真顔に関連した俳句の例をまとめました。
真顔を含む俳句例
元日の真顔にもどる夜の卓/哲郎
鷽替の人中にゐて真顔なり/角光雄
秋風に行人誰もみな真顔/吉屋信子
雲とついに真顔の哀しさよ/橋間石
真顔して御用納の昼の酒/澤木欣一
啜るとき真顔の夫や蜆汁/松村多美
水を飲むときも真顔の羽抜鶏/長田等
寒鴉真顔とつとと田畦行く/中村汀女
山人の真顔が揃う霧の中/横地かをる
町川や真昼真顔の花見船/久保田和子
笛方は真顔なりけり里神楽/木内彰志
狂歌堂真顔の歌碑に梅の風/高澤良一
擁きて露の真顔を恃むかな/小林康治
父亡き後通す真顔や万愚節/大石悦子
鳥帰るいづこの窓も真顔見え/今井聖
鏡中の疲れし真顔夜の青田/加藤楸邨
秋の航海猫の真顔の近々と/行方克己
迷へども真顔でをりぬ道をしへ/畑毅
走り来て止まりて鹿の真顔かな/龍男
蝸牛の真顔をかしき狂言師/福田蓼汀
俳句例:21句目～
色鳥の真顔横顔つくし去る/皆吉爽雨
梨狩のこごみ歩きの真顔かな/細川加賀
里神楽馬鹿面とれば真顔なり/向山古峡
海神へその真顔向け大向日葵/加藤耕子
灯と真顔一点の蚤身に覚ゆ/中村草田男
糶られゐるの真顔や万愚節/片山由美子
羞みの汗の真顔が患者拭く/赤城さかえ
蚊遣香カント真顔で読みし頃/樋口進二
飾り窓に写る師走の真顔かな/丸山希よ
氷菓頒てば真顔幼き郵便夫/石田あき子
一粒の桑の実くれし子の真顔/中村茅女
冬の街真顔の犬とゆきちがふ/川口重美
吃立の槇真顔なる立春以後/河野多希女
宝恵駕の女あるとき真顔なす/山下陽弘
手斧始烏帽子の大工真顔して/松木呂子
指立てて蜻蛉を誘ふ児の真顔/菊地万里
数の子を噛む幼らの真顔かな/戸板祥夫
いてふ散る女の真顔つぎつぎに/斉藤夏風
底冷えに遇ひたる鴨の真顔かな/高澤良一
四月馬鹿真顔さらして花のもと/臼田亞浪
俳句例:41句目～
くさいろの蛇ふところに真顔なり/穴井太
茗荷汁吹きて真顔となりゐたり/伊藤京子
虹のもと童行き遭へりその真顔/加藤楸邨
冷やかや笑みても真顔いつもあり/友次郎
デモの中の一つの真顔秋日濃し/丸山哲郎
獅子舞を終へし囁き真顔となる/加藤楸邨
横顔にして真顔なるひらめかな/平井照敏
冬の蝿真顔を見せて歩みけり/岩間おおみ
降る雪を見てをり犬の真顔なる/行方克巳
真顔より笑顔があはれ菊人形/三田きえ子
除夜の鐘真顔となりし子に対ふ/原田種茅
雛人形の真顔に混じり午前過ぐ/森田智子
指立てて蜻蛉止まらす子の真顔/高澤良一
立冬の真顔にて父子すれちがう/脇りつ子
冬の棕梠きらりと母が真顔なす/友岡子郷
狐火を見て来しといふ真顔かな/山中弘通
紅刷きてをとこ真顔やあがた祭/関戸靖子
残る青春この闘鶏の真顔抱き/柴崎左田男
おしよろ船引く少年の真顔かな/熱海征一郎
しかたなく餅焼くことに真顔なり/角川春樹
俳句例:61句目～
梅雨ふかし照る照る坊主真顔かな/谷口桂子
秋夕映えの真顔ばかりが揺られをり/森澄雄
手花火の消えし真顔を闇におく/横岡たかを
烏帽子着て若き鵜匠の真顔なる/鈴鹿野風呂
冬帽のをとこの真顔みたりけり/柴田白葉女
雪ぬれの真顔をきいてやつてゐる/原田種茅
櫨採りの真顔すなはち口とがる/布施伊夜子
六歳の真顔春社のフォトパネル/松田ひろむ
肘にて耐う真顔の重さカロツサ忌/阿部完市
しやぼん玉吹きし真顔に弾けけり/井桁汀風子
ねらはれて真顔となりし草矢かな/片山由美子
白朮火を受けて真顔になりにけり/村上喜代子
螻蛄鳴くや物食ふ真顔見られしよ/小島千架子
かまど猫真顔というもありにけり/こしのゆみこ
木の実落つダーウィンレアは真顔にて/高澤良一
ウインドサーフィン帆の脇一つづつ真顔/川崎展宏
冷房車降りぬ真顔を崩さずに/木村有宏「鶴俳句選集」
