説くに関連した俳句の例をまとめました。
説くを含む俳句例
旅人に神説く男栗青し/堀口星眠
出代や鉱毒を説く國訛り/寺田寅彦
十二月街頭神を説く処女/福田蓼汀
霊魂の不滅説く師よ鳥曇/松村多美
十夜僧女の業を説きにけり/中火臣
白梅や道を説くなる人淋し/島田青峰
生理説く鉱山の中学軽雷す/宮武寒々
熱燗や反戦を説く地下酒場/尾関乱舌
神を説く冷たく隆きのど仏/鹿目静子
基督を漫画で説きぬ雲の峰/鈴木鷹夫
沖縄の怒りをわれも汗し説く/上村占
蝉は今普賢の行説く大団円/高澤良一
水洟の毛坊主の説く観世音/森田公司
楷の樹の緑蔭に仁説きにけり/小島健
説く僧に合点々々や彼岸婆/森永杉洞
黒傘を日傘に唯一神を説く/工藤克巳
方丈記説く水洟の老教師/岩淵喜代子
竜の口の法難説くも始め哉/名和三幹竹
福祉説く青年の目に盛夏来る/太田常子
神を説く声密封し氷雨の扉/伊丹三樹彦
俳句例:21句目~
デカルトを説き饒舌の鮟鱇鍋/新関一杜
神を説く一語一語も陽炎へる/石田濁水
人波に乗り説く十夜法話かな/河野静雲
修羅地獄説く福耳の十夜僧/きりぶち輝
黒手袋指にぴちりと神を説く/齋藤愼爾
冷房の茶房に芭蕉の行脚説く/関森勝夫
松虫や祇王の哀史説ける尼/小原菁々子
団結のこころ説きけり男郎花/豊/純輝
国難や杖をあげ説く十夜婆々/河野静雲
原罪を説く青芝に足投げ出し/清水衣子
島の子に神説く神父汗涼し/小原菁々子
来世説くその嘘ほんと石鹸玉/伊藤白潮
咳入れる人に説きやめ十夜僧/河野静雲
堂守りの法難を説く息白し/梶田ふじ子
十夜僧一茶の発句説きにけり/河野静雲
顔あげず古歌説く夜学老教師/中村若沙
沙翁説き今も貧しき夜学の師/香月梅邨
教科書は置きて説くなり桜桃忌/川口淀村
新海苔の炙り工合を説きてをり/金井典子
寝釈迦より細身の僧の涅槃説く/橋本佳洲
俳句例:41句目~
法を説くしづかに手炉に手を重ね/森白象
牡丹白し人倫を説く眼はなてば/飯田蛇笏
神官の説く史に正す円座かな/青木つね子
蒟蒻の芽越し説き説く郷土史家/木村蕪城
説き終へて満ちける御ン唇涅槃仏/林昌華
十夜僧泣かせ笑はせ且つ説けり/河野静雲
雪に説く真刀は先づ切れてこそ/荒井正隆
子を連れし日傘の女エホバ説く/大見寛司
弥陀の慈悲両手あげ説く十夜僧/河野静雲
愛を説く神父に大き火蛾の翳/上田日差子
火鉢なでゝ母は説き去り説き来り/松尾静子
史蹟説くに背くは紅葉見て立つや/久米正雄
牡丹しろし人倫を説く眼はなてば/飯田蛇笏
生きる意味しんしん説けり葱の花/鈴木節子
くちなはを口ある繩と亦説けり/相生垣瓜人
きりぎりす鬼女伝説を絵にて説き/宮津昭彦
おしまひに少し耶蘇説く夜学かな/馬場駿吉
聖書説き世俗に媚びず炉の神父/小原菁々子
歳時記に説ける二行や紫蘇漬くる/亀井糸游
俺に是非を説くな激しき雪が好き/野村秋介
俳句例:61句目~
客観を説き給ひたる虚子忌かな/深見けん二
実むらさき心のおしゃれ説く尼僧/大野栄子
雪下し神を説く人あらはるる/佐々木ヨシ子
涅槃会やいろはうた説き法を説く/大橋敦子
画鬼詩魔に説く百日の安居かな/菅原師竹句集
古歌説けばはや謡はるゝ時雨かな/松根東洋城
神を説く大いなる手を炉にかざし/野見山朱鳥
雪に酔ひ説き伏せられて行くごとし/成田千空
白髪みごとしかし俺には神を説くな/古沢太穂
古語説きし疲れや野に散る梨の花/鍵和田ゆう子
白玉や蓮如の文は死を説けり/吉田汀史「四睡」
マニキュアの十指ひらひら魔を説きぬ/伊吹夏生
女品々説き説くや梅雨も小止みなく/松根東洋城
戦記問ふも説けるも楝の散るもとに/平井さち子
涅槃し給いなお説くことばあるごとし/宇咲冬男
愛を説けり人等汗もて汗拭くとき/赤城さかえ句集
説き来り説き去りて手のかじかめる/久保田万太郎
万葉の恋説く青田にかこまれて/豊田都峰「野の唄」
後悔未練あるまじと説く妻よ/どこで泣いてきた/折笠美秋
やは肌のあつき血潮にふれも見でさびしからずや道を説く君/与謝野晶子