午前に関連した俳句の例をまとめました。
午前を含む俳句例
午前九時始まる避暑の日課かな
午前の元日暗き町家哉/角田竹冷
芒なほ午前の光り峠路は/野澤節子
誕生日午前十時の桐の花/平井照敏
手洗へば蚯蚓鳴きやむ手水鉢/子規
午前や爽籟放つ今日の雲/石塚友二
無伴奏午前十時の踊子草/松山足羽
坂下の医院の午前鳥総松/野澤節子
松虫草馬の行手の午前の陽/桂信子
秋の雨しづかに午前をはりけり/草城
花影を午前と午後の間にす/中里麦外
忽然と麦生に子ゐる午前かな/飴山實
獣屋を午前十時とす冬日輪/飯田蛇笏
京の雨午前に止みぬ金魚鉢/川崎展宏
余寒なほ午前零時の腕時計/小川廣男
李食む午前の汗を流しをり/野沢節子
桐の花午前の障子あかりかな/井上雪
柊の花や一と生の午前午後/手塚美佐
午前三時の猫の感情春の星/岡あきら
枯菊に午前の曇り午後の照り/桂信子
俳句例:21句目~
午前五時死後硬直と冬帽子/神山姫余
午前十時は白き雲や海と空/高柳重信
松蝉が鳴いてゐるなり午前五時/篠原
啓蟄や午前七時に伸びる髭/田島秀子
大試験氷上の日の午前午後/木村蕪城
午前の秋風山荘ぬけて草の絮/古沢太穂
名月や雨あがりたる午前二時/相馬遷子
薔薇五月午前の海と午後の海/原田青児
室咲きや午前十時は主婦の刻/石川文子
何となく午前が終り椎落葉/加倉井秋を
眼鏡くもる午前は濡れて枯笹道/中拓夫
静かなる午前を了へぬ桐一葉/加藤秋邨
すもも食む午前の汗を流しきり/野沢節子
二時といふ午前や午後や蝶斃れ/柿本多映
僧訪うて午前終へたり午後永し/大野林火
失望は午前に午後に虫の夜に/宇多喜代子
家すべて午前零時の露置けり/鈴木しづ子
麦茶ばかりの午前三時の仮眠室/姉崎蕗子
空に水満ちひぐらしの午前四時/和知喜八
美しく火葬のおわる午前かな/宇多喜代子
俳句例:41句目~
草にある午前のしめり秋の蝶/鷲谷七菜子
萱刈や午前も午後も日がひとつ/矢島渚男
落花浮く水なめらかに午前なり/野澤節子
葭切や午前むなしく午後むなし/相馬遷子
虫籠に午前と午後のありにけり/あざ蓉子
金木犀午前の無為のたのしさよ/石田波郷
雛人形の真顔に混じり午前過ぐ/森田智子
雛段に午前の日差しさし込みぬ/高澤良一
雪ぐるみ飛ぶ坂の子ら午前の樹/成田千空
雪やなぎ白濃き午前海が見たし/大野林火
さぼてんの楕円へゆるやかな午前/桂信子
冬寺の午前かならず日あたる場所/中山純子
秋の蛇鍛冶場すみずみまで午前/大峯あきら
元日なり午前零時のしゃがみ隊/荒井まり子
テニスする午前七時の若葉かな/鈴木しづ子
うすうすと午前すぎゆく眼帯して/小林一枝
大松明の火の粉も凍る午前二時/伊藤いと子
いまから眠る午前三時の照葉樹林/金子皆子
死にぎわの髪逆立つは薔薇の午前/久保純夫
随所に鋏の類い日曜の午前終り/林田紀音夫
俳句例:61句目~
午前より午後をかがやく春の泥/宇多喜代子
午前の汗午後の汗意識不明のまゝ/右城暮石
富士との空間午前来むこう夏樹の影/古沢太穂
サバイバル万歳を見ている午前二時/平田栄一
午前五時あざみにとげのなかりけり/伊藤柏翠
午前を憩へ甘きに至らぬ柿と柩車/磯貝碧蹄館
新海苔や午前の便にも午後の便にも/相島虚吼
陸奥うつぎ昆布干し午前午後干して/和知喜八
火蛾去れり岬ホテルの午前二時/久保田万太郎
牛乳つめたく午前はいつまでも午前/下村槐太
白南風や午前にちよっとキスをして/坪内稔典
晴れて硬質の午前の嘘に立ちどまる/林田紀音夫
友ら護岸の岩組む午前スターリン死す/佐藤鬼房
午前三時の投函だ蛾のふらふら飛び/伊丹三樹彦
胡蝶花投げ挿し午前のらんたい漆器の籠/北原白秋