寒の星/寒星に関連した俳句の例をまとめました。
寒の星/寒星を含む俳句例
投函の後ぞ寒星夥し/山口誓子
梳る顔のまはりの寒の星/渋谷道
寒星や魂の着る人の肌/三島広志
寒星の爛たる眼全天に/相馬遷子
伊賀泊り苗代寒の星浴びて/太田嗟
一天の寒星つれて出航す/中村尚子
鬼舞も照る寒星も昔ぶり/橋本榮治
北に耀る寒星母を喪ひぬ/伊東宏晃
寒星の一つを父の星と決め/南桂介
寒星の弾ける音す手術室/長山遠志
寒星の真只中にいま息す/相馬遷子
寒星や暮色が海を押しせばめ/林翔
寒星は天の空洞子の病気/西東三鬼
峡空に寒星集め雪まつり/神取房江
山国の縦につらなる寒の星/中拓夫
吹き晴れてくらき大地と寒の星/篠原
黒天にあまる寒星信濃古し/西東三鬼
寒星をつなぐ糸見ゆ風の中/福永耕二
塵芥の捨場寒星かゞやけり/右城暮石
寒星ら出て荒淫をかなしめり/森澄雄
俳句例:21句目~
自転車を漕ぐ寒星の宙の中/相馬遷子
寒の星うすき光りの娘星/柴田白葉女
寒星にどの夜もどこかに雲白し/篠原
窓ぬれて寒星下りて来つつあり/柏禎
寒星や転勤の子の辞令待つ/関口美子
寒星や悲しみいつか諦めに/菖蒲あや
寒星の光髪膚にほとばしる/内藤吐天
母病むと寒星天に集ふなる/山本歩禅
廂なる寒星溢れ落ちざるや/橋本鶏二
寒星はただ天に倚る海の上/山口誓子
寒星や男の意地を押し通す/椎橋清翠
寒星夥しサーカスのあとの天/斎藤爾
寒の星立身出世の明治恋し/岩田昌寿
峡谷の闇に貼り付く寒の星/仙田洋子
寒星をいつも火星を見をさめに/篠原
寒星のひとつを引きてわが灯火/岡本眸
寒星となるらし土橋は肉の響き/遠藤煌
寒星の近々と地のぬかるめり/右城暮石
寒星やいのちの果ての北枕/佐藤きみこ
寒星や仰げばすでに声は無き/相馬遷子
俳句例:41句目~
寒星や北の血脈継ぐために/渡辺誠一郎
寒星や神の算盤ただひそか/中村草田男
寒星や亡き師の叱咤高きより/池田秀水
寒星をあほぐ癖つき一周忌/柴田白葉女
寒星をつかむ仕ぐさの子の拳/対馬康子
寒星をぶちまきし下浮浪がり/平畑静塔
寒星を近々と地のぬかるめり/右城暮石
寒星動きて喪の家に淡き影/加藤瑠璃子
手を洗ひ寒星の座に対ひけり/山口誓子
煙突掃除夫が寒星を弾き出す/野中亮介
立ち止まるとき寒星の無尽蔵/木村敏男
ちかぢかと命を燃やす寒の星/相馬遷子
淋しさのきはみの寒の星ひとつ/近藤愛
何語りくる寒星のまたたきは/富内英一
天鳴りて寒星青き火を散らす/相馬遷子
寒星とまたたき交す受験苦よ/平畑静塔
月光のあまねくわたり寒の星/松村蒼石
寒星に懐中燈を向けて照らす/右城暮石
死をもつて消息わかる寒の星/能村研三
寒星に見透かされたる吾が虚勢/田村一翠
俳句例:61句目~
煙突の火の子寒星にまぎれ散る/内藤吐天
寒星や地上に逃ぐるところなし/岸風三楼
玻璃越しに寒星も身を震はせつ/相馬遷子
寒星に出でしが薪を抱へ来し/猪俣千代子
地にひびくばかり輝やき寒の星/松村蒼石
寒星明暗わが身のなかに眠る妻/成田千空
寒の星昴けぶるに眼をこらす/橋本多佳子
庭の木に寒星の種はじけたり/増田まさみ
寒星のむらがれる辺の枯野に似/橋本鶏二
寒星にたどりつきたるひとり旅/鈴木六林男
一寒星燃えて玻璃戸に炬のごとし/相馬遷子
寒星やよごれぬままに料理人の胸/柚木紀子
ペン絶ちの何時までつゞく寒の星/岩田昌寿
ゆびさして寒星一つづつ生かす/上田五千石
いとかすかなる寒星もありにけり/清崎敏郎
声出さばこぼれてしまふ寒の星/密田真理子
寒星やとぼそ洩る燈のおのづから/山口誓子
愁ひ頒つ寒の星より応へなし/阿部みどり女
寒星の身に降るごとし吾子誕生/橋本春燈花
寒星をかぶり死すまで麻痺の身ぞ/村越化石
俳句例:81句目~
母の寝嵩つばさひろげて寒の星/北原志満子
繋りてまたたきてみなわが寒星/千代田葛彦
寒星や世にある歎き除けがたし/阿部みどり女
寒星と発つ灯と着く灯エアポート/嶋田摩耶子
イタリアヘ寒星のすぐ横を飛ぶ/長谷川智弥子
寒星騒然国のエゴなどどこにありや/香西照雄