十指に関連した俳句の例をまとめました。
十指を含む俳句例
決断の十指の力懐手/岩橋/勲
十指から溢れ病名は茜/吉持愁果
籠を編む十指泰山木の花/折井紀衣
余寒なほ仏を拝む十指にも/牧辰夫
破芭蕉仰ぐ十指を組合せ/川崎展宏
にぎりしむ十指は拳水の秋/神蔵器
凍瀧に靴の十指に力あり/大石悦子
十指乱舞す千金の夜のピアノ/林翔
法師蝉十指休めぬ人形師/樋渡瓦風
新しき未来錯綜十指組む/伊藤敬子
現し世の十指が掬ぶ苔清水/伊丹公子
秋風にひらきて十指とぎすます/原裕
網をあむ十指に枯野聚りぬ/古舘曹人
花下に吹く笛や十指に穴七つ/岡崎光
十指もて泰山木は未知の花/大西泰世
十指もて蟹の足折る花の夜/畠山譲二
卓に組む十指もの言ふ夜の秋/岡本眸
合掌の十指の起立冬に入る/北沢益子
七輪に十指炎のいろ午祭/小田島亮悦
啓蟄の十指に風を通しけり/嶋田麻紀
俳句例:21句目～
手套がつつむ十指寒礁横並び/三谷昭
花吹雪如来は十指もて掬ふ/橋本榮治
寒き燐寸十指で囲み教師業/齋藤愼爾
寒椿ひらくか十指枯色す/小檜山繁子
風に舞ふ落花十指に吉野山/福島孝子
赤城榛名十指開きの初山河/田中水桜
氷瀑を拝む十指を火に浄め/浦野芳南
十指いま光の亀裂梨を剥く/小檜山繁子
這ふものの十指に力五月来る/嶋田麻紀
踏みしめる十指に力鳥帰る/五十嵐暢子
柿を剥く十指の全て柿とあり/齊藤美規
わが十指われにかしづく寒の入/岡本眸
愛わかつごと手袋に十指編む/橋本榮治
月蝕待つ河へ十指をひらきいて/須藤徹
布洗う十指に水の涼しさよ/河/ひろこ
爪半月十指に失せてまた悪阻/安達真弓
願ひとつ十指につつむ初薬師/近藤紅泉
鍵盤にをどる十指や室の花/大星たかし
焼秋刀余生は十指折れば足る/乗本真澄
初酸橘十指からめて拭いけり/丸岡/忍
俳句例:41句目～
うつくしき十指の醒むる泉かな/宇咲冬男
かげろうや十指が生きて人形師/桜井絹子
鷹を飼い十指の先より朝くるか/寺田京子
銀河逆巻くその十指舞ひやまぬ/黒田杏子
願化踊り月へ十指をしなやかに/高橋鋼乙
水澄めり餘生十指のうちあたり/田口一穂
一指一指悴かみ十指らちもなし/岡田日郎
今生れし嬰の十指の涼しかり/三上さかえ
初空へ十指ひろげてから一歩/屋嘉部奈江
十指ならし備なきごと月に佇つ/川口重美
嬰の尻を十指でつつむ初湯かな/小林波留
手套脱げば自由の十指月掬ふ/佐野まもる
沼の中で文字を書いている十指/阿部完市
洗面水十指にからむ今朝の秋/石川みのる
渓流に十指を浸す夏の終わり/柳原美知子
寒燈を十指にあつめ貝を割く/磯貝碧蹄館
爽やかに祈りの十指解かれたり/松浦敬親
癒えし手の吾が十指もて髪洗ふ/室田和月
秋の風かざす十指に吹きわかる/斎藤空華
窓枠に十指しっかと野火を恋ふ/川口重美
俳句例:61句目～
笹鳴や保育器にさく十指あり/田川飛旅子
花冷えの十指を組めば思惟仏か/増田治子
螢火や祈りは十指もて足らふ/小野恵美子
豌豆を剥かむと幼の十指かな/福井まつえ
大凧のいのち十指にひびきけり/板垣紫洋
ほとびたる海女の十指や海蘿干す/西村浩風
メス握る/彼の十指の綺麗が好き/松本恭子
手品師に十指さえざえありにけり/加藤耕子
十指ほどの墓地や訥々山の慈雨/平井さち子
十指で編む毛糸童話を聞かせ居て/伊藤敬子
十指から葉の出る頃や釈迦牟尼仏/辻脇系一
凍蝶を容れて十指をさしあはす/橋本多佳子
露けさに組みし十指の脈触れ合ふ/新明紫明
傷つきつ紡ぎつ癒えゆく十指の胼/井上順子
枇杷を剥く十指濡らして命惜し/加倉井秋を
手袋に十指をおさめ耐えるのみ/高橋たかえ
遠いものばかりを溜めてゆく十指/大西泰世
こうばく蟹うまし十指をよごしけり/楠/久子
我が十指なにを成し得む日向ぼこ/藤井寿江子
十指の爪ひそかに冬灯をひとつづつ/野澤節子
俳句例:81句目～
マニキュアの十指ひらひら魔を説きぬ/伊吹夏生
山人の十指の掬す岩清水/加古宗也「八ッ面山」
十指どの指もて射つやホテルのシャンデリヤ/寺田京子
