太古に関連した俳句の例をまとめました。
太古を含む俳句例
春星や太古も女耳飾る/堀良子
霾や太古の如く人ゆきゝ/杜門
雷は太古の響き青若葉/柴田奈美
島影は太古に似たり夏霞/佐藤春夫
夜の緑螢が示現太古めく/香西照雄
太古の余りに毬を発見す/攝津幸彦
裸足ゆく道は太古と様変り/上野泰
蘆刈や湖に日は太古より/長谷川櫂
太古の火太古の闇や花祭/馬場駿吉
太古より銀河を支ふ円柱/品川鈴子
石炭の太古無となる炎かな/上野泰
高原湖太古の涼に月を呼ぶ/河野南畦
頂上から太古柑橘したたり来/渋谷道
雷わたる万年筆の太古の黒/守谷茂泰
冬曙太古のままの湖の明け/高木良多
初茜愛鷹山裾に太古びと/文挟夫佐恵
初蝶や太古さながら空の青/田辺百子
銀漢や山は太古へ還りたる/下村非文
太古より光は真直ぐ初日出づ/桂信子
大夏野太古を今に野牛食み/小沢明美
俳句例:21句目～
泉湧く太古の砂を踊らせて/安斉君子
太古より壺は壺形初明り/岩淵喜代子
太古より生きて髭振る油虫/柴田奈美
掬ふ手が太古へ届く夜光蟲/都筑智子
太古より神の石指す糸芒/長谷川秋子
太古より月は翳りて飯茶碗/柿木多映
太古史を読む屋外の雪解哉/石井露月
鐘乳石太古春愁一滴づつ/野見山朱鳥
水暗く太古の如き芭蕉林/野見山朱鳥
麦の芽にちりて太古の貝白し/飴山實
熊祭太古の湖のしづけさに/横山瑞枝
太古より人淋しくて筑前煮/攝津幸彦
雪の少女を抱けば太古が匂ひだす/林桂
雪渓に佇ちて太古の声を聴く/遠藤匡子
飛魚の鰭とびゆかば太古かな/平野冴子
鷹一つ雪の太古を軽く生き/宇多喜代子
鼓動して太古のこころ深山瀧/高澤良一
ゆく秋や串の岩魚に太古の火/三嶋隆英
下流より見る鵜篝は太古の火/松井利彦
乗鞍の太古の栂の榾を割る/本間さかえ
俳句例:41句目～
太古の村そら豆の花咲き続く/有馬朗人
太古の火まざまざとある寒詣/永野孫柳
太古へと紙風船のころがれる/峡天衣女
太古よりつづく瀧音新しき/嶋田摩耶子
太古より淵あをあをと鳥曇/山崎千枝子
太古より湖の波音浜ひるがほ/鈴木隆子
太古より滴りにけり流れけり/柿本多映
太古より宇宙は霽れて飾松/正木ゆう子
桔梗に太古の空のいろを瞻る/高澤良一
水鶏鳴く闇は太古の如くあり/西沢破風
湖を搦め灼くる太古の道一筋/西本一都
生き行く道難し太古の露の月/石塚友二
短日のクレバス蒼き太古あり/依田明倫
石窟の滴り太古よりつづく/片山由美子
細氷の太古の空となりて降る/相澤乙代
草餅や太古の巌を撫でと来て/西東三鬼
菊の香や太古のままに朝日影/飯田蛇笏
華やかな孤独へ太古からの舌/松本恭子
蜷の道太古の道のごとくあり/山本桂三
豊年や乳房まるきは太古より/伊藤通明
俳句例:61句目～
野を焼くや焔の中にある太古/野村喜舟
菱若葉湖舟太古の刳りをもつ/西本一都
雉鳴いて太古の跡の一揆の地/山崎丈夫
火の中の樹液うごくよ太古の冬/桜井博道
ご神火は太古の闇を連れて来し/大谷早苗
ねぷた去り闇は太古の匂いかな/田附隆吉
太古船ふと思い出す船上の食事/金子皆子
はんざきの太古知りたる面構へ/小滝徹矢
太古より墜ちたる雉子歩むなり/和田悟朗
蟇穴を出でて太古のまばたきす/佐藤干城
浜木綿やこの潮騒の太古より/平間真木子
太古よりをみなたふとし初神楽/山田麦城
蓮の花太古はばかりなくありぬ/和田知子
太古からまどろみ孕む卵かな/おおしろ建
蛇飛ぶや太古の空のありぬべし/柿本多映
夏柳太古のごとく闇おごる/鍵和田ゆう子
歯朶にゐて太古顔なる蜥蜴かな/野村喜舟
太古より雲になりたい田螺かな/森壽賀子
水澄めば太古のいもり底を這ふ/山口青邨
冬の日のこの土太古の匂ひかな/飯田蛇笏
俳句例:81句目～
亀鳴くや太古の海のまむらさき/二村典子
世をすてて太古に似たり市の内/夏目漱石
マウナケア太古の星の涼しかり/武田芳枝
枯桑や沼は太古の張り保つ/鍵和田ゆう子
羊朶にゐて太古顔なる蜥蜴かな/野村喜舟
はたゝがみ太古に一人棲むごとく/南せつ子
浜木綿に太古の濤の寄するなり/長渡万太郎
太古の洞を侵す電光目覚める苔/八木原祐計
谿深ければ栗落つる音も太古より/島田青峰
ツンドラは太古の眠り機翼の影/高橋比呂子
この神に鮎とぶことの太古より/大峯あきら
ダイヤモンドダスト太古の空の青/鈴木貞雄
花むしるおんなの微熱は太古より/鎌倉佐弓
踏まれつゝたんぽぽ黄なり太古より/殿村莵絲子
太古よりの山毛欅の若水汲みにけり/阿部風々子
太古よりあゝ背後よりレエン/コオト/攝津幸彦
