ドアに関連した俳句の例をまとめました。
ドアを含む俳句例
回転ドア軽々と出る夏近し/堀政尋
初雪を払へば自動ドア開く/斉藤博子
菊の鉢廻転ドアに抱き悩む/吉屋信子
啓蟄の土に膝つきドア磨く/館岡沙緻
秋霖のドアを閉し出る男/中村草田男
ひあふぎやドアの鐘振る郵便夫/林翔
日盛や乗り降りなきにドア開く/爽波
夏期講座開閉しげき自動ドア/渋川絢
春寒や病室のドア廻るのみ/横光利一
ドアにわれ青葉と映り廻りけり/篠原
鰯雲廻転ドアにはさまれる/金城けい
初春や回転ドアの内と外/熊谷貴志子
朝曇り鈍く光れるドアのノブ/高澤良一
八月六日のドア内開き外開き/森田智子
赤いドア隔月ごとに人の泣く/滝口千恵
十二月空廻りするドアのノブ/石川文子
雪もよひドアの合鍵君は持つ/友岡子郷
雪山滑り降り人住むドア汚る/中山純子
夏来る回転ドアの向こうから/佐伯和子
子燕を真上に菓舗の自動ドア/庄司栄子
俳句例:21句目~
フル回転するドア弾道はあちら/毛呂篤
揚雲雀すいすい天の自動ドア/黒坂綾子
春の朝ドアの下から来る手紙/二村典子
春愁の重たきドアと軽きドア/上村勝一
春雷の後ろ手にドア閉ざしけり/森須蘭
昼寝覚その奥にまた夢のドア/柴田奈美
ドア開くたびに梅の香峡の駅/村田軍司
ドア開く毎に師走の風入りぬ/古橋輝彦
木槿浮き流る睡りはドア一重/友岡子郷
来し闇もドアのノブも暖かく/高澤良一
玄関のドアうしろ手に閉めて冬/三宅桂
臀で押す革張りのドア墓地満員/上月章
自動ドア一寒行に開きたり/肥田埜勝美
自動ドア過敏にあくや君子蘭/星野恒彦
荒東風の押し戻すドア力こめ/川崎展宏
炎天を来し人小さきドアに消ゆ/遠藤梧逸
青葉木莵絵本の家に仕掛ドア/上田日差子
冷房のドアあけて出る街の音/青葉三角草
極月や犬にもひらく自動ドア/三田きえ子
緑さすモデルルームの自動ドア/高田敬子
俳句例:41句目~
ひとりずつ回転ドアにある寒気/大脇みや
手でドアを開ける電車や花木槿/須川洋子
ドアとともに閉ざす心よ南吹く/木下夕爾
自動ドア開きひらりと黄葉入る/小池尹子
自動ドア閉ぢて寒雲また映す/松倉ゆずる
自動ドア付けて老舗のさくら餅/八巻絹子
啓蟄や首に吊るしてドアの鍵/北村かね子
自動ドアはじかれ出でて炎天下/渡辺立男
ドア開いて何時も突然帰省の子/高橋笛美
ドア開ける度び春蘭の匂ひ立つ/稲畑汀子
夏やせの遅れて開く自動ドア/小俣由とり
ドアに閉めだされた夕焼の中/栗林一石路
メガネ屋の薄暑のドアの半開き/藤田柾実
不意にドア開き月光に溶けて妻/真木紅人
節分の鬼の出てゆく鉄のドア/北見さとる
恋猫に大きなドアを開けもする/中村汀女
名調べの図書館ドアの音も晩夏/伊丹公子
うすものの透けて回転ドアのなか/中村祐子
ドア開いてゐれば出て見る春の風/稲畑汀子
ドア開ければ菠薐草の畑がある/加倉井秋を
俳句例:61句目~
働いて疲れた一日をドアで仕切る/古家榧子
ドア開いてポインセチアの赤が客/山田弘子
夏立つやわがために開く自動ドア/浦川哲子
春の屈伸縦にドアをば拭く乙女/中村草田男
春惜しむドア/マンの掌の新鋳貨/宮武寒々
杷手のないドアから春が船出する/加藤邪呑
閉つたドアで消えた戦争や夕日/鈴木六林男
山の手にドアありてドアの風白し/筑紫磐井
風船が乗つて電車のドア閉まる/今井千鶴子
タクシーのドア開けて待つ目借時/渡辺一夫
媛房のほとび洩れゐるドアに佇つ/赤城さかえ
貝寄風やかまえて回転ドアに入る/相川玖美子
両手の荷/自動ドアにおじぎして/近藤三知子
風船かづら小犬に開いて自動ドア/長崎小夜子
ドア押せば冬日とみどり子の匂ひ/今井千鶴子
枇杷の花チョッキを吊すドアの裏/田川飛旅子
蚊のつばさひろし湖畔のドアもひろし/永田耕衣
愛憎一つのドアに二つの鍵を持ち合う/日向野秀策
使ひ走りの風の日のドアに立つた少年/栗林一石路
あたゝかきドアの出入となりにけり/久保田万太郎
俳句例:81句目~
自動ドア祭のサンバ繰り出せる/品川鈴子「真澄」
ドアを押す力の残り水中り/出口善子「わしりまい」
自動ドア開くたびにクリスマスツリー在る/阪倉研伍
「月光」旅館開けても開けてもドアがある/高柳重信
かなぶんぶんオートロックのドアを打つ/斉藤ゆみ子
ドアを出てドアヘむかへるつかの間の海は怒れる髪のごとしも/鳴海宥
かるく敲いているドアのそとに、朝の苺と朝の彼女とを感じる/土岐善麿