浜の砦よ夏怒濤/藤木倶子
破蓮や砦はふかく水を衝く/成田千空
其の奥に砦跡ありポピー狩/平田縫子
勝ち得たる砦々の若葉かな/島田青峰
商館址漁市にも似て砦めく/澤田緑生
憲法記念日第九條を砦とし/加藤耕子
朝がけに麦刈るや麦砦なす/小林康治
霜の波うちよす胸を砦とす/石原八束
烏賊干して白き砦の岬百日/河野南畦
焼けながら身体髪膚こそ砦/呉/艸一
真田砦ありし山里秋蚕飼ふ/伊東宏晃
砦嵐沖に透けるは雁渡し/平井さち子
笛の音に月落ちかゝる砦哉/正岡子規
簒奪の砦に遊ぶサリー家族/伊丹公子
若葉して烟の立たぬ砦かな/子規句集
蘆茂り岬に遺るアイヌ砦/太田ミノル
蜑の家は砦構へに鰯干す/鈴鹿野風呂
造船所砦のごとし冬日西/五十嵐播水
俳句例:61句目~
道古りて蒲公英開く砦かな/正岡子規
霙るゝや砦のやうな崖二階/籾山柑子
青林檎割るや妙高は砦なす/友岡子郷
風切は砦の如し月を上げ/今井つる女
野火匂ふ飼屋砦に似たるかな/堀口星眠
雪嶺を砦書を砦しなほ恋へる/川口重美
雪歇まず塗師の砦父祖よりす/河野南畦
冬の二階書架を砦に母寄せず/鈴木栄子
砂の砦に波来てやどる冬暮光/巌谷小波
岩焦けていのちを奪ふ砦かな/横光利一
抱卵の海猫のひそめる羽根砦/加藤憲曠
一向一揆終の砦のうつぼ草/岸川素粒子
信徒八方土蜂は窩窟砦とし/河野多希女
山椒の実赤しここらは砦跡/山田/月家
大寒や起居おのづから砦なす/河野南畦
中洲あり鴨の砦といふべかり/高澤良一
読まぬ書の砦づくりに十三夜/巌谷小波
喪の家の灯を守る雪の砦かな/福士光生
風おとや砦見ぬ子が胡桃割る/萩原麦草
鳰の子に水は砦でありしかな/河野美奇
俳句例:81句目~
秋風を砦としたるをとこかな/山田弘子
枸杞の実の彼方に砦なす水屋/前田正治
蟻いまもマサダ砦の瓦礫這ふ/加藤耕子
えいえいと攻め寄る雪の砦かな/正岡子規
茶の花や子等の砦のあるところ/芝不器男
菜を吊りて妻の砦のあるごとし/小林康治
一枚のすだれを砦喪にこもる/上野さち子
堅田鮒えりの砦は抜け出せず/鈴木真砂女
をさな児に湯たんぽ二つ砦なす/石塚友二
霜夜の砦火の海となり落城す/町田しげき
咲く薔薇が平和の砦戦後の家/伊丹三樹彦
霧ふかき代々を砦の一施錠/鍵和田ゆう子
たんぽぽの絮のほぐるる砦跡/屋嘉部奈江
黒南風のまゆみが砦死後の園/殿村莵絲子
いとど跳ぶ家を砦として出でず/草間時彦
しいらしいら青き砦として泳ぐ/高桑婦美子
劍に舞へばさつとしぐるゝ砦かな/正岡子規
砦のごとく立てし曝書の中に坐す/中出智恵子
サンチャゴ砦の日陰歴史の一片踏み/伊丹公子
やがて四囲夜霧の砦なりしかな/佐土井智津子