創に関連した俳句の例をまとめました。
創を含む俳句例
創痛や朝より蝉の力づき/有働亨
初鳩や創口かばふ懐手/吉田鴻司
相伝の金創膏や梅の花/夏目漱石
創痛や春の山鳩応へつゝ/石田波郷
創痛や窓外に鳴る旗一流/楠本憲吉
ふか~と創ある老樹狐罠/花田春兆
昼顔や手創を洗ふ女武者/寺田寅彦
晩年に入る弾創も白梅も/鈴木慶子
雪原の深創ゑぐり天塩川/山崎秋穂
一雷後おもふ日本の創深し/岸田稚
創疼く眼ひらけり春の闇/伊東宏晃
毛虫増ゆわが寺創建二十年/牧野春駒
月光の創かくれなし蟻地獄/齋藤愼爾
勝独楽の創いたはるや掌/小野恵美子
朝つばめ皆岩つばめ創痛む/相馬遷子
蟹が行き天の裂創に消える/阿部完市
大いなる古創顔にこれの鷲/山口誓子
鏡中雪創つきし相幾変化/加藤知世子
孫の手が届かぬ汗の背中創/片山桃弓
寒の水腹背の創いたみけり/小林康治
俳句例:21句目~
鷹飛ばず天の創痕深ければ/石塚友二
岩創撫で窪む緩流温みつつ/香西照雄
拾得の独楽に無数の創のあと/樋笠文
創いたむ風の彼方の冬の星/小林康治
創傷の抜糸を仕事始めとす/有泉七種
創熱やかうかうとして雪の空/岸田稚
陶師屈背枯山の創陽にしるく/友岡子郷
翡翠や水のみ知れる水の創/恩田侑布子
青崖の生創を舐めきりぎりす/齋藤愼爾
露けしや地震の創ある石灯籠/市川典子
年を越す火傷切創己が手は/加藤知世子
ボーナス待つ深く林檎の創抉り/有働亨
百日紅この国もまた地の創か/夏石番矢
蝉しぐれ胸の創口ありありと/高澤良一
鎌鼬こころの創は血を見せず/樋田初子
冴返る創の周辺血がさわぐ/加藤知世子
凩の創はみずみずしきみどり/永末恵子
初富士の玲瓏巨き創あをし/篠田悌二郎
追羽子や創つきやすき空の蒼/坂巻純子
術創を美しと医師いふ虎落笛/岡本利英
俳句例:41句目~
浴身にくれなゐの創夏はじめ/大石悦子
草刈やおもひもよらぬ顔の創/木津柳芽
大寒のひろがりいたる臼の創/中村和弘
山の湯に創洗ひしが鷹と化す/星野石雀
鰯雲ひろがりひろがり創痛む/石田波郷
月光に深雪の創のかくれなし/川端茅舎
栄螺かなし神が創し手をひろげ/橋本鶏二
傷心癒えじ雪崩の創は雪癒やす/福田蓼汀
執刀医創あとをほめあたたかし/宇野幸子
夢に朱欒を抱き重りしが創痛す/藤田湘子
春塵を積みザヴィエルの面の創/有馬朗人
春めくやもののはづみの指の創/遠藤はつ
麦秋や乳児に噛まれし乳の創/橋本多佳子
聖金曜の創なき手足湯に伸ばす/石川冬扇
芒創蛇にも遭はで戻り来し/長谷川零餘子
針創をつめたく唇にふれ癒やす/野澤節子
更衣胸の創痕うち裹む/石田波郷「春嵐」
花アカシア二日泊りて創れぬ繭/金子皆子
うぐいすの夕べざくりと山の創/西東三鬼
おそろしき創を裏みて秋袷/竹下しづの女
俳句例:61句目~
潔く創よみがえる寒気の中/赤城さかえ句集
春を待つ御手なる創にくちづけし/山本歩禅
創痛や速度音絶え未明の霧/赤城さかえ句集
創痕の臍にて止まる柚子湯かな/萩野をさむ
生創に蝿を集めて馬帰る/西東三鬼「今日」
冬蜂の創つく騎士のごとく這ふ/岡部六弥太
背創胸創冬薔薇は地に陽を叢む/磯貝碧蹄館
めつむりて猟夫がなぞる空の創/本庄登志彦
マルメロの創冬空となりにけり/千代田葛彦
馬ゆけり寒明けの創かがやかし/千代田葛彦
翡翠やみづのみ知れるみづの創/恩田侑布子
はるかなる雪嶺のその創まで知る/橋本多佳子
火鉢のきず篠懸のきず創ひろがる/千代田葛彦
青い夜雨に籠り都恋しい若者の創作/大橋裸木
愁い千々虫千々創を支えとして/赤城さかえ句集
ばらいろなす創痕に梅雨はじまれり/鷲谷七菜子
馬鈴薯に創こころはやれるは妻ならん/栗生純夫
指切りの指の指環の創口ょりわが死はじまり/高柳重信