楽屋に関連した俳句の例をまとめました。
楽屋を含む俳句例
春雪を潔く踏み楽屋入/荻江寿友
寒声の楽屋つくるや生姜酒/麁従
鹿来る楽屋の外や薪能/正岡子規
芸名を印し楽屋の衣紋竹/木村重好
うち向ふ楽屋鏡に花疲/中村七三郎
文楽の楽屋訪はむと初鏡/若江千萱
もたれゐる裸の男楽屋口/山田静雄
短日の楽屋を走りぬける音/桂信子
猿芝居猿の蚤取る楽屋哉/正岡子規
兄弟の楽屋三様夏のれん/片岡我当
春服の屯がふさぐ楽屋口/岩崎照子
楽屋入までの散歩や朝桜/片岡我当
御降に軒を伝うて楽屋入/木村重好
艫にある楽屋へ歩板舟芝居/毛利提河
舟芝居楽屋のれんの吹通し/江口竹亭
絵帷子懸けし楽屋の衣桁哉/梅本塵山
結び文都をどりの楽屋より/村田橙重
素袍著て楽屋込みをり能始/佐野ヽ石
初泣は楽屋住居の役者の子/木村重好
人も居らず楽屋狼藉春の月/正岡子規
俳句例:21句目~
楽屋団欒して鮓圧せり夏朧/久米正雄
楽屋口柊挿してありにけり/中岡毅雄
地芝居のお軽に用や楽屋口/富安風生
弦あはす音を楽屋に秋深し/太田昌子
夕焼や楽屋の前の水車/中村吉右衛門
夕立過ぐ何か争ふ楽屋口/生地みどり
楽屋への階段急に良夜かな/宮武寒々
里の子の楽屋覗ける里神楽/山田弘子
出囃子や蚊遣一つの楽屋口/金子きくえ
夏のれん父子の楽屋向ひ合ひ/高木石子
安来節の楽屋に届くおでん鍋/浅場英彦
嵯峨念仏楽屋にとどく泥の葱/椹木啓子
巡業の蒼朮を焚く楽屋かな/中村七三郎
幕あひや鯛焼とどく楽屋口/水原秋櫻子
廊下まで匂ふ楽屋の菖蒲風呂/片岡我当
梅幸を楽屋に訪へばあんこ鍋/中川四明
楽の裏冬の楽屋にパンひとつ/宮津昭彦
黒ずんだ楽屋茶碗や寒の入り/今泉貞鳳
楽屋着も替えて中日や夏芝居/中村伸郎
老優の出を待つ楽屋置炬燵/武原はん女
俳句例:41句目~
聖夜劇ピアノの裏が楽屋なる/中田無麓
著到のすぐ役振られ壬生楽屋/早坂萩居
酒少し楽屋に出たる三ケ日/田中午次郎
さくらもち楽屋鳶の誰やかや/後藤夜半
里神楽楽屋を覗く月と子よ/田口秋思堂
顔見世や阿国の碑ある楽屋口/桂樟蹊子
冬霧や四条を渡る楽屋人/中村吉右衛門
白足袋を手に嵯峨念仏楽屋入り/野川義宣
どうらんの堅さ冬至の楽屋かな/小沢昭一
繭玉の枝垂れ華やぐ楽屋かな/真酉圭央里
楽屋より京の街なる鯉のぼり/坂東みの介
壬生狂言面の楽屋の小暗くて/佐々木清雅
うそ寒の楽屋に落す化粧かな/大星たかし
ひつじ田に向けて開けたる楽屋口/森一九
楽屋とはかうしたところ股火鉢/宇治春壷
楽屋口水の江滝子ジャケツきて/星野立子
借りて履く楽屋草履や花の塵/稀音家塔九
戎笹手に手にかざし楽屋入り/廣瀬ひろし
鯊竿をしらべる楽屋らく近し/中村吉之丞
楽屋風呂出て来し人の菖蒲髪/今井つる女
俳句例:61句目~
衣裳著て楽屋の中の年賀かな/坂東みの介
灯ともりて楽屋透けゐる夏芝居/香川はじめ
一茶忌の句会すませて楽屋入/中村吉右衛門
じよんからの楽屋口まで稲熟るゝ/多賀啓子
こほろぎや寄席の楽屋の独り酒/水原秋櫻子
舞終へて楽屋へかへる夏のれん/武原はん女
荷風忌の踊り子がガムを噛む楽屋/伊藤黄雀
なやらひの鬼が出を待つ庫裏楽屋/安田孔甫
楽屋炉に坐りて声を馴らしをり/寿々木米若
顔見世の楽屋入りまで清水に/中村吉右衛門
水うつて楽屋入りする忌日かな/長谷川かな女
あらたまの春のマスクや楽屋入/久保田万太郎
二人交す楽屋鏡や曾我祭/伊藤松宇「松宇家集」
輪かざりにさすが楽屋の行儀かな/久保田万太郎
蝙蝠やひるも灯ともす楽屋口/永井荷風「荷風句集」
菖蒲浮く昔ながらの楽屋風呂/市川団右衛門「ホ誌雑詠選集」