自分に関連した俳句の例をまとめました。
自分を含む俳句例
自分史のまず鳥肌の女立つ/徳弘純
自分史の巻頭に置く万朶の桜/原京
皹のこの手生涯自分の手/福田蓼汀
雪晴の自分に向ひ話したき/細見綾子
自分史の余白に泛きし熱帯/田中賢治
近すぎて自分が見えぬ秋の暮/岡本眸
蛞蝓自分のことは分からない/秋尾敏
自分史はまた一行詩/鰯雲/堀部節子
桜桃忌自分に宛てて表書き/内田美紗
自分史の糸口ほぐす震災忌/加藤三陽
一行の自分史となる古日記/中島敏之
髪型が嫌で自分が嫌な秋/佐竹美保子
露けしや自分の家の前通る/宮崎夕美
本当の自分がうつる秋の水/西村妙子
俳諧に我も自分の相撲とる/高澤良一
働ける自分が好きよ草の花/菅貴美子
庭木の雪落し自分で被りたり/塩野千代
これは自分から出たもの寒卵/高澤晶子
描きゐる自分の迷路みづすまし/曹星国
春寒の自分を探すエレベーター/棚橋泰
俳句例:21句目~
春昼に自分のための絵本買ふ/谷口桂子
枯野にて子守自分に唄ひだす/平畑静塔
水にをる自分の顔や水喧嘩/阿波野青畝
子ども自分の耳がある笑ふ/栗林一石路
直には見えぬ自分の顔や囮籠/池田澄子
秋灯下自分史綴る夫の留守/甲斐加代子
自分史の下巻たけなわ雪解水/武田光弘
冬帽を置くと自分の席になる/工藤克巳
自分史の海にすとんと菊日和/岩田柳堂
呼ぶ声は自分に聞こえ寒灯下/池田澄子
自分史の矢折れはげしき枯蓮/武田和郎
地虫出て自分が見えぬ日のありぬ/東都
自分史即漁色史編めば桜満つ/星野石雀
法師蝉同じ自分に飽きにけり/阿部完市
苧殻買ひ自分のことも少し話す/岡本眸
草餅や自分の分を超えぬこと/大石悦子
蝉括る糸は自分で探しなさい/林原耒井
幼な雪自分を夢とまだ知らず/折笠美秋
ネクタイは自分で選び吾子の春/高橋笛美
しなやかに自分をとおす萩の紅/平井幸子
俳句例:41句目~
白地着て別の自分の修羅見たり/都筑智子
人の目にうつる自分や芝を焼く/田中裕明
自分史のところどころに蛍ゐる/片山嘉子
古希すぎし自分のために買ふ雛/高橋笛美
噴水は止まる自分に飽きたころ/櫂未知子
自分史に九文三分の赤い足袋/木谷はるか
寒い藻の水に映っている/自分/古川克巳
寝返りをうつや自分の名を思う/池田澄子
登山靴自分を捜しに行くと言ひ/福村壽子
自分史を書いては泣いて寒鴉/梶山千鶴子
自分史を編むと決めしが木瓜の花/明間洋
立志とは違ふ自分史亀鳴けり/小田実希次
日記買ふ自分と語ること好きで/山田弘子
見上げれば落葉うつむけば自分/鈴木鷹夫
平和なる薄荷の自分嗅ぎにけり/攝津幸彦
香水の香の自分より前に出る/木村淳一郎
たんぽぽや自分と向き合う正直さ/三宅未夏
春シヨール自分を証すもの持たづ/和田智子
ひるがおも自分もとおい空の下/津沢マサ子
自分史に編みこんでゆく文字摺草/高田智子
俳句例:61句目~
一花ごと自分を大切にと菫押す/田川飛旅子
七日の芹刻む/その後の自分史は/保尾胖子
寒の紅自分らしさのあるかしら/工藤ひろえ
自分だけ老いると思う/花八つ手/河野淑子
自分でも要らぬ葉が出来茄子の花/永田耕衣
着ぶくれて自分の足につまづけり/矢崎康子
色足袋に替へて自分に戻りけり/江頭けい子
芽ぶく銀杏自分を変へてゆく勇気/津田清子
蜉蝣というがきらめく日の自分/津沢マサ子
日向ぼこ自分が見えていたりけり/渡辺倫太
夜学の灯未知の自分に逢ふために/田川飛旅子
歯は全部自分のものよ林檎食む/長谷川ただし
神様の楽書として自分を全うしよう/海藤抱壺
白く激しく罠鳴る空にあずける自分/阿部完市
自分を憎むことを始めん初音より/田川飛旅子
春日のすこしを自分のために寝る/宇多喜代子
柿の葉暗い机自分としては長い旅で/喜谷六花
花種を蒔くことだけは自分でやる/加倉井秋を
池の水に旅の自分を見つめてゐた/栗林一石路
まいまいややすめば消ゆる自分史も/川本洋栄
俳句例:81句目~
引き潮になって見えてきた只の自分/吉原陽子
これからも自分は自分/パセリ噛む/本郷和子
余計者の自分をなだめチェーホフ忌/秋庭俊彦
ひらく寒木瓜浮気な自分におどろく/鈴木しづ子
木槿が咲いて小学を読む自分であつた/尾崎放哉
自分の茶碗のある家にもどつてゐる/荻原井泉水
臼ひく女が自分にうたをきかせて居る/尾崎放哉
自分で拾つてきた枯枝を焚く音きいて/吉岡禅寺洞
自分で水を汲むのが一年に一度秋の夕ぐれ/荻原井泉水
自分がはつきりとして蓼の葉を十枚もぐに/中塚一碧樓