ベンチに関連した俳句の例をまとめました。
ベンチを含む俳句例
朧人一人ベンチに来てかけし/篠原
十三夜駅のベンチに黒衣人/伊藤京子
ベンチに居昃るときの懐手/高濱年尾
公園のベンチ陣どり孕み猫/小林蘇美
晩秋や風樹の中の一ベンチ/大野林火
頑丈な馬橇のベンチ金草/八木林之介
鞦韆に少女ベンチに若人ら/岸風三楼
葉桜や木目模様の石ベンチ/上木流泉
浅草の冬のベンチの人となり/上野泰
善福寺池のベンチの秋思かな/皆吉司
柳散る公園の隅のベンチ哉/寺田寅彦
秋思ふとベンチの憩ひやや久し/蕪城
枯芝の隅々にあるベンチかな/野村泊月
片蔭のベンチを譲り傲りとす/土肥敬一
父の日をベンチに眠る漢かな/中村苑子
秋晴の四明ケ岳のベンチかな/野村泊月
海に対くベンチの蒼き夏の暁/楠木薫子
始発待つベンチの朝寝登山口/癸生川昭
緑蔭に舫ひし如く木のベンチ/行方克巳
花冷や猫のすりよる駅ベンチ/井原国男
俳句例:21句目~
茜さす雪のベンチに婆と鳩/金箱戈止夫
藻の花の女ベンチに煙草吸う/桶脇康治
蟷螂の先約済みの木のベンチ/安里昌太
冬園のベンチを領し詩人たり/木下夕爾
母と子の夏帽重ねおくベンチ/山田弘子
暁のベンチ濡れゐる桜かな/五十嵐播水
噴水の向ふにもあるベンチかな/高浜年尾
噴水や空見るためのベンチあり/永瀬十悟
炎天へ鉄のベンチを引きずり来る/渋谷道
月を待つベンチは萩に松の根に/岸風三楼
上野山めっきり春のベンチかな/高澤良一
暗い駅被弾内臓かたまるベンチ/阿部完市
ベンチあり春の山みちこゝ平ら/高濱年尾
泣けぬ爺ばかりのベンチ八重桜/熊谷愛子
秋風のベンチに鯉を見てひとり/岸風三楼
秋風の人に掛けよとベンチあり/湯浅桃邑
十薬の花にも置きしベンチかな/行方克巳
黄落や節目つめたき木のベンチ/水野宗子
冬麗の陽を載せ誰も居ぬベンチ/楠本憲吉
初蝶のベンチに憩ひ幸に/スコット沼蘋女
俳句例:41句目~
ベンチみな老人が占め子供の日/竹内柳影
薔薇匂ひ水の匂へるベンチかな/山田弘子
ルンペンに今宵のベンチありやなし/篠原
晩涼や水を見るべくベンチあり/岸風三楼
誰も居ぬベンチぬくもる冬日和/寿賀義治
銀杏散る誰も優しくなるベンチ/群すずめ
池広し月にベンチのあるほかは/永井龍男
ベンチみな噴水に向く平和かな/鈴木鷹夫
鳥のように婚約をする固いベンチ/穴井太
コスモスの中に姥捨ベンチあり/山本千代子
ネクタイがベンチに一人づつ残暑/岩月星火
緑蔭の恋のベンチは見ぬがよし/稲垣きくの
チボリーの夜露のベンチ灯に遠く/高木晴子
冬木のベンチ隣にゐるが残かぞふ/原田種茅
葉の中桜の実うれてゐるベンチ/栗林一石路
大木とベンチがありて冬の園/阿部みどり女
蓮の骨真昼のベンチに誰も来ず/平井さち子
晩秋のベンチに空缶一個置く/晩秋/森洋彦
暑きベンチ船の彼方は死後の色/福田甲子雄
緑蔭のベンチあそこが空いてをり/高澤良一
俳句例:61句目~
このベンチ月を遮るものもなし/本田あふひ
足組んでベンチに読めり冬薔薇/岡崎莉花女
野の枯は駅のベンチの背よりすぐ/辻田克巳
この駅や虹ものがたり木のベンチ/川崎展宏
雁行や向かい合わせの木のベンチ/対馬康子
どのベンチにも至近距離氷菓売/山崎みのる
もろ腕のベンチに垂れて風死せり/永井絹子
カンナ燃ゆベンチに就職情報誌/田村すゝむ
黄落やいつもベンチにいつもの人/上木彙葉
クローバに乗りてベンチに腰をかけ/京極杞陽
浮寝鴨ベンチに戦禍のニュース読み/関森勝夫
もみぢの地に映ゆるベンチにて仰ぐ/滝井孝作
ひと亡くて枯木影おくかのベンチ/稲垣きくの
時計見てベンチを立てり冬の人/阿部みどり女
暑く眠く時空の余白のベンチ老人/伊丹三樹彦
広告のベンチも枯れし蘆もかな/久保田万太郎
秋風の樹を空にしてベンチあり/阿部みどり女
ミサ終へて憩ふベンチに木の実降る/中島きぬ
ベンチより四肢はみだして昼寝人/菊地美恵子
ベンチみな波止場に向けり夏帽子/井野キミ子
俳句例:81句目~
食慾はひょっとベンチのやうなもの/阿部青鞋
とんぼ翔ちし後のベンチに坐りけり/小林清之介
枯園のベンチ一人しかかけられない/加倉井秋を
冬木のベンチけふも人をり逸れしめぬ/原田種茅
ベンチの人立ち去り枯木の影芝に/阿部みどり女
親を国許にもつて落葉するベンチに/栗林一石路
日かげり蝶がちらほらするベンチに倚る/大橋裸木
緑陰へ丸太のベンチ無造作に/相原左義長「地金」