六十に関連した俳句の例をまとめました。
六十を含む俳句例
六十も女盛りや初鏡/矢野絢
六十里越街道を蟻の列/岩田諒
六十漢早寝早起更衣/黒田杏子
俳壇の六十余州横霞/高澤良一
六十も童に似たり榧柑子/言水
盆切籠友よ茫々六十年/中西舗土
高原の薄暑三百六十度/佐藤和子
風癖の六十度なる葦の花/きよみ
身にとるや年の緒環六十図/風虎
花をとはゝ答ふ六十八九日/雄山
笠とれば六十皃の時雨かな/園女
新日記三百六十五日の白/堀内薫
初写経心経二百六十字/青柳薫也
六十を祝ふて贈る扇哉/正岡子規
季吟忌や六十巻の湖月鈔/青木月斗
六十年の履歴数行鳥雲に/佐藤斗星
疎開して六十年の切炬燵/黒田杏子
山頂や三百六十度の炎天/高橋悦男
朝虹や高野六十坊つつむ/大橋敦子
又三百六十五度の夕日哉/正岡子規
俳句例:21句目~
名月や田毎に月の五六十/正岡子規
夏萩や六十一の涼しくて/渡邊水巴
天竜の寒鮠ざつと五六十/村松二本
えにしかな夫に栗むく六十年/及川貞
六十里越の一里の走り蕎麦/橋本榮治
貼りつける三百六十五日の目/松澤昭
消息を問はれ六十年後の春/齋藤愼爾
六十里越の濃紅葉薄紅葉/須田冨美子
職人といはれ六十花山葵/井ノ口昭市
照り翳る六十里越え紅の花/木下英一
六十の面映えほのと年男/下村ひろし
六十にして水飯を参らるゝ/正岡子規
日記帳六十冊目の書き初め/平林青雲
年もはや六十の月の名殘哉/正岡子規
六十を過ぎて放埒むかご飯/武藤善尚
薺粥六十路を父母は赭顔に/大熊輝一
五六十海老つゐやしてはぜ一ッ/之道
六十に近づく正月小袖かな/小坂順子
陽に靡く穂芒六十路充実す/小出民子
大寒の六十妻よ湯豆腐よし/橋本夢道
俳句例:41句目~
六十に近くて恋や葉鶏頭/藤田あけ烏
むつかしや六十年の年木樵/正岡子規
わが星の六十年の春なれや/石塚友二
六十や高野の屠蘇を賜はりて/杉本寛
六十年寝起きの一間初明り/高澤良一
六十代豊かに暮らそ雲の峰/藤勢津子
冷まじや火天百六十年の煤/三浦晴子
少年や六十年後の春の如し/永田耕衣
六十里越えの半ばの夏炉かな/小島健
竹植うや節目は青く六十路/福田おはら
蛍追ふ六十路まだまだ女盛り/西尾幸子
爪皹痛み六十路も嫁の座に/菅野イチ子
六十の絵島思へば髪冷ゆる/文挟夫佐恵
六十の老妓の今も星まつる/長沢あした
六十にして洗禮受くる寒さ哉/正岡子規
独りかな百六十坪の芝焼きぬ/石川文子
六十の寒が明けたる許りなり/高浜虚子
六十路なほ男盛りと年酒酌む/平田青雲
さて花は四国になりて六十里/正岡子規
露くらく六十年の情誼絶ゆ/久保田万太郎
俳句例:61句目~
六十歳と二歳の対話水ぬるむ/田川飛旅子
三百六十五日の無音モナリザに/森田智子
六十に少し間のある冬菜畑/野見山ひふみ
たなびける六十年の霞かな/久保田万太郎
六十のそれも早少女とこそ申せ/正岡子規
春耕や農に生き行く六十路坂/土屋みね子
時速六十逃水を追ひ旅はじまる/毛塚静枝
六十の恋つづきをり梅もどき/武原はん女
六十の年酒朱盃を濡らすほど/斎藤千代子
捩花や六十路のいまも不器用に/谷内田和子
六十が不思議でならぬ茅の輪かな/細川加賀
此の生碌々六十五年の春ぢやいな/中川四明
流氷の光り三百六十五面体の我/沼尻巳津子
これといふ宿題はなし六十路の夏/高澤良一
六十路なほ諸纏流縛やほととぎす/鈴木公二
まだ婿と言われて六十路慈姑掘る/松本泉石
追ひ越して行く初蝶やわが六十路/宇治田/薫
秋の田の夜風しみじみ六十路なる/藤原たかを
ジャンパーを椅子の背に掛け六十五/鈴木鷹夫
十薬の香もまた佳しと六十路かな/南/美智子
俳句例:81句目~
七夕やいつか六十路を過ぎゐたり/三井チトセ
鮮白の節かず六十今年竹/中村草田男「時機」
六十路長からむものの芽地を割つて/殿村莵絲子
六十にして落ちつけないこころ海をわたる/山頭火
妻恋の歌を六十路に星祭る/冨田みのる/『雲雀野』
六十年山廬の雪消聞かれしと/『定本石橋秀野句文集』
メーデー十時ぎつしりぶち込んできた六十万/橋本夢道