絵本に関連した俳句の例をまとめました。
絵本を含む俳句例
姉絵本弟積み木日向ぼこ/上野泰
買初に雪の山家の絵本かな/鏡花
柿紅葉載せ安絵本祭店/香西照雄
笹粽絵本の上でほどきけり/森靖子
手離さぬ古き絵本や魂迎/田中和子
裂き燃やす絵本花咲爺冬/三橋敏雄
年の市絵本ならべて一むしろ/松浜
松蝉に絵本は王の死ぬ頁/藤田湘子
夕桜絵本の中は火の燃ゆる/岩田由美
餅筵絵本ひろげしまま日ぐれ/大串章
昼寝の子絵本を風の開きとじ/上野泰
松蝉や絵本の雲のみな円く/細川加賀
実柘榴や夕日の奥の絵本棚/能村研三
兄入学兄の絵本を読んでをり/上野泰
梟首を見たる絵本や秋暑し/野村喜舟
流れきし絵本の頁海の冷え/対馬康子
新庄弁絵本の野菊澄んでいる/澁谷道
炬燵して絵本の蟻の穴倉図/高澤良一
紅茸へ小人の梯子絵本かな/嶋田麻紀
単色の絵本思えり糸きり歯/大西健司
俳句例:21句目~
絵本の中きつと途中で桜咲く/桂信子
他国見る絵本の空にぶら下り/阿部完市
手の平にをさまる絵本桃の花/林八重子
せがまれて字のなき絵本読始/嶋田一歩
青葉闇いつか絵本にありし森/鈴木興治
青葉木菟絵本の中も星が出て/中村明子
春昼に自分のための絵本買ふ/谷口桂子
絵本抱き地下より帰る大都会/対馬康子
絵本の絵そつくりな葉と蝸牛/高木晴子
春夕焼絵本に鬼が泣いている/野坂紅羽
桃の日の絵本の上の鋏かな/大木あまり
立ち読みの絵本に蜂の影去らず/皆吉司
絵本のやう赤燈台と浮輪の子/高澤良一
父として日記は買はず絵本買ふ/森田峠
子に読みし絵本を孫に五月晴/沼尻ふく
宇宙人うようよ暑し子の絵本/玉城一香
春の絵本桜の木伐るワシントン/高澤良一
遠花火街を絵本にしてしまふ/水田むつみ
読み聞かす絵本しどろに目借時/浜田和子
鵙の昼絵本のつづきせがまれて/高澤良一
俳句例:41句目~
大型絵本覗き込む子の瞳の涼し/高澤良一
兄と読む一つ絵本や端午の日/高田風人子
降りやみて朝は絵本にもどる橇/竹貫示虹
冬近し絵本に貧のなかりけり/成瀬桜桃子
青葉木莵絵本の家に仕掛ドア/上田日差子
図書館の絵本を借りに花菜風/布施れい子
立ち上がる仕掛け絵本や風光る/高橋秋子
ハンモック揺れをり絵本ひつかゝり/森田峠
一枚一枚陽にぬくみ絵本繰らるる/小玉暁村
冬三日月絵本を買つて帰ろかな/本庄登志彦
十五夜を絵本のやうに泣きに泣く/川崎展宏
花文字の異国の絵本クリスマス/石田/克子
表紙よりざはめく絵本新樹の夜/真鍋美和子
旅に出て今日子供の日絵本買ふ/古賀青霜子
春星のいつ絵本より抜け出でし/櫛原希伊子
避暑に来て絵本読まされどほしかな/森田峠
野遊びにまでも絵本をたづさえて/依田明倫
手土産の絵本をすぐに燈下親し/石井とし夫
うららかや絵本の象が立ちあがる/藤井寿江子
絵本と散らばる甥よ姪よ風邪ひくな/菖蒲あや
俳句例:61句目~
絵本より抜け出す児ありクローバー/小林よし
春の夜の絵本につづきなかりけり/山田みづえ
春が来るちひろの絵本開くやうに/福本五都美
洗ひ髪かわく間を子に絵本よむ/野見山ひふみ
絵本の灯/編み物の灯に/雪来るや/折笠美秋
あたたかや絵本見る児のひとりごと/福田蓼汀
プラタナス絵本に籠もる花であろう/山口千代子
雪解野の絵本が落とす赤いマント/長谷川かな女
拳銃絵本へ吸われる飛雪濃くなる午後/伊丹公子
絵本すずしピーターラビツトずるしずるし/辻桃子
絵本もやしてどんどんこちら明るくする/阿部完市
資本主義社会の童話しかない國の絵本さがしてやる/橋本夢道
絵本に示す駱駝の瘤を子が問へば母はかなしむその瘤のこと/中城ふみ子