野良に関連した俳句の例をまとめました。
野良を含む俳句例
夏草は虫の日傘よ雨傘よ/野良
白猫へ恋の一瞥野良の猫/大脇良子
振上ぐる鍬の光りや春の野良/杉風
体内の菜の花明り野良着きて/静塔
冬耕や柿澁染の野良衣着て/嶋玲子
野良は早苗ふし立にけり莚織/宗也
野良疲れ五月闇より深眠る/影島智子
柴栗の破顔一笑野良着干す/今井茅草
茄子の紺緊り野良着の中学生/飴山實
爽籟や峡二十戸の野良日和/佐藤古城
野良帽に黄色いリボン日雷/影島智子
野良帰る農婦等間遠き虹/平井さち子
女杣野良着でひらく草の市/矢野愛乃
野良疵に舅もつけたる蝮酒/影島智子
野良疵を夫に話さず夕端居/影島智子
野良飯や脛に飛びつく青蛙/櫻井土音
髪切つて白き野良帽聖五月/影島智子
鳥は草は何やら彼やら秋の野良/眉山
南洲の野良着涼しく大いなる/堀口星眠
喝采のごと花を浴ぶ野良帽子/影島智子
俳句例:21句目~
田遊に野良焼けの顔揃ひけり/関森勝夫
夕焼に定年のなき野良着脱ぐ/酒匂君江
手拭もときに野良帽駒鳴けり/影島智子
空風の道ゆくは野良人ばかり/太田鴻村
畦焼の終りし野良に人見えず/高浜年尾
花柊野良着に小さき身八つ口/川島千枝
朝日涼し野良着も蠅も縞模様/香西照雄
海女にして野良着の紺や小六月/大串章
野良で飲む生水うまし雲の峰/影島智子
野良に出る朝はかゝせぬ根深汁/山本石
野良の鳶燦々と年送りをり/百合山羽公
花冷や手櫛にて足る野良の髪/影島智子
竃に稲架の匂ひの野良着干す/坂内佳禰
麦埃はたき野良着のまま水仕/岡本明美
野良納めして松高き百姓家/百合山羽公
烏瓜野良着をまとひ惑ひなし/成田千空
燕来る野良着の妻が水跳べば/大熊輝一
分家して野良の一つ家夏灯/百合山羽公
笹鳴や野良着にもある好き嫌ひ/影島智子
上州の風ひりひりと野良の梅/松本たかし
俳句例:41句目~
分かち合ふ野良の昼餉や笹子鳴く/芝哲雄
玉虫や野良着ばかりの我が箪笥/塩見蛙子
百姓は野良着のまゝや親鸞忌/久我清紅子
月と日の出てゐる野良の十二月/三枝青雲
夕顔に隠れ野良着を脱ぎはじむ/影島智子
行き来せる野良人花にかゝはらず/上村占
野良着脱ぐや妻の下着の春白妙/香西照雄
野良で食ふ日の丸弁当天高し/小池秋々子
糸とんぼ野良着干しある石の上/岡部幸子
海外を知らねば広き秋の野良/百合山羽公
野良の父に蓑持ちゆくや春の雨/野村泊月
野良着など繕ひ終へて春支度/今井三千寿
日々野良にゐて悪友の帰省待つ/佐野まもる
月おぼろ野良着のままに湯を貰ふ/佐川広治
野良よりの帽子にささげ入れ戻る/奥沢竹雨
梅咲いて紺の野良着がよく似合ふ/石川文子
野良着の背褪せぬ日を得て野菊色/香西照雄
うきうきと春の日除けの野良帽子/影島智子
こむらのみ凛々しく夕焼野良帰り/香西照雄
これやこのつむりめでたき野良蚕/飯田蛇笏
俳句例:61句目~
野を焼きし野良着の匂ひ妻と脱ぐ/中島双風
野良着干す夜風の甘し花みかん/松尾千代子
ぬぎ捨てし母の野良着の蝗かな/明石/茂子
人遠く胡麻にかけたる野良着かな/飯田蛇笏
野良にゐる姉を手伝ふ岐阜提灯/原田ゆふべ
霜来り護符の白さに野良の富士/百合山羽公
野良に先づ礼して初日出るを待つ/佐藤鬼房
今朝着けし野良着干さるる盆の寺/橋本逍月
四五人は野良着のままや施餓鬼寺/藤原香雲
麦熟れて野良に明るさひろげけり/安原春峰
蛍飛びそめしに野良着まだ脱がず/石井とし夫
立春大吉野良はきのふと変りなし/百合山羽公
野良着脱ぎ神楽の足袋を穿きにけり/佐川広治
故郷の野良打つ音して鍬形虫/ひらきたはじむ
野良へ出て閉ざしてありぬ野蒜の花/田中冬二
野良からも手がきて梅の茶のけぶり/木津柳芽
招かれし野良着のままのむかご飯/宮川/斗潮
うすものに隠せど野良の香もありぬ/影島智子
溜の屋根に脱いである野良着春さき/喜谷六花
蕎麦も見てけなりがらせよ野良の萩/松尾芭蕉
俳句例:81句目~
野良癖となりし手拭茶の木咲く/冬の土宮林菫哉
湯たんぽ沸かす痩せし野良牛一頭立ち/金子兜太
畦焼きのけむり沁みたる野良着脱ぐ/吉野トシ子