玩具に関連した俳句の例をまとめました。
玩具を含む俳句例
玩具屋の物みな動き初商/朱月英
新しき墓に玩具と花切籠/林和子
雲の峰城に玩具の鯛車/廣川昂臣
春一番玩具の猿が鼓打つ/影島智子
雁や昼は玩具の中に栖み/恩田秀子
玩具屋へゆく父親の麦の秋/高澤晶子
孫帰り玩具そのまま冬座敷/矢野邦子
獺の祭嬰へ並べし玩具かな/浅井節子
人形や玩具や冴えてゆく齢/市原光子
玩具屋に賭けし生涯鳥渡る/恩田秀子
炎昼の玩具転がしある一間/高澤良一
極彩のブリキの玩具原爆忌/白石司子
初笑ひ玩具の犬に描きし髯/沢木欣一
初蝶や家内くらく玩具鳴る/大井雅人
天上の玩具鳴りゐる油照り/石原八束
腕時計吊られ月明の玩具店/対馬康子
臼杵の玩具土産や初日護摩/高木蒼梧
春立つや玩具に赤きいろ多き/長田群青
玩具の音の簾を洩れつ宵浅き/富田木歩
店の玩具占めしよ母の日傘影/香西照雄
俳句例:21句目~
産室に玩具づくしの屏風かな/松尾静子
極月の玩具の如き店並ぶ/阿部みどり女
冬ぬくし子規の遺筆の玩具帖/有馬朗人
羞明の雪みて玩具鳴らしをり/石原八束
燃えかけの玩具の形して海市/櫂未知子
棒引けば舌出す玩具組閣成る/工藤博司
でで虫が紙食ひちらす玩具箱/石河義介
花茣蓙に子の友溢れ玩具溢れ/奈良文夫
北風に玩具の馬が急ぐかな/大和田栄治
曾々孫の玩具の占める夏座敷/高石芳乃
家中に玩具踏み場もなき炎昼/高澤良一
日脚伸ぶ玩具どれもが疵もてり/大輪昌
ひまはりの昏れて玩具の駅がある/鷹女
玩具籠抱き早春の銀座より/長谷川秋子
わが俳句玩具にあらず啄木忌/西本一都
賀客去り忘れ玩具が歩き出す/中村明子
時の日の叩きて動く玩具の眼/姉崎蕗子
尻振りて玩具めく鴨近寄り来/高澤良一
電池減つて蠢く玩具文化の日/今田/述
露草に祭の玩具落しけり/長谷川かな女
俳句例:41句目~
風花や玩具の如くわれころび/阿部完市
吊し売る玩具が鳴つて日は永し/藺草慶子
吊るされて玩具めきたる鷭の脚/宮坂静生
文月の音色さまざま玩具がふえ/中村明子
春がすみ玩具のごとく電車くる/橘/澪子
春陰や玩具の鳥のよく啼ける/中西徳太郎
玩具より玩具らしくて天道虫/和田耕三郎
網戸より見えてあふるる玩具箱/布川武男
義士祭の太鼓玩具として打たる/岸風三樓
あの頃はブリキの玩具くつわ虫/細野恵久
ころがつてゆきし玩具の秋の翳/行方克巳
玩具鳴り母の着物に雪の冷え/小島千架子
ひとり子に七個の池の玩具舟/高橋淡路女
野菊晴玩具のような犬を曳き/三枝きぬ子
兜虫はかなしき玩具たたかへり/吉田未灰
クリスマスツリー家中が玩具箱/三苫知夫
ポストから玩具出さうな夜の雪/渡邊水巴
三ケ日孫の玩具につまづきぬ/青木よしを
冬海に誰が捨て去りし子の玩具/原コウ子
鬼の子の玩具の鬼灯鳴らしけり/高澤良一
俳句例:61句目~
鳥の玩具通れば鳴けり黄雀風/中戸川朝人
タイムマシン売り切れ聖夜の玩具店/河野薫
ぶり~や紐の喰み出し玩具箱/長谷川零餘子
どんぐりを玩具にまぜて旅鞄/阿部みどり女
田螺鳴く溝を流るゝ玩具かな/長谷川零餘子
秋しぐれみやげの玩具ぬらしけり/新保且子
あしたより玩具買ひゆく弥生かな/石橋秀野
寒き地に落ちて鳴りだす玩具かな/恒藤滋生
古玩具のばたばた日永の土産屋に/高澤良一
凍ゆるむ燈にほしいまま玩具の色/宮津昭彦
冬の阿蘇玩具のやうなバス登る/柴田かほる
炭つげばべこの玩具が首を振る/大久保白村
一列に玩具のようにヨットゆく/曽根かずこ
玩具と野菜畳に置くよ春待つよ/磯貝碧蹄館
玩具の熊の瞳予科練で友が死んだ/阿部完市
レールゆがみ玩具の汽車に傾く冬/斉藤夏風
マント着の荷をつつぱらし玩具選る/高島筍雄
笛鳴らす玩具の汽車に枯木の情/長谷川かな女
昇降機降り玩具のピアノ鳴らす梅雨/宮武寒々
蘭というきれいな玩具たまわりぬ/柴田美代子
俳句例:81句目~
わが手筥の玩具にどゝと春の雷/長谷川かな女
京の玩具の山猿が来て寒ゆるむ/長谷川かな女
どびろくに呆けたか玩具に蹴つまづく/成田千空
天瓜粉玩具のごとく嬰置かる/佐野鬼人「脇役」
店の玩具のひるごろの埃はらつてゐる/栗林一石路
ナホトカの玩具初秋のストール纒ひ/長谷川かな女
秋晴れのこわれゆく玩具なるかな/冬の土宮林菫哉
遠い記憶に迫る/玩具の電車に乗ろうか/田中はるよ
玩具にされたようなその値に父の形相が澤庵石を投げて庭が凹んでいる/橋本夢道