流離に関連した俳句の例をまとめました。
流離を含む俳句例
有明や流離の窓の夢の影/中勘助
母病めば秋流離めく姉弟/佐野美智
大豆ひき流離の宿の小慰み/中勘助
散りぬるを桜語りの流離譚/仁平勝
風交や流離相寄る秋の風/小林康治
雲すでに流離の旅へ繭の山/上村占
斑猫の飛ぶに遅るる流離の荷/森澄雄
流離の詩胸に愉しき薫風裡/内藤吐天
雛流す己が流離の身を重ね/東浦佳子
身に入むや流離の部屋に柱なく/仲川
しらじらと流離の果の波の凍/樋笠文
春泥や岬に立てば流離めき/武田芳枝
つゆじもの烏がありく流離かな/楸邨
朝風に流離流離と花散るも/高澤良一
海鼠流離のごとく漕ぎ出でぬ/樋笠文
草の絮流離の果にある廃墟/井沢正江
切岸を真葛ぞ被う流離なる/金子兜太
初袷流離の膝をまじへけり/飯田蛇笏
花蜂の腹に蜜透く流離かな/三橋敏雄
花筏水に流離の私語ありぬ/森前泉華
俳句例:21句目～
子の膝や流離迹なし砂糖水/下村槐太
寒一と日流離を胸に子を愛す/三谷昭
雨聴くは流離のこころ炒る蝗/木村蕪城
踏むほどに流離の思ひ松落葉/横山冷子
歩かぬは流離より憂し業平忌/花田春兆
豆稲架に流離めく風遊ぶかな/足立靖子
茅花笛吹くや流離の音を切に/大竹欣哉
寝て一畳流離極まる餅うまし/北野民夫
聖しこの夜より始まる流離譚/寺井谷子
岬に彳つは流離のはじめ鰯雲/長谷川双
訃へ急ぐ流離の青田限りなし/古舘曹人
月明の鉄路に沿へば流離めく/菖蒲あや
人工の島に流離のうぐいすよ/遠藤春塔
腰丈の朝草を刈り流離もあり/金子皆子
燈台に雲の流離や石蕗咲けば/古舘曹人
炎帝を転居といふは流離めく/都筑智子
提げてまた流離の傘や啄木忌/小林康治
人妻に流離もなくて雁帰る/金久美智子
霜明り擁けば流離めきにけり/小林康治
流離あり遠離ありける寒の潮/石田勝彦
俳句例:41句目～
飴なめて流離悴むこともなし/加藤秋邨
流離とや秋のほそみち雨に濡れ/内藤吐天
流離の日返し桃生け花菜生け/後藤比奈夫
流離の荷からげ悴むばかりなり/小林康治
流離また赭土ながす梅雨の崖/榎本冬一郎
流離めく城たんぽぽの絮吹くは/中尾杏子
澄む水に石の流離の見えにけり/稲畑汀子
熱燗やわれに流離のうたもなし/行方克巳
白鳥のひとがをらねば流離の白/齊藤美規
秋の日にガラス磨くも我が流離/玖保律子
舌まろめおとす流離の風邪薬/中戸川朝人
いつの世も流離は暗し温め酒/福田甲子雄
ぼろ市を通る流離ごころかな/郡山とし子
月さして水母の流離はじまりぬ/小野昭子
邯鄲の流離流離と鳴きにけり/永田耕一郎
鮎の腸つついて中年流離の箸/伊丹三樹彦
麦の穂の焦がるゝなかの流離かな/森澄雄
形代流し伊勢にて尽きる流離かな/三浦紀水
次第に雪流離のバスは動きはじむ/岩田昌寿
妻よわが死後読めわが貴種流離譚/楠本憲吉
俳句例:61句目～
厩出して雲の流離に敏く住む/野見山ひふみ
優曇華の家より父母の流離かな/大木あまり
身に入むや流離のはての故郷に/八牧美喜子
遠い流離の梅耀る修学旅行団駈け/伊丹公子
子に拾ふ霜野の羽根の流離かな/金箱戈止夫
雛流しわれにもありし流離の日/八牧美喜子
あぢさゐの鞠枯れきれず流離の地/宮坂静生
椰子の実に流離の涼気なしとせず/綾部仁喜
流離とはかく吹雪く野をゆくことか/樋笠文
青梅落ち貴種流離譚はじまれり/成瀬櫻桃子
樗咲けり子を得て流離かなしまず/米谷静二
日の丸のようなオルガンの流離譚/山本敏倖
マンホール湯気立つは貴種流離かな/五島高資
凧揚げて子には流離のおもひなし/村上喜代子
ポプラの流離屋階に体操する看護婦/阿部完市
たんぽぽにありし流離のひかりかな/嶋田麻紀
迷い鴎に手を振るいつか流離に似て/伊丹公子
うたかたに流離のこころ水草生ふ/ほんだゆき
柚子しぼり流離りゆうりと声に出す/熊谷愛子
しやぼんいろなるは流離や雨のまんさく/阿部完市
俳句例:81句目～
母の齢はるかに越えて結う髪や流離に向かう朝のごときか/馬場あき子
